ロードムービー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770637

作品紹介・あらすじ

物語が終わっても、彼らの道は続いていく。
「あの頃の僕に伝えたい。『大丈夫、いつかきっと平気になるときが来るから』って」

運動神経抜群で学校の人気者のトシと気弱で友達の少ないワタル。小学五年生の彼らはある日、家出を決意する。きっかけは新学期。組替えで親しくなった二人がクラスから孤立し始めたことだった。「大丈夫、きっとうまくいく」(「ロードムービー」)。いつか見たあの校舎へ、懐かしさを刺激する表題作他、4編。

『冷たい校舎の時は止まる』の原点。

「きっと、同い年で同じ教室にいたら、君は僕になんて見向きもしなかった。だけどいま、僕はきちんとここで立っている。僕は昔より楽に呼吸が出来ている。――だから安心していいんだよ」
いつかどこかで出会った彼ら。本を閉じても続く、あの懐かしい「校舎」へ。

「街灯」/「ロードムービー」/「道の先」/「トーキョー語り」/「雪の降る道」

感想・レビュー・書評

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  •  冷たい校舎の時は止まる。この本を側に置いて読みたかった。懐かしい登場人物達に出会えて嬉しかった。辻村深月はいいな。と素直に思えた作品。

     「雪の降る道」が大好き。みーちゃんは健気で頑張り屋さん。可愛らしくて、応援したくなった。スガ兄は文句なしにかっこいい。ヒロ君の心の描写に心打たれた。

  • 辻村深月のロードムービーを読みました。
    子供の頃に経験したことをおとなになってから思い出すと、また違った気持ちで思い出すことができる、という短編集でした。

    表題作のロードムービーは子供の頃の冒険の物語でした。
    しっかりもののトシちゃんと気弱なワタルは教室でのいじめやワタルの家庭の事情から二人で家出することを決意します。
    地方の町から東京に出て、転がり込もうとした家に到着しますが...

    4編の物語はそれぞれ温かい物語で面白く読みました。

    解説で辻村深月の物語たちでは登場人物が重なっていると書いてあったので、もう一度順番通り読み直してもいいかな、と思ってしまいます。

  • 『冷たい校舎の時は止まる』からの『ロードムービー』。『辻村深月すごろく』どおりに。これはやっぱりすごろくどおりでなければと、と実感。

    『ロードムービー』 トシとワタル。ワタルと仲良くなったがために、アカリを中心とするクラスから、いじめの対象となるトシ…
    逆風の中、児童会長選挙に立候補する…
    『バカ娘』って、えっ?
    辻村深月らしいといえば、辻村深月らしい。
    あの2人の子どもならしょうがないか…
    親が親だからね…
    ちゃんとみんながトシのことをわかってくれてよかった…
    ワタルの応援演説、素晴らしかった、あれがトシを児童会長にしたな。
    鷹野も深月も登場。

    『道の先』 塾講師のアルバイトをしている俺と、中学3年生の千晶。
    お金持ちの娘で、大人びた千晶。ひとりおねえさんのように見られている…
    まわりにわかり合える友だちがいない千晶。
    そんな千晶に塾講師の俺は…

    俺は…だよなぁ、鷹野も出てきたし…
    名前が出てこないけど、梨香と一緒に榊に会いに行ってたし…
    どうなるんだろ⁇
    何の関係が⁇

    『トウキョー語り』につながっていくとは…
    中高生、特に女子はそうなんだろうなぁ、と思ってしまう。
    地方からすると、東京は都会で、東京から来たってなると、注目されるんだろう。

    遠山さんが…だったとは。
    最後に繋がる…
    携帯電話にあんなに固執したのは、お父さんが関係あるのかと思ったが。
    …の連絡先ととしまえん、だったとは…
    ずっーと忘れてないんだな。
    東大にいく、という想いを持ち続けている遠山さん。すごいな。

