モダンタイムス(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.69
  • (648)
  • (1590)
  • (1236)
  • (238)
  • (36)
本棚登録 : 11607
レビュー : 973
  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770798

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 伊坂さんの作品の中で一番好きかも。
    全体の感想はうまくまとめられないので、とりあえずひとつだけ。

    最後のシーンがすごくいい。
    「勇気は彼女が持っている。俺がなくしたりしないように」
    この台詞、たまらなく好き。

  • ある言葉を検索した人は皆襲われたり事件に巻き込まれ、友人井坂には新作原稿を託され、たどり着いた先には可愛い老女と元美人モデルがいて、刺客は何故か拷問され、古い映画にヒントを探す主人公。

    そのうえ井坂には連絡が取れず、結果的に彼から託されたメッセージをもとに、失踪していた先輩と共に国家の英雄を待ち伏せ。

    この辺りからちらりと、ゴールデンスランバーに似ている…と思ったら、やはり同時期に書かれた作品であり、あとがきには「 二卵性双生児のような作品 」とあった。

    システムエンジニアだった伊坂幸太郎本人の経歴も生かされているような、不思議に色々な要素が入り組んだ作品でした。
    「 そういうことになっている」とすべてがシステムの一部にされている不気味さはなんだかリアルで生々しい。

    「 人間は大きな目的のために生きているんじゃない、もっと小さな目的のために生きている。 」
    『 小説で世界なんて変えられねぇ。でも届くかもしれない、どこかの誰か、一人 』この言葉が印象的。

  • 上下巻読了。
    面白い!ラストは一気読みでした。

    最初、主人公の状況には救いがないし…全体的に暗くよどんだ雰囲気だし…。苦手だな。読むの止めようかな…。と思ってました。
    どのへんからだろうか。それがいきなりはまってて自分でもびっくり。そのまま後半はもうまさに一気読み!
    面白くて面白くて、ここで止まるのはもったいない!って。もうちょっとだけ!って、結局睡眠時間削られました(笑)

    そして相変わらずの軽妙な会話。つい真似して使いたくなる(実際日常で使ってたらすげー嫌なヤツになると思いますが(笑))
    でもこれだけはいつか言ってみたい。
    「その真相は気に入りません。チェンジです」って。
    痺れたなぁ~。

  • 漫画誌で掲載されたこともあり、作品全体の長さもあいまって作品自体の疾走感とは裏腹に、長さを感じた作品ではあった。

    小説としては、途中に生まれるもやもやが最後には爽快な程に晴れ渡る感覚を覚え、やはり伊坂の小説は読後感が良いと思わせてくれる。
    伏線の回収もあり、尚且つ思いもよらないとこから伏線が現れるのもやはり伊坂幸太郎作品が面白いところ。

    加えて、モダンタイムスに関しては特にそうなのだけれど、シリアスな展開もある中で、緊張感の中に時折あるユーモアさがいい具合に緊張とリラックスを行き来させてくれる感覚にもなる。

    作中にもあるように小説は沁みるものという表現を最後には感じることができ、小説に答えが載ってる訳じゃない、こういう終わりもありだよなと笑いにも似た爽快感がありました。
    終わり方、あれは最後にジョーカー切ったって感じもありましたが、、、笑

    唯一の不満は最初からあった謎が結局わからずじまいなことでしょうか。
    とはいっても最早こじ付けな不満で、もうそれはそういうことで!といった感じにすらなっている自分がいます。

  • おもっしろかったー!

    「魔王」から50年後の世界が舞台だと知ってずっと読みたかったのですが、難しそうだな~長いしな~と手つかずのまま。しかし伊坂作品なら面白いに違いない!と意を決して読書してみたところ、続きが気になって気になって読むのをやめられませんでした。

    多少難しく感じる部分もあったものの、それを補うエンターテイメント性があったと思います。ただ、魔王を読んだ際に感じた社会への焦燥感や、自己の確立性の重要さなどは感じられませんでした。

    ファンタジーな設定と現実社会の結び付け方がうまいなあ。潤也くんと詩織ちゃんの、「呼吸」後の様子が知れてよかった。

  • 1日中パソコンの前座りっぱなしな仕事の私も、
    分からないことは“検索”、飽きちゃったときの暇つぶしも“検索”、
    検索検索検索…。
    分からないことは検索するんだよっていう五反田さんの言葉、
    的を得すぎていて恐ろしさすら覚えます。

    例の3つのキーワードで検索かけるときちんとサイトが出てくるところなんかさすが。

    わたしのお気に入りは恐妻・佳代子さん。
    ラストが愛に溢れてて素敵でした。


    『重力ピエロ』越えました!

  • 魔王とのつながりやゴールデンスランバーとの対比を感じた
    すごく面白かった

  • これは面白かった。伊坂作品のトップ3に入る。
    魔王から続く物語。テーマは、国家という大きな存在に個人という小さな存在がいかにして関わったり、立ち向かったりするか、というもの、と個人的には解釈している。

    今自分が知っていることは全て真実ではない、見方や考え方を変えればそれは無数のものとなる。

    自分一人では大きなシステムそれ自体は変えられない。ただ、目の前にあることを変化させたり、目の前にいる人を助けたりはできる。

    これらのことをこの本から学べた。

    以下、個人的に気に入った言葉や
    言い回し。

    人生は要約できない。要約した時に抜け落ちる部分こそが、その人の人生なのだ。

    風景とはこちらの感情により、表情を変える。

    都合のいい瞬間だけ切り取った映像で何が分かるわけ?もしかすると、あの馬車の御者が、アパッチ族の娘を昔、襲ったことがあるのかもしれないじゃない。で、その復讐よ!事実なんて、情報でいくらでも塗り変わっちゃうってことよ。

    アリが優先させるべきは集団の維持だ。アリは自分の都合を優先させない。人間はどうだ。逆だ。

    不特定多数の、漠然とした誰かを救え、と言われたら途方にくれるだろ。自分が誰のために生きているのか、誰と闘うべきなのかが曖昧としていればいるほど、眼の前には虚無が広がる。

    野原が広がって、雑草があちこちに生えてるとするじゃねえか。で、とてもじゃねえが、全部の草木は引っこ抜けない。そうだろ。一人の能力には限界がある。その時にできることはー

    一つは諦めることだ。全部の草むしりなんて不可能だから、何もやらないほうが利口じゃないか。そういう考え方だ。な、賢明だ。

    で、もう一つは、あれだ。

    せいぜい、自分のできる範囲で、身近なところだけでも草をむしっておこうか、って考えだ。

    政治色が強く、我々の生活にも関連する部分が多かっただけに、共感できたり、感慨深かったりする言葉や言い回しもたくさんありました。

  • 確かな悪者はいない。
    こいつが悪いと分かれば責める対象が分かりやすい。
    でも現実と同じように、こいつが諸悪の根源だなんて分かりやすく存在はしてくれないものです。
    目の前の困っている人を助けるということが、
    実際にできることなのかもしれないですね。

    文庫版と単行版での結末が少し違うみたいですね。
    気になります。

  • 『人生を楽しむには、
    勇気と想像力と、
    ちょっぴりのお金があればいい』

    -チャップリン-


    『勇気は彼女が。
    彼女が持っている。
    僕がなくしたりしないように。』

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

モダンタイムス(下) (講談社文庫)のその他の作品

伊坂幸太郎の作品

ツイートする