企業戦士 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770422

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  • 大手ゼネコンで営業部員として働く主人公・野口は、市の体育館建設を巡って一般競争入札が行われる予定の書類を作っていた。常務、課長は、市民運動グループを主宰していた市会議員、市長の元片腕であったフィィクサー的な存在の男らと組んで、指名競争入札という名の談合へと画策しようとする。談合というものを背景に、過労自殺、パワー・ハラスメント、名ばかり管理職など数年前からもTVのニュースを賑わせた社会の問題点などを浮き彫りにさせて描かれていく。
     実は、物語の導入部で主人公・野口は既にこの世には存在しないのである。たった一人から何故死んだのか真相究明のため、妻は会社に対し勇気ある闘いを挑んでいく。夫の名誉を守ろうとする妻。会社の利益を守ろうとする常務や課長。寄り添うようにゴーストとなった彼は俯瞰する視点で、上司、同僚の心の裏表とか様々な事実を知っていく。そして、彼の死はラストで詳らかに・・・。
     
     悪徳商人が、菓子箱の底に賄賂の小判を忍ばせて悪代官に渡すと、「お主もワルよのぅ」っていうシーンが、よくむかしの時代劇とかであったが、現代版のそんなような場面も書かれている(^_^;)
      昨今、一部上場会社のある企業がグループ会社からの個人的な使途不明とも思われる巨額の借入れとか、あるいは粉飾決算というような損失隠しが発覚したり、企業論理が問われる事件もあり・・・働くとは?人間の誇りとは?そして家族とは?これはまさに心に問う一冊であった。

  • 幽霊視点で物語が進みますが
    内容は重工な経済小説です

  • ■内容 ※アマゾンから引用

    死んだら働けない。でも死ぬまで働く。

    仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。

    指名入札制から、一般入札制へ。僕が働くゼネコンは、談合廃止に揺れていた。

    社員を思い、人を育てる企業になるためにこの会社は一度、壊れなくてはいけない。僕の熱意は届くのだろうか。

    ※本書は2009年1月、実業之日本社より単行本として刊行された 『 いつもそばにいるよ 』 を改題の上、文庫化したものです。

  • 今だから言える。如何に楽して結果を出せるか、考えていたら朝が来た。なさけない~!!

  • p.298
    「多くの人は、会社から捨てられたら生活基盤を無くすから、妻や子供との生活を守るために、嫌なことをいっぱい我慢している。しかし我慢した結果は、妻や子供との生活基盤が壊れることになってしまうことが多い。これでは本末転倒だ。どうしても嫌なことは我慢してはいけないんだ。これを声に出せばいい。もしそれで会社という生活基盤を失うことがあっても、家族という本物の生活基盤が残ればいいではないか。」

  • 読みやすい文章だった。
    ストーリーはありきたりで、とくに心に残るものはなかった。

  • 【企業戦士】 江上剛さん

    A市の建設業界最大手・大稜建設、その大稜建設で営業を勤める野口哲也。彼は気がつくと死んでいた。。っというのも彼の意識だけが残っており
    自分が何故死んだかというコトを全く覚えていなかったからだった。。
    警察ではどうやら自殺と断定したらしいが、それすらも全く覚えていない。
    妻の佐代子は僕の死に納得がいかなかったようだ。僕は死ぬ数日前から
    会社に泊り込みで仕事をしており、それまでも深夜遅くに帰宅するコトが日常化していたからだった。
    妻は過労死を訴え、僕が毎日会社で何をしていたのかを知りたがった。
    しかし、会社は妻の訴えに対して協力的ではなかった。佐代子は僕の会社での毎日を知るために大稜建設を相手に労災申請と損害賠償請求を起こしたが、大稜建設は一女性が争うにはあまりにも大きな相手だった。。大稜建設を相手に戦う妻を僕はただ見守ることしか出来ない・・・・



    談合を主題にした本と言えば池井戸さんの「鉄の骨」が一番に思い浮かびます。この本は少し異なりますが、面白く読めました。談合は「必要悪」なのか?? 地元の工事は、やっぱり地元の業者が請け負うべきだと思います。

  • 「組織の冷徹さ」「働く意味」を問うた江上氏らしい内容です。
    主人公は激務のため過労死をした地方ゼネコンに勤務(していた)企業人。

    (死んだ主人公が幽霊のような状態で)残された家族や弁護士が(主人公が)過労死に至った原因を追及していく過程、それに対する勤務先の冷徹な対応、そして勤務先を取り巻く環境(地方の土建政治・談合)の様子を描いた企業小説。

    テーマは「理不尽な仕事」「組織の冷徹さ」、そして「地方土建政治(談合)の闇」というところでしょうか。

    重いテーマですが比較的軽いタッチで書かれていますので、気分が暗くなる事なく読める内容です。

    途中まではどうやってストーリーを膨らませていくんだろうかと考えていたのですが、「土建政治」が絡んでくるあたりから面白くなります。

    巻末の「解説」(談合政治や働くという事について)を江川昭子さんが書いているのですが、これがなかなかおもしろかったです。

  • 後輩からもらった本。
    仕事もしつつ楽しく人生を送ろう。
    違法なことはしないで。

  • 僕の内定先の大先輩にあたる方の作品。企業と社会のあり方、その企業で働くコマである社員の葛藤を描いていた。

    正義とはなにか、について考えさせられる。
    自分の正義を貫くか、会社の利益を優先するか、社会人にとって永遠の課題だろう。前者のようになりたいという想いを持ってはいるが、自分の正義を貫くのは組織にとってガンに違いない。

    働く前に働くとはを考えるいい機会を与えてくれた。
    自分にとって働くとは、働くことで自己表現をすること。また読もう。

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著者プロフィール

江上 剛(えがみ ごう)
1954年、兵庫県生まれの作家、コメンテーター、実業家。本名、小畠晴喜(こはた はるき)。元日本振興銀行取締役兼代表執行役社長。元(旧)みずほ銀行築地支店長。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、1977年から2003年まで旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)に勤務。2002年『非情銀行』で作家デビュー。2004年から2010年までは日本振興銀行に関わっていた。 
代表作に『隠蔽指令』、『庶務行員 多加賀主水が許さない』、『ザ・ブラックカンパニー』、『ラストチャンス 再生請負人』など。それぞれドラマ化されている。

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