新装版 日暮らし(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1029
レビュー : 60
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770484

作品紹介・あらすじ

佐吉が人を殺めた疑いで捕らえられた。しかも殺した相手は実の母、葵だという。生き別れた親子に何があったのか。「この世のことを一人で全部背負い込むわけにはいかないんだよ」。辛くても悲しくても決して消えてなくならない遺恨と嘘。本所深川の同心、平四郎と超美形の甥っ子、弓之助は真実を探り始める。

感想・レビュー・書評

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  • 平四郎シリーズ第2弾。
    相変わらず少し優しくて腹が立って悲しい人間達のお話しが、的確でユーモラスな文体で書かれています。
    このシリーズは中毒性があるのか、すごいスピードで読んでしまう。
    宮部みゆきさんは観音さまなのかしら。よくもまああるがままをそのまま受け止めて、「そうだから、そうであるしかない」なんて言えちゃうものだな。
    やばい。1日一冊で読んで行きそう。

  • 図書館で。
    ぼんくらの続きか~とデコの短編辺りはサイドストーリーとしてふぅん、と読んだのですが官九郎が死んだり、佐吉さんが下手人扱いされる辺りでダウン。
    そりゃあ人生平々凡々というわけにはいかないんだろうけど苦労した人がさらに苦労するのはあまり読みたくないという甘い考えです…

  • 2004年に出版された宮部みゆきの時代小説。

    文庫は2008年に上中下の3巻組で発売され、そのわずか3年後の2011年に上下の2巻組に再編されて新装版として発売され直しているのが面白い。定価の合計は2巻組にして下がったものの、3巻組はさすがに手に取りにくかった人が多かったのでしょうか。

    膨大な積読の山を前に呆然と日々を送っている自分ですが、積読には積読なりの利点があります。そして数多い利点のうちの一つが、シリーズものを続けて読めること。
    前作「ぼんくら」を読み終わり、間をおかずに続けてこの作品を読めるのは幸せです。

    舞台は前作の一年後、物語の始まりは夏です。
    前作同様連作短編と見せかけてそれぞれの短編がつながる長い章があるという構成は前作同様で、シリーズを続けて読んでいるとこういうのは嬉しくなります。

    前半の連作短編で語られるのは前作の登場人物の後日談。「おでこ」の三太郎の、若すぎる差配人佐吉とカラスの官九郎の、「ぼんくら」では名乗らせてもらえなかった葵の、そして鉄瓶長屋の心お得の鉄瓶長屋を巡る騒動のその後は、みなそれぞれの居場所で、その日その日を送っているようです。

    「おまんま」では寂しい身の上のおでこの三太郎が自分の今の境遇について悩みます。彼の異様な記憶力がとある事件の解決の手掛かりに結びつき、それが悩んでいる彼の立ち直りの切っ掛けになるという構成が連作短編の捕物帖の一編として面白く成り立っていると同時に、後の伏線となっていて巧みさに感心します。
    あと、タイトルの「ひぐらし」は、人それぞれに違うおまんまのいただき方をしながら、その日その日をその日暮らしで必死に生きている人たちの人生のことなのか…なんて考えさせられました。

    「嫌いの虫」では新婚の佐吉とお恵の話です。新婚夫婦の最初の諍いと仲直りまでを描いてまあ犬も食わない感じではありますが、その遠因は、佐吉が鉄瓶長屋の跡に建った湊屋の「藤屋敷」で聞かされた一言にあったようです。
    この一言は読者もおやっと思わされるもので、物語が動き始めたことを感じます。
    そして、ここにきて登場した弓之助がキレッキレなこと。前作をはるかに上回るその推理は、まるでシャーロック・ホームズを初めとする並み居る名探偵が見せるもののようです。

    「子盗り鬼」ではようやく出番が来た葵が活躍します。やられ役としてストーカー孫八が登場しますが、そのストーカーっぷりの気持ち悪さに「名もなき毒」の原田いずみを思い出しました。宮部みゆきの時代物は現代の事象や価値観を上手に持ち込んで読みやすさがを高めていますが、時代物にストーカーはその典型でしょう。
    前作ラストではあまり良い印象がなかった葵ですが、下巻ではお六に対する態度や的確に指示をして孫八を撃退するさまなど、ずいぶん印象が違います。そして佐吉への気持ちがこの章のタイトルに絡めて語られています。

    「なけなし三昧」で今作で出番のなかった平四郎とちょい役だけだった弓之助がようやく本格的に登場します。弓之助の従姉のおとよとお徳の商売敵が加わり、登場人物が賑やかになってきました。

    そして「日暮らし」でこれまでの雰囲気が一転します。「佐吉の目から、ぽたりと涙が落ちた」で下巻に続きます。

    魅力的な登場人物全員が幸せになって欲しかったのですが、湊屋が関係するとなかなか簡単にはいかないようです。佐吉に幸あれと祈りつつ、続けて下巻を読んできます。

  • 「ぼんくら」の続編なので、ぜひ読み終えてから手に取ることをおすすめします。
    井筒平四郎はもちろんのこと、弓之助、お徳、おでこなどのキャラクターが生き生きとしています。
    前作、ぼんくらの話が深くかかわっているのもあって途中で本を閉じたくなく夢中で読みふけりました。

  • 全2巻。
    ぼんくらの続編。
    http://booklog.jp/users/bullman/archives/4062747510

    ぼんくら同様、前半1話完結、
    後半それらがまとまってく構造。

    前作と同じ構造だけど、
    伏線がわかりやすくなり、
    話も前作に比べ明るめで、
    素直に楽しめる。

    作品としての完成度は若干落ちるかもしれないけど、
    前作で登場人物達を好きになった人達には
    とても嬉しいファンブックな感じ。
    登場人物達がよりクッキリとしてきて、
    どんどんこの世界が好きになる。

    これで1作目の呪縛というか、
    完結してた物語から脱却できたと思えるので、
    3作、4作と、シリーズとして長く続いてほしい。

  • 一話一話に登場人物の苦悩と成長が見れて今回もなかなか良かったです。おでこや弓之助も大人になっていくんだなとか。孫八の激しい思い込みにストーカーってどの時代にもいたんだと思ったり。
    佐吉がどうなるのか早く知りたい。

  • 平四郎シリーズの2作目。甥っ子・弓之助の推理が冴える。「修羅場があったのは下手人の心の中にだけ。人を逆上させ、前後を忘れさせてしまうもの。それは昔の罪」

  • 下巻にまとめ

  • 同作者の「ぼんくら」の続編。
    登場人物は前作からの面々が揃い、前作を読んでいる方にはお馴染みの景色が思い浮かぶだろう。

    今回は前作でも登場した湊屋に絡んだ因縁の先に起きた殺人事件。しかし、本題のこの殺人事件が起きるのは上巻を8割くらい読み進めた後。前振りがちょっと長い気がしないでも無い。さらには事件の真相は「えー、そこかぁ」という感じのちょっと斜め上な感じ。なんとなく拍子抜けしないでも無い。

    また、下巻の半分くらいから下手人が想像できてしまうところもちょっと残念な点。

    それでも、現代の推理小説とは違う江戸時代の捕物話は非常に面白く、ぼんくらを読んだ方にはぜひオススメしたい

  • ぼんくらシリーズは、はじめにいくつかの短編から始まり、本編の長編へとつながる。その短編が本編の伏線となっているのだが、本作の「子盗り鬼」は短編としても秀逸で、悪役の孫八の執念と怖さが臨場感を持って伝わってくる。この話がどのように本編とつながるのか楽しみ。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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