新装版 日暮らし(下) (講談社文庫)

  • 講談社 (2011年9月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784062770491

作品紹介・あらすじ

こつこつ積み上げてきた毎日。いつまでもこんな日々が続けばいいのに。

葵殺しの裏に見え隠れするのは、二年前に鉄瓶長屋で起きた事件から尾を引く、大店湊屋のお家事情。絡まった心を解きほぐそうとする平四郎。「叔父上、ここはひとつ白紙(まっさら)に戻してみてはいかがでしょう」。弓之助の推理が過去の隠し事の目くらましを晴らしていく。進化する著者の時代ミステリー感動の結末へ。

みんなの感想まとめ

人間の心の機微や人情が織りなす深い物語が展開される本作は、平四郎と弓之助のコンビが中心となり、葵殺しの真相を解き明かすミステリーです。特に弓之助の機転や頭の回転の速さが際立ち、彼の成長と葛藤が読者の心...

感想・レビュー・書評

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  • ミステリが濃い下巻の一冊。

    佐吉への納得のいかない始末に平四郎が黙っちゃいない。

    この殺しの裏には何があるのか…弓之助とゆっくり糸を解きほぐす、ミステリ色の濃さで下巻も一気に読ませてくれた。

    弓之助の、顔に負けず劣らずの頭の回転、機転が素晴らしい。

    でも時折その頭と心のバランスがうまくとれないそのせつなさにキュッと来て、見守る平四郎の優しさ、一枚ウワテの弓之助をきちんと認める姿にじんわり。

    ラストも文句なし。

    日向もあれば日陰もある、そんな日々の暮らしを沁みる人情で描き心掴まれてしまうこの世界、やっぱり好きだわ。

  • 宮部みゆき
    大好きだけど現代ものばかりにはまり
    どうしても時代物を後回しにしていた。

    教わることが多い、時とところと変わっても、人間は変わらない
    いや、昔の方が
    人情の機微があり、細やかなのかもしれない

    日暮しを読んで、「ぼんくら」の続きだとしった。惜しいことをしたけど多分後先でも、はずさないのでは。

    自分の夢ー江戸の、大店「おおだな」の御寮人さんか、とうはん「おじょうさん」に生まれ
    いいべべを着て
    毎日お芝居ざんまいなんぞいいな!

    本文より〜一日一日積み上げるように。
    てめえで進んでいかないと。おまんまをいただいてさ。みんなそうやって日暮しだ。
    積み上げて行くだけなんだから、それはとても易しいことのはずなのに、ときどき
    間違いが起こるのは何故だろう。
    自分で積んだものを、自分で崩したくなるのは何故だろう
    崩したものを元通りにしたくて悪あがきするのは何故だろう。


    登場人物がみんないい、
    思いやりがあって、分をわきまえ
    賢い
    宮部みゆきの描く人がたまらなく好きだわ。

    さあ、「ぼんくら」を読まなきゃ!

  • 平四郎さんと弓之助さんが葵さんを殺めた本当の下手人を探します。弓之助さんが大活躍です。思いもかけないところから下手人があらわれました。それにしても弓之助さん多芸すぎです。そして、佐吉さんとお恵さんの幸せがいつまでも続きますように。

  • 葵殺害の下手人は、湊屋の因縁とは全く別で、
    悲しい偶然が起こしたものだった。
    だから余計に、佐吉と葵が生きて再会できなかった事が、
    悔やまれた。

    お六さん、おとよ、杢太郎、佐伯さま、鉢巻の親分など、
    新しい登場人物たちが個性豊かで、読んでいて楽しかったし、湊屋の因縁も、ともかくスッキリしてよかった。

  • みんな、毎日をこんなふうに暮らせたらいいのになぁ。でも、そうはいかねぇんだよなぁ。一日、一日、積み上げるように。てめえで進んでいかないと。おまんまをいただいてさ。
    みんなそうやって日暮らしだ。
    積み上げてゆくだけなんだから、それはとても易しいことのはずなのに、ときどき、間違いが起こるのは何故だろう。
    自分で積んだものを、自分で崩したくなるのは何故だろう。崩したものを、元通りにしたくて悪あがきするのは何故だろう。

    ここがささりました。

  • 「ぼんくら」がとても面白かったので、シリーズ2作目の本作を続けて読んだ。中山七里の最新作「おわかれはモーツァルト」や逢坂剛のイベリアシリーズなど読みかけのものを放り出して。
    江戸情緒、人情、登場人物のキャラクター、そしてミステリー。とにかくツボにハマってしまった。前作同様、いくつかの短編があり、それが伏線となって本編に繋がっていく。ぼんくら同心(本当はぼんくらではない)井筒平四郎と後継養子に迎えようかとしている甥っ子弓乃助が事件の謎を解き情のある解決に導く。関わる周りの人々も前作からの馴染みが多く、どの人物もキャラクターが立っていて、ウイットもあり、どんどん作中にはまり込んでいく。
    3作目(最終話?)に「おまえさん」があるようなので、早速読むか、楽しみをとっておくか、、、

