さようなら窓 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 281
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062771665

感想・レビュー・書評

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  • 柔らかくて温かい優しさに浸かったままのきいちゃんに、時々いらいらさせられながら羨ましくもあった。

    自分で立ち上がらなくても笑っていてくれる存在がいるなら、そんな世界、理想的すぎるじゃないか。

    でも……それではバランスが保てないのだ。人間って難しいものだな。

    島本理生の『シルエット』を思い出す。無条件の抱擁。
    ゆるい小説が好きな方には、ぜひ。

  • p46「のうみつなぶどうの甘い香りが部屋中に充満していた。」
    「ゆうちゃんのそういうお気楽なところが、好きで、そしていぶかしい。」

    恋人のゆうちゃんのおうちでの居候ぐらし。不安で何もできず眠れないときにしてくれるお話。
    あたたかくて愛のある、そして胸がキュウッとなるお話でした。カブトムシの話。ぶどうジャムの話。でもふわふわしすぎているというか、女の子がゆうちゃんに(心理的に)まとわりすぎている臆病な感じが、モヤモヤする。と思っていたら…仕方ないのかな。でもキュウッとなる。

  • 不安定な主人公をやさしく見守る彼。でも、変わるのって自分でどうにかするしかない。変わるのも振り回すのも、すべて自分軸の主人公。数年前の自分を見ている気がして、かすかな苛立ちをずっと持ちながらよみました。なかのエピソードに、「いとの森の家」の話かな?と思うものがありました。

  • ひとりでうまく眠れないきいちゃんのために、恋人のゆうちゃんはいつも不思議なお話を聞かせてくれた。やさしくてさみしい、静かな再生の物語。

    ゆるい短編連作なのかなと思っていたら、終盤でどんどんお話が進んでいき、読み終わったときには胸がずっしりと重たかった。いい意味で騙された感じ。
    「さようなら窓さようならポチ買い物にゆけてたのしかったことなど」
    冒頭に載っている上記の歌が、また素敵。

    ゆうちゃんは『いとの森の家』に出てきたおハルさんなど、どこかで聞いたことにあるお話を聞かせてくれるので、合わせて筆者の本を読むとより一層楽しめるかもしれない。

  • 情緒不安定気味なきいちゃんと一緒に暮らしているゆうちゃんの物語。
    ゆうちゃんのお話や、意図的にひらがなを多用していることもあり、なんだかゆるっとした雰囲気。
    優しすぎるゆうちゃんと不安定なきいちゃんという二人なので、ただ穏やかなだけではなくて、不穏な空気がつねに漂っていて、不思議な読み心地。

  • 大学生のきいちゃんは家出をして、恋人のゆうちゃんのアパートに転がり込む。
    ゆうちゃんが寝物語に話してくれる少し不思議なエピソード、2人の遭遇した不思議な出来事を描いた連作短編集。

    東さんは歌人だから、短いフレーズに豊かな世界を乗せるのはお手の物。
    童話っぽいゆったりした語り口が読んでいて余計に現実感を無くす。

    穏やかな2人の日々だけれど、常に終わりの気配を孕んでいる。
    どんな結末になるのだろうと思ったけれど、私には意外な終わり方だった。

  • きぃちゃんの愛と成長の物語。優しくてどこかポワポワした、いつも見守ってくれるゆうちゃんの家に居候し、眠れない夜にゆうちゃんは、少し不思議な自分の昔話をしてくれる。きぃちゃんは精神不安定で、幼い印象があって、ゆうちゃんに依存している。後半、家を飛び出してきたきぃちゃんと家族との交わりから、ゆうちゃんから離れ、一人で生きて行こうとする流れが切なくも良かった。また、色々と抱えこむ人たちとの出会いも、上手く言えないけど、人間がもがきながら生きていることを教えてくれたのかな。きぃちゃんに少し自分が重なる。

  • ネタバレ
    西加奈子さん推薦
    「ふわふわしてる癖に、どうしたって胸を掴んで離さない」
    というのが気になって、あと、表紙がかわいくて購入。
    比較的薄い部類なので、サッと読めます。

    まずは、甘い!甘いよー。
    かなり最初のとこ
    ゆうちゃんの指は、その森の中を自由に、すばやく走りまわる、森のおおかみ。(引用)
    のところとかで
    あ、これ駄目かもって思ってしまったけど、最後まで読みました。

    読んでるとドキドキしてくる。(良い意味ではなく、ハラハラっていうか動悸に近い。笑)
    元(本当)のお父さんが実に嫌な人で、少しは良いところも見せて欲しかったかな。(まあ、そこはしょうがないのか?)
    好きなのは、くしゅの話!ミリさん!

    サルコも少し気になる話。

    そういう不思議な感覚、ふわふわ?した感じは好き。

    でも、読み終わった後の何とも言えない感じが、いやこの終わりでいいんだろうけど…、でも、っていうのが。うーん、何度も読み返したい!!!とは、ならないかなぁ。個人的な好みの問題かな!

    あとは、妹(異父姉妹)の希望ちゃん。
    姉妹間で、通じあえてないことってあるだろうな。近くにいても、家族でも。
    自分のことしか考えてなかったとか、きいちゃん気付けてよかったね。

  • きいちゃんとその恋人ゆうちゃんの連作短編集。
    痛みを感じないって、どんな感じなんだろう。

  • ゆうちゃんときいちゃんの幸せな生活。幸せな生活がなぜか悲しいのはそれがいつか終わるから。

    それにしてもピョートル大帝はその後どうなったのでしょう。

著者プロフィール

1963年広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとの森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ』『晴れ女の耳』、エッセイ集に『短歌の不思議』など。穂村弘との共著に『回転ドアは、順番に』がある。

「2019年 『しびれる短歌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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