    『雪の降る道』 鷹野と深月の小学生時代。『ひまわりの家』でできたもうひとりのヒロとの突然の別れからのその後…

    このころの関係性は深月が鷹野を見守っていた。ヒロを失って、傷ついていた鷹野を…
    だから鷹野は深月をずっーと守り続けているんだろうな…
    でもよかった2人の関係性が壊れず、これからもずっと続いていくことになって…

    短編でありながら、読み応えがあった。

    『辻村深月すごろく』のゴールまで、あと2冊。

  • 短編集。
    表題作「ロードムービー」では家出を決行した子供達とその背景について描かれていて。少し心が痛くもありました。
    最後のトシの真相についてもビックリ。
    個人的には「道の先」が特に印象に残ったかな。
    辻村さんの過去の作品の登場人物も所々に現れていて。
    過去作品を読めばより楽しめるとも思います。

  • ワタルの演説のシーン、泣けたー!

    道の先、雪の降る道も良かったんだけど、

    「冷たい校舎」を読んでないから
    (数年前に挫折してて)
    よく分からなかったんだろう。
    ちゃんと読んでたら、
    きっと感動があったんだろうなぁ。

    私の読んだ単行本には
    「トーキョー語り」と「街灯」は無かった。
    残念

  • 「冷たい校舎の時は止まる」ではなく、こちらを先に読んでしまったがストーリーとして完結してるので、これはこれで読みやすいが、冷たい校舎〜の方もぜひ読みたいと思った!

    ロードムービー、トーキョー物語だまされたな!
    気持ちのいい騙され方でした!笑

    ロードムービー、子ども達2人のピュアさ、
    理不尽さ切なさ、色々懐かしく感じながら
    楽しく読めた。この2人は再び出逢えたのだろうか。

    雪の降る道、みーちゃんの健気さに切なくなった。
    スガ兄の察しの良さというか、もちろん付き合いも長く良く見てきたからだろうけど凄いなあと思った。

     

  • 「冷たい校舎の時は止まる」の彼らの過去と未来。自分の頭の中に残っていた彼らの姿、そのままの印象で登場してくれました。
    5つの短編が集められていますが、
     <街灯> とても短いプロローグ的な作品。でも「冷たい」を読んだ人には、これだけで一気にあの世界に連れて行ってもらえるような、短いけどとても印象深いお話です。
     <ロードムービー> これは誰なんだと思いましたが、どうしてトシがこんな性別不詳のしゃべり方なんだということで、なるほど、と気づきました。ただ、それ以上に自分たちに何の責任もないところでの理不尽さとの闘いを経ての大逆転は舞台が小学校だったこともあってホッとしました。あと、気になった店名『マルミ堂』、「かがみの孤城」との接点でしょうか?
     <道の先> いつまで経っても名前が明らかにされない俺と彼女。これは彼だよね、彼女だよねという悶々とした時間。そして、結局最後まで直接には名前が明らかにされないにもかかわらず、彼女の話す『サカキくん、元気かな』という一文だけで読者の前に訪れるカタルシス。「冷たい」を読んでいるかいないかで天と地ほど感動が違う作品だと思いました。俺と彼女の性格が見事にイメージ通りに描写されていてこれも感激。
     <トーキョー語り> 辻村さんの描くイジメの世界って強く胸を締め付けられるような描写が多いです。この作品ではそんな中でも強く生きる彼女が登場します。その彼女が支えとしていたものは何だったのか。実のところ結末にすぐにピンと来なかったのですが、少ししてハッと気づきました。「冷たい」とは全く関係ないと思いましたが、<道の先>と繋がっていたのですね。「豊島園」と「電話番号」。千晶のその後を見れてかつハッピーエンドで嬉しかったです。
     <雪の降る道> これは誰と考える必要なく分かってしまう、ヒロくんとみーちゃん、菅兄も登場しての大団円。未来の「冷たい」の世界を予感させる雪の世界。でもあったかい、とてもあったかいお話です。これこそ「冷たい」の後に読まないと感動できないお話だと思いました。

