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- Amazon.co.jp ・本 (532ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062770170
作品紹介・あらすじ
変幻自在の文体と技巧で「小説の魔術師」の異名を取り、今なお"ジュウラニアン"と呼ばれる熱狂的なファンを持つ直木賞作家・久生十蘭。彼が海軍報道班員として南方に派遣された昭和十八年の日記が、没後五十年目に発見された。己の心情を吐露することを拒み続けた作家の素顔が見える従軍記。
感想・レビュー・書評
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昭和18年に南方へ海軍報道班員として派遣された際の日記。
前半部にあたるジャワでの日記の内容は「飲む打つ買う」が多く、戦地へ赴いているという緊張感がほとんど感じられないくらいのんびりとした生活だったようだ。
本人もその点に関して焦燥感があったらしく、そのことも包み隠さず書かれている。
一転、後半部の前線へ赴いてからの日記は空襲が日常となり、常に緊張せざるを得ない日々だったことが書かれている。
死と隣合わせの日々を過ごした久生十蘭の心情を知ることができる点ももちろんだが、その中にごくたまに書かれている読書記録も興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
発表を意識せず綴られたというインドネシアへ海軍報道班員として派遣されたさいの日記。怠惰な生活を送るだけの前半のジャワ島は、退屈だが、後半の毎日空襲にさらされるニューギニア等の前線での記録はがぜん面白くなる。前半部分も日本人施政長官?の俗物ぶりが克明に記録されているのが貴重である。久生十蘭の戦時中の生活と心情に触れられるので、彼の愛読者なら見逃せないであろう。
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