ロードムービー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3947
レビュー : 387
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770637

作品紹介・あらすじ

物語が終わっても、彼らの道は続いていく。
「あの頃の僕に伝えたい。『大丈夫、いつかきっと平気になるときが来るから』って」

運動神経抜群で学校の人気者のトシと気弱で友達の少ないワタル。小学五年生の彼らはある日、家出を決意する。きっかけは新学期。組替えで親しくなった二人がクラスから孤立し始めたことだった。「大丈夫、きっとうまくいく」(「ロードムービー」)。いつか見たあの校舎へ、懐かしさを刺激する表題作他、4編。

『冷たい校舎の時は止まる』の原点。

「きっと、同い年で同じ教室にいたら、君は僕になんて見向きもしなかった。だけどいま、僕はきちんとここで立っている。僕は昔より楽に呼吸が出来ている。――だから安心していいんだよ」
いつかどこかで出会った彼ら。本を閉じても続く、あの懐かしい「校舎」へ。

「街灯」/「ロードムービー」/「道の先」/「トーキョー語り」/「雪の降る道」

感想・レビュー・書評

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  • この作家さんとは本当に相性が良いなぁ。

    冷たい校舎の〜のスピンオフの様な内容だけれども、読んでいなくても全く問題なく楽しめると思います。
    実際私は登場人物ほぼ覚えておらず。

    4編からなる短編集。どれも良い。
    一番初めの表題作は心にグッときて、そして驚かされる。二度美味しい。

    いやぁ、本当に辻村作品は良いなぁ。

    冷たい校舎の〜を読んだ人は尚、読んでない人も
    私の様に忘れた人も楽しめる作品だと思う。

    パラパラーとでもいいから、冷たい校舎を再読しようかしら。

  • 人が人と本気で向き合うこと、想い合うことの大切さや強さが身に染みる一方で、今まで本気で人と向き合ったことがほとんどない自分が少し恥ずかしくなります。

    失って初めて気づく大切なもの。誰しもが一度は経験したことがある思いではないでしょうか。「雪の降る道」では、そんな過去を思い出しましたが、目の前のこと・もの・人を大切にするという経験から得たはずの教訓が活かしきれていない現実に反省するばかりでした。

    辻村作品の特徴でもある心の黒い部分のリアルな描写に嫌悪と共感を抱きながら、そこに惹きこまれていくような短編集です。

  • 単純に良い作品。これを読んでから『冷たい校舎の時は止まる』を読んでもいいし、その逆でもいいと思う。全体を通してのテーマは孤立。辻村先生の描く孤立はリアリティがあり、かなり生々しい。たまにイジメになる原因が意味不明の作家いるが、この作家はかなり分かりやすい。故に生々しい。それでも、かならず光を目指しているのが良い所。最大の長所。一番好きな作家です。

  • スタバで泣いてしまった。

    辻村深月さんは本当にいい話を書きます。背中押してくれたり、励ましを受けた気分になれる。

    「ロードムービー」や「道の先」で
    こんなイヤなやつ、確かにいた
    ってのを思い出しました。いちいち口に出すんじゃねえよとか、別に関心ない人なのに何でこいつこんなにしつこいの、など腹立たしい思いを経験された方は読んでてピンとくるものがあるでしょう。

    傷ついた心も支えてくれる友情も、全部ひっくるめて感動しました。
    すごく前向きになれた。

  • 番外編って好きです。
    あのキャラの違う日常、または未来が見えるし、
    あのキャラをどこまで語るのかってところが、
    作者さんのセンスによると思うので、
    その作者さんが、自分の好みなのか違うのかはっきりわかりますよね;-)

    もう最初の【ロードムービー】から大好きでした
    番外編ではなくて、この本だけでも読めます。

    短編のひとつひとつに
    わずかな違和感がちりばめてあって、
    最後にすべてがわかるときの、
    違和感がすっきりする瞬間がたまりません!

    これは購入しなければ(^^)

  • 痛く、冷たく、そして優しい物語。

    『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ短編集となります。
    名前遊びの秀逸さは健在で、読後にページをめくり返すこともしばしば。

    青春時代の純粋さと残酷さ、そして直截さが印象的です。
    ん、ルサンチマン、、今の自分には重い言葉だなぁ。。

    学生時代はそんなに意識したことなかったのですけどね、なんて。

  • 何の気なしに飛行機で読み始め、やばいやばい、涙が出て来た。


    最初の作品を読んだ時、あ、ダメかもと少しだけ思った。
    小学生の「オトナはわかってくれない」系はちょっと苦手。
    でも、最後のオチがすかっと決まって、思わず背筋が伸びたりして。

    その後はもう、苦手なジュヴナイル総出演でも、
    しかもみんながみんな、出来るいい子ちゃん達でも、
    それでももう、吸い込まれるように読み切った。

    転校して行ったあの子のその後。
    その憧れの彼は実は。などなど。

    相変わらずのサービス精神はそこここに。
    うまい構成に、ナミダがぽろぽろ。
    なんか気持ちよい技に、もう気分よく泣けた一作。

    困るんだよね辻村作品。
    もう一回昔の作品を、読みたくなっちゃうじゃないか。


    ‥ん?何がロードムービー?
    あたしは勝手にこれが、人生のロードかなって思ったんだけど、
    辻村先生、どうなんでしょうか?

  • 運動神経抜群で人気者のトシと、弱虫で友達の少ないワタルの友情物語。
    ワタルと仲良くなったことがきっかけで、今までの友達から仲間はずれにされてしまうトシ。
    小学生にはよくあることかなと思います。
    強いトシは何をされても泣かず、小さな体と心でたくさんのことに耐えています。
    そんな強いトシの、最後の最後の気持ちに、グッときました。

    「人間は、自分の身体が痛くなくても、心がつらくなくても涙が出るようにできているらしい。」

    ワタルは全然弱虫じゃなかったし、トシは、強くなかった。2人で一つとはこんなことなんだなぁと、思いました。


    またこの作品は、「冷たい校舎の時は止まる」とかなりリンクしています。わかりやすい登場の仕方ではないので、冷たい校舎の時は止まるを読んでからすぐに、この話を読むことをお勧めします。
    この物語内では辻村さんらしい、叙述トリックが現れます。そこも魅力のひとつかなと思います。

  • 「冷たい校舎の時は止まる」のスピンオフである4つの短編。
    本書は自分も含めた同作のファンならば堪らない、作者からのプレゼントなのではないだろうか。
    好きだったキャラの過去や未来の姿を知ることができるので、これを読むことにより「冷たい校舎の」の世界がより深く理解できるようになるという、スピンオフのお手本のような作品。
    短編の中では「ロードムービー」が一番気に入った。辻村深月らしい少年少女の繊細な心情描写やトリックが冴え渡る。そして桐野景子はお母さんになってもあの性格は変わらずで思わずニヤリとした。

  • 自分が苦しい時に手を差し伸べてくれる人。そういう人がいることがどれほど心強いか。友達、同級生、先生。その人たちと過ごす大切な時間がもっともっと、ずっとずっと続けばと願うこと。それが思うようにいかなくてもそこにいたこと、時間はたしかに存在してこの先の力になる。君が、あなたがいるから大丈夫なんだと思える素晴らしさ。優しさや思いやりがたっぷり詰まった作品。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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