企業戦士 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 208
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770422

作品紹介・あらすじ

死んだら働けない。でも死ぬまで働く。

仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。

指名入札制から、一般入札制へ。僕が働くゼネコンは、談合廃止に揺れていた。
社員を思い、人を育てる企業になるためにこの会社は一度、壊れなくてはいけない。僕の熱意は届くのだろうか。

※本書は2009年1月、実業之日本社より単行本として刊行された『いつもそばにいるよ』を改題の上、文庫化したものです。

感想・レビュー・書評

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  • 大手ゼネコンで営業部員として働く主人公・野口は、市の体育館建設を巡って一般競争入札が行われる予定の書類を作っていた。常務、課長は、市民運動グループを主宰していた市会議員、市長の元片腕であったフィィクサー的な存在の男らと組んで、指名競争入札という名の談合へと画策しようとする。談合というものを背景に、過労自殺、パワー・ハラスメント、名ばかり管理職など数年前からもTVのニュースを賑わせた社会の問題点などを浮き彫りにさせて描かれていく。
     実は、物語の導入部で主人公・野口は既にこの世には存在しないのである。たった一人から何故死んだのか真相究明のため、妻は会社に対し勇気ある闘いを挑んでいく。夫の名誉を守ろうとする妻。会社の利益を守ろうとする常務や課長。寄り添うようにゴーストとなった彼は俯瞰する視点で、上司、同僚の心の裏表とか様々な事実を知っていく。そして、彼の死はラストで詳らかに・・・。
     
     悪徳商人が、菓子箱の底に賄賂の小判を忍ばせて悪代官に渡すと、「お主もワルよのぅ」っていうシーンが、よくむかしの時代劇とかであったが、現代版のそんなような場面も書かれている(^_^;)
      昨今、一部上場会社のある企業がグループ会社からの個人的な使途不明とも思われる巨額の借入れとか、あるいは粉飾決算というような損失隠しが発覚したり、企業論理が問われる事件もあり・・・働くとは?人間の誇りとは?そして家族とは?これはまさに心に問う一冊であった。

  • 過労死問題に焦点を当てた企業小説。
    死んでしまった「僕」の視点で、会社と戦う妻や可愛い我が子の姿、そして会社のその後を見つめていくというユニークな話だった。
    テレワークなどで働き方改革がより進んだ今だからこそ、改めて過労死について考えることは必要だと思う。

  • 江上剛氏の銀行員時代の能力が高く評価されていることは知っているが、小説は平凡だなぁと思っていた。
    本小説は、江上作品のなかでは一番面白かった。
    主人公に全く非の打ち所がないというのは、すこし設定に無理があるんじゃ無いかなぁ思ったが、主人公以外はありえそうな人間だらけだった。

  • よくある設定の題材かと思います。
    読み進めていくと、なんとなく次のストーリーが分かってきてしまったのは残念・・・

  • 幽霊視点で物語が進みますが
    内容は重工な経済小説です

  • ■内容 ※アマゾンから引用

    死んだら働けない。でも死ぬまで働く。

    仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。

    指名入札制から、一般入札制へ。僕が働くゼネコンは、談合廃止に揺れていた。

    社員を思い、人を育てる企業になるためにこの会社は一度、壊れなくてはいけない。僕の熱意は届くのだろうか。

    ※本書は2009年1月、実業之日本社より単行本として刊行された 『 いつもそばにいるよ 』 を改題の上、文庫化したものです。

  • 今だから言える。如何に楽して結果を出せるか、考えていたら朝が来た。なさけない~!!

  • p.298
    「多くの人は、会社から捨てられたら生活基盤を無くすから、妻や子供との生活を守るために、嫌なことをいっぱい我慢している。しかし我慢した結果は、妻や子供との生活基盤が壊れることになってしまうことが多い。これでは本末転倒だ。どうしても嫌なことは我慢してはいけないんだ。これを声に出せばいい。もしそれで会社という生活基盤を失うことがあっても、家族という本物の生活基盤が残ればいいではないか。」

  • 【作品紹介】
    死んだら働けない。でも死ぬまで働く。
    仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。
    指名入札制から、一般入札制へ。僕が働くゼネコンは、談合廃止に揺れていた。
    社員を思い、人を育てる企業になるためにこの会社は一度、壊れなくてはいけない。僕の熱意は届くのだろうか。

  • 【企業戦士】 江上剛さん

    A市の建設業界最大手・大稜建設、その大稜建設で営業を勤める野口哲也。彼は気がつくと死んでいた。。っというのも彼の意識だけが残っており
    自分が何故死んだかというコトを全く覚えていなかったからだった。。
    警察ではどうやら自殺と断定したらしいが、それすらも全く覚えていない。
    妻の佐代子は僕の死に納得がいかなかったようだ。僕は死ぬ数日前から
    会社に泊り込みで仕事をしており、それまでも深夜遅くに帰宅するコトが日常化していたからだった。
    妻は過労死を訴え、僕が毎日会社で何をしていたのかを知りたがった。
    しかし、会社は妻の訴えに対して協力的ではなかった。佐代子は僕の会社での毎日を知るために大稜建設を相手に労災申請と損害賠償請求を起こしたが、大稜建設は一女性が争うにはあまりにも大きな相手だった。。大稜建設を相手に戦う妻を僕はただ見守ることしか出来ない・・・・



    談合を主題にした本と言えば池井戸さんの「鉄の骨」が一番に思い浮かびます。この本は少し異なりますが、面白く読めました。談合は「必要悪」なのか?? 地元の工事は、やっぱり地元の業者が請け負うべきだと思います。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『定年後の壁 稼げる60代になる考え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江上剛の作品

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