新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.42
  • (71)
  • (262)
  • (393)
  • (63)
  • (5)
本棚登録 : 2172
レビュー : 226
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771405

作品紹介・あらすじ

帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり…スキャンダルに事欠かない伏魔殿を指宿は奔走する。腐敗した組織が、ある罠を用意しているとも知らずに-「総務特命担当者」の運命はいかに!?意外な仕掛けに唸らされる傑作ミステリー。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 池井戸さんの初期の作品。

    帝都銀行内の不祥事処理を任された総務部特命担当者の指宿修平。
    情報漏えい、パワハラ、誘拐、ストーカー、ペイオフなど8つの短編が並んでおり、事件の調査と解決に向けて奔走する指宿の姿が描かれる。

    実際の銀行でもこういった事件は起こりうるのかと、つい現実と重ねあわせたくなる。悪意に満ちた人々の割合が多すぎやしない?それをつぎつぎに見せつけられて、少々うんざりする。もちろん、小説だからと割り切れずに、そんな感想を持ってしまう自分の甘さにもがっかりする部分もある。
    コナン君の周りで毎週起こる殺人事件の多さには、少々ツッコミを入れつつも、違和感を感じずに見ることができるのに・・・。
    その上、調査の過程に時間を割いていて、水戸黄門の殺陣と説法のような相手を懲らしめ大団円に至るシーンが控えめで、いつものスカッとした爽快さを味わうことはあまり期待できない。

    日頃、光明が差す瞬間を描いたシーンに涙したり、余韻を楽しんだりすることも好きなんだけど、今回はその先まで読みたいなあと思った。

    池井戸さんも今の筆致に至るまで、あれこれ試してきたということなのかも。もちろん、こちらの雰囲気を好む読者さんもいることと思われます。

    ただ、最終話で指宿の部下である唐木(←花咲舞を思い出させるなかなか気の強い女性)が、以前関わりのあった老婆が直面する問題を、今までの経験と目の前にある出来事に対する洞察力で解決へと導くストーリーは、私好みでありました。

    いま、ふと思ったののだけど、独特な行内の慣行や業務など地の文の難しさがあって、スルスルと読むことができなかったのは、読み手である自分に知識が足りなかったからかもしれない。
    ということは、この業界に見識のある人にとっては、より面白いのかもしれません。

    池井戸作品において、ターニングポイントになったといわれる『シャイロックの子どもたち』をもう一度読んでみようかな・・・。
    さらに、味わい深く読むことができるかもしれない。

    • vilureefさん
      こんばんは~♪

      池井戸さん、初期の作品も短編も読んだことがありません・・・。
      たまたま図書館の新刊コーナーにあった「シャイロックの子...
      こんばんは~♪

      池井戸さん、初期の作品も短編も読んだことがありません・・・。
      たまたま図書館の新刊コーナーにあった「シャイロックの子どもたち」を手に取ってからはまりました。
      この作品がターニングポイントと言われているのですね。
      ビフォーアフターを読み比べてみたいなと思いました。
      2014/08/15
    • nico314さん
      vilureefさん、こんにちは!

      先日読んだ本のあとがきに、「シャイロックの子どもたち」を境にして、池井戸さんの作品に変化が現われて...
      vilureefさん、こんにちは!

      先日読んだ本のあとがきに、「シャイロックの子どもたち」を境にして、池井戸さんの作品に変化が現われているというようなことが書いてあったんです。

      私が最初に手に取ったのは「空飛ぶタイヤ」(シャイロックの後です)でしたので、手に汗握る、息を詰めて読みふけてしまうドキドキとわくわくのエンタメに遭遇して、池井戸さんの力強いストーリー展開に驚かされました。
      それ以来、おっかけています。

      作家さんも年齢や経験を経ることで、作品が変わっていきますよね。長いお付き合いになるとそういう変化を知るのも楽しいなあと思います。
      2014/08/16
  • 帝都銀行の特命担当である指宿調査役。
    彼の元に、行内の様々な不祥事や難問が降りかかる。
    また、彼を追い落とす影の動きも。
    果たして、彼は真実を暴けるのか?
    途中から部下になった唐木調査役とのタッグも、だんだん良い関係に...
    短編集ゆえ、それぞれのストーリーは、短いですが、しっかりとした流れとキャラの書き分けで、十分長編にも劣らない内容となっています。
    最後まで、全て書かず、読者に委ねる手法は、流石です。

  • 池井戸潤のイメージが勧善懲悪のカタルシスだったため、この本は少々読後感が意外だった。
    不祥事処理という役柄のため、事件後の物語が核になるのだが、登場人物は皆、どこか不幸を抱えている。
    その様子があまりに現実的で、色々と考えさせられる小説だった。

  • 面白かった。けど、犯人を特定して終わりというところがちょっと残念。

    銀行ミステリーとして、総務特命担当者の主人公が探偵役となって、銀行内の不祥事案件の真相を明らかにしていく物語。
    8件の連作短編小説となっています。要は8件の事件の解決をしてく物語

    ■漏洩
    顧客名簿が流出。
    誰が流出させたのか、その動機は?

