チェーン・ポイズン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1990
レビュー : 288
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771450

作品紹介・あらすじ

本当に死ぬ気なら、一年待ちませんか?人気絶頂のバイオリニスト、陰惨な事件の被害者家族、三十代のOL。三つの自殺に不思議な関連性を見出した週刊誌記者・原田は、"死のセールスマン"が運んだらしき、謎のメッセージの存在を知る。「命の取り引き」がもたらす意外な結末とは?心揺さぶるミステリアス長編。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的に好きになれない話だった。
    読んでいる内にどんどん疲れて読み終えた時はくたびれた。

    内容は、
    見知らぬ人物に声をかけられ1年間死ぬ事を待った自殺志望の女性と、
    彼女を含めて三人の男女の服毒自殺の真相を追う雑誌記者、それぞれの目線で描かれた物語。

    序盤に結末が分かるので、最初に書くと、主人公の女性は養護施設のボランティアをして様々な人と関わったりしながらも結局は自殺してしまう。
    人が自殺するのはそれぞれの事情があるし、人それぞれ許容量もある訳だから、何で?とは言えないけど、この主人公に関してはやはり自殺する事に疑問を感じた。
    亡くなった後、心痛める親がいる。
    仕事や人間関係に失望していたとしてもやり直せる若さもある。
    そして、後半は自分自身で手繰り寄せた縁で、自分の居場所のようなものを作ったりしてるのに・・・。
    ボランティアを通して養護施設の子供たち、様々な人に関わって再生を果たす・・・というのはありがちな話ではあるけど・・・。

    この本に関してはそんな風に感じさせるのも作者の意図のような気がして嫌~な気分になった。
    何となく読み終えて感じたのは、奇をてらってるということ。
    普通とちょっとズレた所にもっていく事によって読み手を惹きつけているという感じがした。
    私はもっと地味な部分で読ませてくれる話が好きなので、こういう作為的なのが見えた時点でしらけてしまう。

    主人公の女性は生真面目でどちらかというと面白味のない人間のように書かれているけど、それとボランティア施設のためにある人に食ってかかる場面、この本のタイトルになっている、死ぬ際に人を巻き込む、というのがどうも同じ人のような気がしなくて違和感を感じた。
    また、雑誌記者が服毒自殺という事件をここまで丁寧に時間をかけて取材するかな?とも思った。
    もっと大人数が関わっているならまだしも・・・。
    それに、この本では他の2人の自殺者の事をほとんど書いてないという事も物足りなさを感じた。

    衝撃的な事を書いてあるけれど、中身がスカスカで伝わってくるもののない本だった。

  • 久々に爽やかな読後感だった(^^)
    なんの疑問も持たなかったけど、ちょいちょい違和感があったなぁ、たしかに!
    おもしろかった(o^^o)

  • だまされた!(笑)
    人生に希望を見つけられなくて、自殺を考えていた女性の前に「1年後に、楽に死ねる手段を提供します」という提案が降って湧いてくる。
    その言葉を信じ、1年だけ生きてみようと思う女性と、連続しておこった服毒自殺者を追うライターとの話が交互に展開されていく。
    死んでしまった人が、毒を飲んだ理由というかきっかけが、なんとなくわかる気がした。
    そして、眠るように楽に死ねる毒があったら、俺でも酔っ払っていたら飲んでしまうかもしれない。っていう作中の台詞に納得した。

  • どんでん返しありと知りながらも、最後まで全く気づけず。そーゆうことか、とすっかり騙された。
    主人公のおばちゃんが、最後、ちゃんと生きがいを見つけて生きようと思ってくれて、、結末もすっきり納得して読了。

  • 世界の中から悪意が消えることはきっとない・・・。

    その悪意から目を背けたり、あきらめたりせず、その存在を認め、それでも進み続けることが生きるということなのかもしれない。

    でも、自分のためだけでは、きっと頑張れない・・・。
    一緒にいたい。そばで成長を見守り続けたい。そんな想いを持てる存在が近くにいるからこそ、人は頑張り続けることができるのだと思った。

    たまたま、チラシを見ていた時や落とし物をした時、自分にとっては何気ない小さなきっかけが大きな出会いをつくることがある。

    今、いる場所だけがすべてじゃない・・・。
    そこから、一歩踏み出したとき、見えてくる世界は無限に広がっている。

    そして、そんな世界の中で、何か大切にしたいものを見つけたとき、人は生き続けようと思うのかもしれない・・・。

    「生きがいがある。」それだけで、人はもう幸福なんだろうなと思った小説でした。

  • 久しぶりに作品の世界に入り込めた。高野章子の謎が解けないまま終わるかと思ったけど、最後の最後で大ドンデン返しがあって身体が冷たくなった。すごく面白かった!!

  • 最後まで面白く読めました。
    こういう構成の小説、個人的に好きです。
    好きなので、期待値もあがりますが…。

    文庫で読んだのですが、
    この装丁とタイトル、好きじゃないです。
    えと、個人的な感想ですが。

    あと、身も蓋もないですが、この話に、
    このトリックは必要だったのでしょうか?