  • 「きたきた捕物帳」を読んだ機会に久々の再読です。
    個人的には湊屋が一番の元凶だと思います。でも湊屋の描き方にあまり辛辣さを感じません。
    比べておふじや葵への描写の方が辛辣で宮部作品て女性に容赦がないです。
    宮部さんは女性の厭な面をこれでもかとクローズアップしてくる。このシリーズを読むと特に感じます。
    湊屋、葵、おふじ個々になら勝手にやってろ!と突き放す気持ちになりますけど周りの人々特に子ども達が巻き込まれ成長に暗い影を落としている。腹が立ちます。
    でも読み手の自分の腹立ちに共感するかのように井筒の旦那平四郎が怒ってくれるので行き届いた小説だとあらためて思いました。

  • 再読。・・・のはずだが、ほぼ覚えていなかった。
    おかげで大変面白かった。

    鉄瓶長屋のその後。幻を魅せる一座が良かったなあ。
    あとお徳さんがんばれ。

  • あぁぁ~~湊屋の何と業の深いことよ・・・・。
    そして弓之助&おでこのなんと愛らしく賢いことよ。
    湊屋トラブル三人衆のおかげでおおくの人が悲しい波紋に身を委ねているのですが
    それを助けるのは人なんですねぇ。
    よい男にはしっかり者の女房がいるもののようです。
    読んでいてにやけてしまうほど。
    今回も悲しいことと優しいことがないまぜになった良い本でありました。
    ごちそうさまでした。

  • 一気に読んでしまった。人間のきたないところもしんどいところも書いているのに、きれいなところもやさしいところも書かれているから、ただただしんどくなったりはしないで済む。みんな幸せであれたら、は偽善だとしても。それにしても長助どこいったん…?

  • 面白すぎて上下巻合わせて5日とかからず読了。
    宮部みゆきさんの時代小説を片っ端から読んでいるところだけど、本当にどれも面白い。
    弓之助やおでこ、こんなにも可愛くて頼りになる子どもたちなら是非とも我が家の跡継ぎにしたい。笑

  • お徳の重箱を久兵衛に披露するシーン…良すぎる

  • どこか、名探偵コナンを思わせるようなキャストで、ことごとく事件を解決する利発な弓之助に主役を奪われがちだけど、やっぱりいい味を出してる平四郎が真ん中に居るのが座りがいいね。 ものぐさで凡庸だけど、空気が読めてけっこう物事の芯をとらえていて人情味に溢れてる。 宮部さんの時代小説は温かみがあって好きだな〜。早速、続編の「おまえさん」へ・・・。(o^^o)v

  • おや冷たいこと、亡者のあたしより冷たいねえ、という下りには、ゾクゾクさせられました。鉄瓶長屋に纏わる様々な伏線を回収してゆく後半の展開がすごい、宮部みゆき ★四つです。

  • まさかの結末。大店の内情にまつわるのか、と思いきや、でした。弓之助の推理が冴え過ぎて怖いくらい。事情はあれどおふじにしても、宗一郎にしても、佐吉にしても、確かにちょっと囚われすぎている気がして・・・。この落ち着き方で良かったとは思うけれど、いっそ湊屋潰れる、くらいの方が私には小気味よかったかも。それくらい総右衛門、という男性が気に喰わなかった。時折いい味を出してくるお徳さんに救われながら読了です。とても面白かった。

  • 「ぼんくら」を読んでしばらく時間がたっていたけど、最初に復習してくれたので大丈夫。
    ミステリとしてのメインの謎解きとか犯人が誰とかはそれほどではないかもしれないけれど、いろいろなキャラクターが登場して昔ならではの人情や色恋沙汰を描く小説として面白かった。

  • ぼんくらシリーズ第2作。今回は第一作の舞台の江戸は深川、鉄瓶長屋を離れ、芋洗坂周辺で起こった佐吉の母親、葵と湊屋を巡る話。第一作のように、小https://booklog.jp/users/mondsonde#話から始まるけれども、日暮しのメインパートである本編の葵を取り巻く話の解決に向けて、小話のピースが一個づつはまっていく感じ。今回も、ぼんくら(というほどぼんくらでもないが)同心井筒平四郎が、おねしょがおさまらない美形の甥っ子弓之助とともに鼻毛を抜き抜き解決に乗り出す、お江戸が舞台のミステリー。というか、弓之助大活躍の回。今作はタイトルにもなった「日暮し」つまり、その日を暮らすためのお足をどうやって稼ぐか、ということも随所にちりばめられて、また、湊屋側の新たな登場人物、お徳さんの今後、政五郎との連携などストーリーの軸がいくつもありつつも、それらの細い糸が最後よれて太い縄になるあたり、さすが宮部みゆきさんです。。。

