新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)

著者 : 池井戸潤
  • 講談社 (2011年11月15日発売)
3.42
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771405

作品紹介・あらすじ

帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり…スキャンダルに事欠かない伏魔殿を指宿は奔走する。腐敗した組織が、ある罠を用意しているとも知らずに-「総務特命担当者」の運命はいかに!?意外な仕掛けに唸らされる傑作ミステリー。

新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 池井戸さんの初期の作品。

    帝都銀行内の不祥事処理を任された総務部特命担当者の指宿修平。
    情報漏えい、パワハラ、誘拐、ストーカー、ペイオフなど8つの短編が並んでおり、事件の調査と解決に向けて奔走する指宿の姿が描かれる。

    実際の銀行でもこういった事件は起こりうるのかと、つい現実と重ねあわせたくなる。悪意に満ちた人々の割合が多すぎやしない?それをつぎつぎに見せつけられて、少々うんざりする。もちろん、小説だからと割り切れずに、そんな感想を持ってしまう自分の甘さにもがっかりする部分もある。
    コナン君の周りで毎週起こる殺人事件の多さには、少々ツッコミを入れつつも、違和感を感じずに見ることができるのに・・・。
    その上、調査の過程に時間を割いていて、水戸黄門の殺陣と説法のような相手を懲らしめ大団円に至るシーンが控えめで、いつものスカッとした爽快さを味わうことはあまり期待できない。

    日頃、光明が差す瞬間を描いたシーンに涙したり、余韻を楽しんだりすることも好きなんだけど、今回はその先まで読みたいなあと思った。

    池井戸さんも今の筆致に至るまで、あれこれ試してきたということなのかも。もちろん、こちらの雰囲気を好む読者さんもいることと思われます。

    ただ、最終話で指宿の部下である唐木(←花咲舞を思い出させるなかなか気の強い女性)が、以前関わりのあった老婆が直面する問題を、今までの経験と目の前にある出来事に対する洞察力で解決へと導くストーリーは、私好みでありました。

    いま、ふと思ったののだけど、独特な行内の慣行や業務など地の文の難しさがあって、スルスルと読むことができなかったのは、読み手である自分に知識が足りなかったからかもしれない。
    ということは、この業界に見識のある人にとっては、より面白いのかもしれません。

    池井戸作品において、ターニングポイントになったといわれる『シャイロックの子どもたち』をもう一度読んでみようかな・・・。
    さらに、味わい深く読むことができるかもしれない。

    • vilureefさん
      こんばんは~♪

      池井戸さん、初期の作品も短編も読んだことがありません・・・。
      たまたま図書館の新刊コーナーにあった「シャイロックの子どもたち」を手に取ってからはまりました。
      この作品がターニングポイントと言われているのですね。
      ビフォーアフターを読み比べてみたいなと思いました。
      2014/08/15
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは!

      先日読んだ本のあとがきに、「シャイロックの子どもたち」を境にして、池井戸さんの作品に変化が現われているというようなことが書いてあったんです。

      私が最初に手に取ったのは「空飛ぶタイヤ」(シャイロックの後です)でしたので、手に汗握る、息を詰めて読みふけてしまうドキドキとわくわくのエンタメに遭遇して、池井戸さんの力強いストーリー展開に驚かされました。
      それ以来、おっかけています。

      作家さんも年齢や経験を経ることで、作品が変わっていきますよね。長いお付き合いになるとそういう変化を知るのも楽しいなあと思います。
      2014/08/16
  • 帝都銀行の特命担当である指宿調査役。
    彼の元に、行内の様々な不祥事や難問が降りかかる。
    また、彼を追い落とす影の動きも。
    果たして、彼は真実を暴けるのか?
    途中から部下になった唐木調査役とのタッグも、だんだん良い関係に...
    短編集ゆえ、それぞれのストーリーは、短いですが、しっかりとした流れとキャラの書き分けで、十分長編にも劣らない内容となっています。
    最後まで、全て書かず、読者に委ねる手法は、流石です。

  • 総務特命担当の指宿が主人公の銀行小説。
    半沢直樹ほどの分かりやすい悪人は出てこないので、
    その悪人をとっちめる痛快さは無いものの
    不祥事を取り扱う総務特命という立場上物語の幅が広く面白いです。
    ただやっと謎が解けたり立場が逆転したりしてここから
    指宿が活躍するぞというところで物語が終わってしまったりするので
    物足りなさが残るというか何というかというところですね。

  • 2002年の作品で、花咲舞シリーズは2004年でその原型みたいな感じだ。特命と言うと「相棒」のよううでもある。扱う事件が誘拐や暴力、AV出演と過激なのが目立つ。また最後倍返しする前に止めてしまって、もう分るでしょという作りにしているのが印象的。そこは泥臭くやってほしかったのですが。

  • 不祥事の後に購入し読了。
    内容としては短編集であり、結末を書き込まないあたりが不祥事と同様である。
    うろ覚えだが、ドラマ版「花咲舞が黙ってない」はこの銀行総務特命もセットにしていたかと思う。
    不祥事との違いは、主人公が指宿調査役、男性である点。
    やはり池井戸潤のメインである銀行内容なので勉強になる。

  • 帝都銀行総務部の指宿修平は、社内で起きた不祥事を探る特命を受けている行員である。
    顧客の名簿流出や行員のAV出演。ペイオフに乗じた資金横領、銀行を巡る後を絶たないスキャンダルに立ち向かう姿を描いています。
    世の中の銀行がこれだけのスキャンダルに溢れている、と考えると恐ろしくて何も信用できなくなってしまいました(笑)

  • 銀行内の不祥事処をテーマにした短編集。池井戸さんの銀行を舞台とした小説、どの作品も面白い。ストリーも面白いけど、それと同じくらい人間関係の複雑さが面白い。印象に残ったのはAVに出演することで復讐をしようとした「官能銀行」とよくある話とはいえ心が痛む独居老人が主人公の「ペイオフの罠」

  • 花咲舞がドラマ化した頃に読みかけていたものを約2年位放置していた。
    登場人物が多いのと内容が難しくて、放置してしまったのかも。
    ドラマでも見たが「ペイオフの罠」面白かった。
    それにしても、毎回欲呆けした悪いやつが出てくるなぁと思った。

  • 短編なので読みやすい。
    内容はいつもの感じで、あっさり終わる。
    それなりに盛り上がる。
    他の作品に比べると、不正を暴く存在がいるとかで良心的な部分が多い。

  • 不祥事担当の帝都銀行総務部企画グループ特命担当調査役の指宿修平が主人公の短編集。後半の話では、人事部から特命担当に異動してきた唐木玲も存在感を増してくる。銀行を舞台とした小説は、元銀行員である池井戸潤の十八番であり、どの話もリアリティがあり読みごたえがある。単なる勧善懲悪ではなく、結末をあえて語らず余韻を残している話も少なくない。スカッと感はあまりないが、これはこれでよい。本書の中で、「遅延稟議」で警察官の語る「根っからの善人が悪人にならなきゃいけないほど悲しいものはないです。……根っからの善人を悪事に追い立てたほうが百倍悪いと思います」というセリフが印象に残った。

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