    しかし、おばちゃんと子供たちの交流の描写、
    『こんにちはだけじゃなく、いい天気ですね〜』の考え方と
    ラストの結び方は、素晴らしいものだったと思う。

  • 「もし、本気で死ぬ気なら、1年待ってみませんか?」

    ―もう死にたい。
    "死のセールスマン"から「眠るように楽に死ねる薬」を約束された代わりにもう一年だけ生きる時間を与えられた女性。そしてその一年後に、”死のセールスマン”の謎を追うジャーナリストが交錯するミステリ。

    この本をミステリとして読むとその価値は半減してしまうかもしれない。
    最近良く見かける叙述トリックであることから結末が途中で分かってしまう読者も多いのではないかと思う。寧ろ作者は、トリックを見破ってほしいとすら思っているように感じた。なぜなら、主人公の女性の描き方がジャーナリストが追う自殺した女性の客観像と大きく離れている印象を受けたからだ。ジャーナリストが追う”客観的事実”は上手く符合させているが、主人公から語られる”主観的事実”の印象が全く違っているように感じた。

    寧ろこの本の主題は人の繋がりと自殺について、そして生きることの素晴らしさにあり、与えられた1年間の時間の中で死を選んだ人と生きる事を選んだ人の対比を通して(ミステリの手法で読者を引き付けつつ)作者のメッセージが込められているのではないかと思う。
    この主題に対して作者はジャーナリストの原田との口を借りてホスピスの院長との会話の中でこう表現している。
    「近所でたまに顔を見かける名前も知らない人に、こんにちは、だけではなく、そこに続けて、いいお天気ですね、と声をかけていれば高野章子は死ななかったんじゃないか」と。
    それに対して、生きる事を選んだ槇村が原田の「こんにちは、いい天気ですね」という声掛けに対して「ええ。本当に。本当にいいお天気。」と返すラストには清々しい感動を覚える。
    ミステリの体を取りつつ、自殺、生という重いメッセージを織り込ませる作者の手腕に脱帽である。

    余談だけど、ゲルセミウム・エレガンスって、本当に楽に死ねるのかしら?
    wikipediaには苦しそうな症状しか書いてなかったけど…笑


    それにしても
    「もし、本気で死ぬ気なら、1年待ってみませんか?」
    という問いは本当に考えさせられるものがありますね。

  • 自殺を1年間思いとどまり、その間に出会う施設の子供たちとの交流を通し、生きる意義を見つけるお話なのだが、ちょっとしたトリックが仕掛けられていて、話は主人公と、雑誌記者の2側面から展開される構成になっている。ラスト数十ページで読者の思い込みを打ち破るトリックがあるのだが、巧みさには欠け、逆に小説全体の後味を悪くした印象もあった。素直に、生きる意義を問い直した主人公の話に特化した作品にした方が良いように感じた。

  • ハードカバーも持っていますが、
    文庫を見つけたので
    思わず購入、そして再読。

    「本当に死ぬ気なら、一年待ちませんか?
     もしそのとき、その気になったら、ここに来てください」

    主人公が死にたいと思った時に、
    全部を投げ捨てて無に近づいてる時に
    公園で出会った不思議なセールスマン。

    彼女は
    約束までの一年間を
    とにかく潰していこうとする。

    生命保険に入り、
    仕事を辞め、
    人との接点を絶つ。

    死に向かって毎日を過ごす彼女と、
    連続服毒自殺に疑問を感じた記者との
    ふたつの視点で物語は進んでいきます。

    そのセールスマンは一体誰なのか、
    死の種を作りだしたのは誰なのか、
    一年後に本当に楽に死ねるプレゼントが届くのか、

    突発性難聴におそわれた天才バイオリニスト、
    娘と妻を殺され、犯人の死刑執行を見送った遺族、

    死に呼び寄せられるのか
    死を呼び寄せるのか。


    天才の寿命、
    社会の敗北、

    生と死の淵を覗き込む行為。

    痛々しくて、苦しくて。
    それなのに感覚は麻痺していくような。

    文章は読みやすいので
    一日で読み切ってしまいましたが
    重い感じです。

    大丈夫、大丈夫だから、
    私が守ってみせるから。

    彼女は死を選ぶのか。
    死ぬのか。

    祈らずにはいられなくなっていきます。
    再読しても、
    やっぱり良かった!

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著者プロフィール

本多 孝好(ほんだ たかよし)
1971年、東京都生まれ。弁護士になるため慶應義塾大学法学部に入学したが、大学4年生の時、同じ学部の金城一紀に小説執筆を依頼されたことがきっかけで、作家を選択肢に入れる。弁護士になるか迷っているさなかの1994年、「眠りの海」で第16回小説推理新人賞を受賞し、作家となることを決心。
以降、1999年『MISSING』で単行本デビュー。
2008年短編集『FINE DAYS』に収録された『イエスタデイズ』が映画化されたのを皮切りに、『真夜中の五分前』、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『at Home』など映画化された作品多数。その他代表作として、『MOMENT』など。

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