  • 同作者の「ぼんくら」の続編。
    登場人物は前作からの面々が揃い、前作を読んでいる方にはお馴染みの景色が思い浮かぶだろう。

    今回は前作でも登場した湊屋に絡んだ因縁の先に起きた殺人事件。しかし、本題のこの殺人事件が起きるのは上巻を8割くらい読み進めた後。前振りがちょっと長い気がしないでも無い。さらには事件の真相は「えー、そこかぁ」という感じのちょっと斜め上な感じ。なんとなく拍子抜けしないでも無い。

    また、下巻の半分くらいから下手人が想像できてしまうところもちょっと残念な点。

    それでも、現代の推理小説とは違う江戸時代の捕物話は非常に面白く、ぼんくらを読んだ方にはぜひオススメしたい

  • 2004年に出版された宮部みゆきの時代小説。

    文庫初出は2008年(その後わずか3年で新装版になっていますが)。最近読んでいた宮部みゆきの歴史小説は初期のものが多かったのですが、比べてみるとずいぶん雰囲気が変わったなあとい思います。

    事件ではなくて、世界を描くようになったと思うのです。

    初期の作品は、一作一作売れるものを書くことが精一杯、売れるかどうか分からないのに続編を考えるなんて
    おこがましい、と次から次へ事件が勃発していたのですが、ベストセラー作家としての評価が確立し、書きたければいくらでも続編が書けるようになったからでしょう。

    今作「日暮らし」はそんな作品でした。「ぼんくら」で作った世界を語り広げている作品です。

    「ぼんくら」「日暮らし」を跨いだ因縁の中心人物である葵が殺されたことがストーリーの核ではありますが、描かれているのは葵殺しと関係がある者もそうでない者も、精一杯日々の暮らしを送っている世界です。

    下巻に至ってその傾向がより明らかになってきました。
    登場人物がどんどん増えて行きます。ちょい役だろうと思っていたら、人柄がどんどん掘り下げられていきます。サブキャラそれぞれにエピソードが追加され、大出世する者もいます。

    佐伯錠之介しかり、彦一とお徳のエピソードしかり、湊屋の長男宗一郎しかり、おでこに至っては上巻冒頭で主役を張るほどの大出世を遂げました。

    一方で、主人公であるはずの井筒平四郎はこれまでさんざん語り尽くされたからか、ちょっとなおざりにされている感じです。
    湊屋もその長男の宗一郎も、久兵衛も、井筒様には、井筒様だからとそれぞれ打ち明け話をし、相談をしてきます。ぼんくらを自認している井筒平四郎は、実は大人で相談し甲斐のある人物なのだということを、登場人物も、そして読者もここまで十分感じただろうから、もうあまり言わなくてもいいだろう、という感じです。

    弓之助も同様です。師匠の佐々木先生に言われて、何でも測量する癖は仕舞いにしたようですが、超絶美男子で頭が切れて、に加わるエピソードはあまりないように思います。

    それに比べ、大出世したのがかつて鉄瓶長屋の「心」だったお徳です。料理人がつき、部下ができ、とうとう仕出し屋のおかみさんになってしまいました。

    物語の中心にある葵殺しは、真相を見るとちょっと拍子抜け。そもそも、登場人物の中で犯人らしい者は一人しかいません。どちらかというと「どうして」が焦点にはなりますが、これについてももう一つ納得感のないものでした。

    ただ、弓之助と犯人との対決シーンは圧巻。
    前作と違い大立ち回りをするわけではありませんが、弓之助こんなこともできるのね、って感じです。

    珍しく平四郎が物事に夢中になったその相手、白蓮斎貞州までが登場して大団円。
    これほど大団円らしい大団円も珍しい。
    …と思いましたが、さらに続編の「おまえさん」が控えています。作者が腰を据えて描いた「世界」を味わってこようと思います。

    なお、解説によると、短い章がいくつか続いた後に長大な章があるという特徴的な構成は半村良「どぶどろ」のリスペクトだとか。一度読んでみたいと思います。

  • 宮部みゆきさんのいいところは最後は本当にスッキリできるところ!!!
    大好きなぼんくらの登場人物たちが今回もいい味出してました
    平四郎さんみたいにちょっとてきとーなお偉いさんがいたらいいのに!!!

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ・みゆき):一九六〇年東京都生まれ。八七年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『火車』で山本周五郎賞、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。『霊験お初捕物控』『ぼんくら』『三島屋変調百物語』シリーズ、『きたきた捕物帖』シリーズなど著書多数。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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