さようなら窓 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771665

感想・レビュー・書評

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  • 大学生のきいちゃんは家出をして、恋人のゆうちゃんのアパートに転がり込む。
    ゆうちゃんが寝物語に話してくれる少し不思議なエピソード、2人の遭遇した不思議な出来事を描いた連作短編集。

    東さんは歌人だから、短いフレーズに豊かな世界を乗せるのはお手の物。
    童話っぽいゆったりした語り口が読んでいて余計に現実感を無くす。

    穏やかな2人の日々だけれど、常に終わりの気配を孕んでいる。
    どんな結末になるのだろうと思ったけれど、私には意外な終わり方だった。

  • きぃちゃんの愛と成長の物語。優しくてどこかポワポワした、いつも見守ってくれるゆうちゃんの家に居候し、眠れない夜にゆうちゃんは、少し不思議な自分の昔話をしてくれる。きぃちゃんは精神不安定で、幼い印象があって、ゆうちゃんに依存している。後半、家を飛び出してきたきぃちゃんと家族との交わりから、ゆうちゃんから離れ、一人で生きて行こうとする流れが切なくも良かった。また、色々と抱えこむ人たちとの出会いも、上手く言えないけど、人間がもがきながら生きていることを教えてくれたのかな。きぃちゃんに少し自分が重なる。

  • きいちゃんはちょっと不安定。ゆうちゃんのほんとの気持ちもわからなかったから、続きがどんどん気になったな。

  • わたしは多分ずっとゆうちゃんみたいなひとを探してるんだろう。だからわたしにとってこの物語はかなしかったけど、いとおしくてたまらないものだった。
    きいちゃんを抱きしめてあげたい。よく頑張ったねえらいねって言って、一緒にわんわん泣きたい。

  • オリオン書房で平積みされてておもわずジャケ買い。ぜんっぜんきいたことなかったけど、タイトルと可愛い装丁に惹かれて。
    なんというか、解説の西加奈子さんの言葉を借りて、
    やさしくて、こわい
    話だと思いました。
    2013/02/10読了。

  • 最初の数ページから泣いてしまった…家で読んでたら泣きっぱなしだったと思う。甘やかされることで腐っていくじぶんを見ながら、どうしようもあるのに、どうしようもないとこにこだわることで、うまく生活のポケットの中に隠れる。学生だからこそできるし、家族だからこそ逃げられないし、遂に優しさが甘やかしにしか感じられなくなる…っていうのは、あーもーなんだかなぁ。究極でさびしすぎる一連のごっこ遊びに、いちいち泣いてしまいました。
    東さんの小説初めて読んだのですが、短歌の世界が解かれたような不思議さを感じて、これはどういうことかなーと思ったんだけど、たぶん複数の短編から構成されてるからだと思う。章立てというよりは、それぞれが独立してるように思えて、より世界観が切り取られた感じになるような。

  • ことばには「書きことば」、「話しことば」とあるけど、この本は「想いことば」で書かれてる。心で想う時のことばってたしかにこんなだ。

    寂しさは誰かにすがることでは埋められないと気付いたきいちゃん。
    えらかった。がんばったね、きいちゃん。

  • 東さんの物語は、いつもガラス越しでみているのような感じがする。それも、昔の手作りガラス。透明なはずなのに、ところどころゆがんだり、色が変わったり、きらきらしたり………。そして、手が届かない。十二の物語はどれも切なくて、ゆらゆらでキラキラしている。

  • ネタバレ
    西加奈子さん推薦
    「ふわふわしてる癖に、どうしたって胸を掴んで離さない」
    というのが気になって、あと、表紙がかわいくて購入。
    比較的薄い部類なので、サッと読めます。

    まずは、甘い!甘いよー。
    かなり最初のとこ
    ゆうちゃんの指は、その森の中を自由に、すばやく走りまわる、森のおおかみ。(引用)
    のところとかで
    あ、これ駄目かもって思ってしまったけど、最後まで読みました。

    読んでるとドキドキしてくる。(良い意味ではなく、ハラハラっていうか動悸に近い。笑)
    元(本当)のお父さんが実に嫌な人で、少しは良いところも見せて欲しかったかな。(まあ、そこはしょうがないのか?)
    好きなのは、くしゅの話!ミリさん!

    サルコも少し気になる話。

    そういう不思議な感覚、ふわふわ?した感じは好き。

    でも、読み終わった後の何とも言えない感じが、いやこの終わりでいいんだろうけど…、でも、っていうのが。うーん、何度も読み返したい!!!とは、ならないかなぁ。個人的な好みの問題かな!

    あとは、妹(異父姉妹)の希望ちゃん。
    姉妹間で、通じあえてないことってあるだろうな。近くにいても、家族でも。
    自分のことしか考えてなかったとか、きいちゃん気付けてよかったね。

  • きいちゃんとその恋人ゆうちゃんの連作短編集。
    痛みを感じないって、どんな感じなんだろう。

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著者プロフィール

歌人、作家。第7回歌壇賞、第31回坪田譲治文学賞(『いとの森の家』)を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』、小説に『とりつくしま』『ひとっこひとり』、エッセイ集に『一緒に生きる』『レモン石鹼泡立てる』、歌書に『短歌の時間』『現代短歌版百人一首』、絵本に『わたしのマントはぼうしつき』(絵・町田尚子)などがある。「東京新聞」などの選歌欄担当。近刊にくどうれいんとの共著『水歌通信』がある。鳥好き。

「2023年 『朝、空が見えます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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