    ■煉瓦のよう
    裏金の疑惑。口座での金の流れ。
    しかし、その真相は?

    ■官能銀行
    現役行員のAV出演疑惑
    本当に行員なのか?そして、出演の動機は?

    ■灰の数だけ
    誘拐された幹部の妻子
    人質を救い出すことが出来るのか?
    そして犯人は誰?

    ■ストーカー
    行員のストーカー被害
    犯人は誰?
    本当の狙いは?

    ■特命対特命
    巨額損失を理由に、特命をつぶそうとする人事の動き
    特命はつぶされてしまうのか?

    ■遅延稟議
    行員が刺される事件発生
    その背景には倒産した会社が。
    さらには稟議が通らなかった理由。
    犯人は誰?

    ■ペイオフの罠
    老女が移し替えた銀行口座が破綻。ペイオフに
    しかし、その裏には周到に用意された罠が

    といった感じです。

    池井戸さんといえば勧善懲悪で最後の最後で悪さしている人がやられるパターンが定番だと思いますが、本作では懲悪までは至らずです。
    謎解きの深さと銀行ならではの専門性は良いのですが、ヒューマンドラマが絡まないところが残念。

    ドラマの1クールにちょうど良いかんじ!!

  • 総務特命担当の指宿が主人公の銀行小説。
    半沢直樹ほどの分かりやすい悪人は出てこないので、
    その悪人をとっちめる痛快さは無いものの
    不祥事を取り扱う総務特命という立場上物語の幅が広く面白いです。
    ただやっと謎が解けたり立場が逆転したりしてここから
    指宿が活躍するぞというところで物語が終わってしまったりするので
    物足りなさが残るというか何というかというところですね。

  • 2002年の作品で、花咲舞シリーズは2004年でその原型みたいな感じだ。特命と言うと「相棒」のよううでもある。扱う事件が誘拐や暴力、AV出演と過激なのが目立つ。また最後倍返しする前に止めてしまって、もう分るでしょという作りにしているのが印象的。そこは泥臭くやってほしかったのですが。

  • 不祥事の後に購入し読了。
    内容としては短編集であり、結末を書き込まないあたりが不祥事と同様である。
    うろ覚えだが、ドラマ版「花咲舞が黙ってない」はこの銀行総務特命もセットにしていたかと思う。
    不祥事との違いは、主人公が指宿調査役、男性である点。
    やはり池井戸潤のメインである銀行内容なので勉強になる。

  • 帝都銀行総務部の指宿修平は、社内で起きた不祥事を探る特命を受けている行員である。
    顧客の名簿流出や行員のAV出演。ペイオフに乗じた資金横領、銀行を巡る後を絶たないスキャンダルに立ち向かう姿を描いています。
    世の中の銀行がこれだけのスキャンダルに溢れている、と考えると恐ろしくて何も信用できなくなってしまいました(笑)

  • 銀行内の不祥事処をテーマにした短編集。池井戸さんの銀行を舞台とした小説、どの作品も面白い。ストリーも面白いけど、それと同じくらい人間関係の複雑さが面白い。印象に残ったのはAVに出演することで復讐をしようとした「官能銀行」とよくある話とはいえ心が痛む独居老人が主人公の「ペイオフの罠」

  • 花咲舞がドラマ化した頃に読みかけていたものを約2年位放置していた。
    登場人物が多いのと内容が難しくて、放置してしまったのかも。
    ドラマでも見たが「ペイオフの罠」面白かった。
    それにしても、毎回欲呆けした悪いやつが出てくるなぁと思った。

全226件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

池井戸 潤(いけいど じゅん)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部および法学部を卒業。子供の頃から本に親しみ、作家になりたいと思っていた。『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。

以降、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞を、2011年『下町ロケット』で直木賞をそれぞれ受賞。他の代表作に、半沢直樹シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』、花咲舞シリーズ『不祥事』、『空飛ぶタイヤ』『民王』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』など。多くの作品がドラマ化・映画化されており、非常に高い人気を誇る。

新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)のその他の作品

池井戸潤の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
池井戸 潤
東野 圭吾
池井戸 潤
有効な右矢印 無効な右矢印

新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする