- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062770422
作品紹介・あらすじ
死んだら働けない。でも死ぬまで働く。
仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。
指名入札制から、一般入札制へ。僕が働くゼネコンは、談合廃止に揺れていた。
社員を思い、人を育てる企業になるためにこの会社は一度、壊れなくてはいけない。僕の熱意は届くのだろうか。
※本書は2009年1月、実業之日本社より単行本として刊行された『いつもそばにいるよ』を改題の上、文庫化したものです。
感想・レビュー・書評
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大手ゼネコンで営業部員として働く主人公・野口は、市の体育館建設を巡って一般競争入札が行われる予定の書類を作っていた。常務、課長は、市民運動グループを主宰していた市会議員、市長の元片腕であったフィィクサー的な存在の男らと組んで、指名競争入札という名の談合へと画策しようとする。談合というものを背景に、過労自殺、パワー・ハラスメント、名ばかり管理職など数年前からもTVのニュースを賑わせた社会の問題点などを浮き彫りにさせて描かれていく。
実は、物語の導入部で主人公・野口は既にこの世には存在しないのである。たった一人から何故死んだのか真相究明のため、妻は会社に対し勇気ある闘いを挑んでいく。夫の名誉を守ろうとする妻。会社の利益を守ろうとする常務や課長。寄り添うようにゴーストとなった彼は俯瞰する視点で、上司、同僚の心の裏表とか様々な事実を知っていく。そして、彼の死はラストで詳らかに・・・。
悪徳商人が、菓子箱の底に賄賂の小判を忍ばせて悪代官に渡すと、「お主もワルよのぅ」っていうシーンが、よくむかしの時代劇とかであったが、現代版のそんなような場面も書かれている(^_^;)
昨今、一部上場会社のある企業がグループ会社からの個人的な使途不明とも思われる巨額の借入れとか、あるいは粉飾決算というような損失隠しが発覚したり、企業論理が問われる事件もあり・・・働くとは?人間の誇りとは?そして家族とは?これはまさに心に問う一冊であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
過労死問題に焦点を当てた企業小説。
死んでしまった「僕」の視点で、会社と戦う妻や可愛い我が子の姿、そして会社のその後を見つめていくというユニークな話だった。
テレワークなどで働き方改革がより進んだ今だからこそ、改めて過労死について考えることは必要だと思う。 -
よくある設定の題材かと思います。
読み進めていくと、なんとなく次のストーリーが分かってきてしまったのは残念・・・ -
幽霊視点で物語が進みますが
内容は重工な経済小説です -
今だから言える。如何に楽して結果を出せるか、考えていたら朝が来た。なさけない~!!
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p.298
「多くの人は、会社から捨てられたら生活基盤を無くすから、妻や子供との生活を守るために、嫌なことをいっぱい我慢している。しかし我慢した結果は、妻や子供との生活基盤が壊れることになってしまうことが多い。これでは本末転倒だ。どうしても嫌なことは我慢してはいけないんだ。これを声に出せばいい。もしそれで会社という生活基盤を失うことがあっても、家族という本物の生活基盤が残ればいいではないか。」 -
【作品紹介】
死んだら働けない。でも死ぬまで働く。
仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。
指名入札制から、一般入札制へ。僕が働くゼネコンは、談合廃止に揺れていた。
社員を思い、人を育てる企業になるためにこの会社は一度、壊れなくてはいけない。僕の熱意は届くのだろうか。
著者プロフィール
江上剛の作品