    それぞれ短い時間でしたが、冷たい校舎の中で、彼らと一緒に過ごしたあの時を思い出させてくれた作品でした。いつの時にも悩みとは向き合わなければならない、でもどんな時でも助けてくれる人がいる、きっといる。そしてそんな中で力をもらって立ち上がり、未来へと共に歩いていく。彼らのあの時を知っているからこそ、この先の彼らの未来がまたとても楽しみになる、そんなことを感じた作品でした。

  • 『冷たい校舎の時は止まる』読んだのにおぼろげにしか覚えてなかった自分が残念。

    『雪の降る道』ヒロくんのことはさすがに覚えてたから、会えて嬉しくなった。そうそう、そうだったって思い出すたび切なくなっていく。みーちゃんの一途さも、まだ幼いし傷ついてる最中のヒロくんには眩しかったのかも。どうかすると、似た話は他にもあるかもだけど、ヒロちゃんの話があってのこの話で、そこから立ち直っていく子供の心理描写が本当に絶妙。

    『ロードムービー』トシちゃんとワタルもよかったなぁ。景子と裕二の子供で優秀なのにイジメられちゃう。イジメって、ちょっとしたキッカケで
    イジメっ子は何処にでもいるんだろうけど、ターゲットになる方はたまんない。

    『トーキョー語り』田舎に来た転校生と仲良くなったり仲違いしたり。そんなもんなのかな。って感じだったけど、あれが千晶だってところがグッとくる。さくらちゃんもいい子だ。みんなそれぞれ違って当たり前。

    紆余曲折あっても、真っ直ぐで頑張ってる子が報われる話は読んでて温かくなる。それでいて、繋がってて成長を垣間見れた気分になれるのは得した気分。

  • 100ページ程の短編4つが詰まったお買い得パック。
    それぞれ小中学生がドラマの主人公として登場する。
    現実のそれよろしく、子供というのは時に残酷である。
    ちょっとしたことがきっかけで仲が悪くなり、きつい言葉、無視、いじめ、嫌がらせと言ったことにつながっていく。もちろん、ちょっとしたことがきっかけで仲直りをするのも早かったりするのだが。

    そうした「子供」ならではの心の闇、黒い部分をあらためて今の自分から俯瞰してみると、自分も同じことをしてきたのだろう、と思える。大人になった今、他人と程よい距離を取ることで嫌な感情を押し殺している。逃げずに正面から向き合うことも時には必要なんだろうな、と改めて考えさせられる。

  • 「冷たい校舎の時は止まる」に続いて読む。彼らと再び会えて嬉しい。
    それぞれの短編の主人公が誰と関係するのか、全部読み終わったところで、「道の先」→「トーキョー語り」、「雪の降る道」は分かったけど、「ロードムービー」の主人公であるトシとワタルが誰か分からなかった。ネットで検索してあーっ!てなる。こんな風につながってるのは、読んでて嬉しい。
    ヒロくんは、この経験を経て、強く思いやりのある高校三年の鷹野になったのだ、と分かる。さらにはタカノのおじさんに。
    充がいい感じの大人になって、脇役だった彼が、主人公になって、「今、どれだけおかしくても、そのうちちゃんとうまくいく。気づいた頃には、知らないうちに望んでいた“遠く”を自分が手にできたことを知る、そんな時が来る。それまでは、どれだけめちゃくちゃだって悲しくたっていいんだ。いつか、どこか正しい場所を見つけて、千晶は平気になる。だから安心していい、心配しなくていいんだ」って言えてる。でもリカの前ではやっぱり充は充なのもなんか嬉しい。そう言われた千晶が、携帯を大事にし、東京を目指していて、ちょっとヤな子からずいぶん成長したことに気づいて嬉しい。
    「光待つ場所へ」の前に読まないといけないものが何冊もある、、、。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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