新装版 雲の階段(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772082

作品紹介・あらすじ

女子大生・亜希子の手術は成功し、三郎は彼女と愛し合うようになる。亜希子は東京の大病院の令嬢だった。看護師の恋人・明子を島に残し、三郎は東京で亜希子と婚約し病院の後継者となる。空虚な出世の階段をのぼりながら、いつ偽医者であることが露見するかと、三郎は戦々恐々の日々を送る。衝撃の結末。

感想・レビュー・書評

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  • 心配した、亜希子との結婚式も終わり、田坂病院の外科医として勤務する三郎。

    どうにか、外科医として仕事をこなして来たが、事務長から、医師免許証の提出を求められる。適当な登録番号を伝えて、その場は事なきを得たが、さらに、院長から、学位を取るように言われる。

    そんな時、昔馴染みから、偽医者をネタにお金をせびられる。
    おまけに、捨てた彼女の自殺未遂。亜希子の流産と、悪いことが重なり、落ち込む三郎。

    「足がちっとも地についていないのに、雲の上をふわふわ浮かれとんでいる。
    何も知らず、ただ夢だけ追って来た」

    最後に三郎が取った行動は。

    読後感
    『周りの人達を、不幸の渦に巻き込んで、三郎って男は、どうしょうもない男やなあ』

  • スリリングな展開でした(上巻が特に)。
    最後の結末がなんとも。ズルズルいくか?どうするか?

    渡辺淳一氏って読みやすい。読ませる。古いのになんだろうこの新鮮さ。多作作家にハマるとマズイのわかっちゃいるのに...

    朝まで読んでしまう作家本に出会えて嬉しい、じつは!

  • 小説には人生の続きがないからいいよね

  • 半日で読んでしまった。読むのを止められなかった。
    それにしても、やっぱり男はバカだね、の一言に尽きる…。
    長谷川博己ファンとしては、もう少ししっかりした男性を演じてもらいたい。(苦笑)

    刊行から30年を経て、今再びドラマ化されたのも頷ける面白さだった。
    たまに出てくるカタカナ表記の単語で時代を感じさせられたが、それ以外は現代に置き換えてもまったく違和感がない。
    そして、自分が女性でよかったと思った。
    明子の最後の三郎への手紙は、同じ女性として誇り高いとすら思ったのだ。
    また、三郎の母の愛情には、涙さえ込み上げてきた。

    三郎みたいな男性には、たとえイケメンだろうが優しかろうが長谷川博己だろうが、出会いたくないものです。(笑)

    久々に読み応えのある作品でした。

  • 相川三郎、最低の男でした。
    自分では何も決断せず周りに流されまくって、その場しのぎの嘘を重ね、どっちつかず。自分から選んで偽医者になりその事を隠したまま生きていくことを決めたはずなのに、いつも誰かのせいにして逃げることしか考えていない。

    貧しい生活を嫌い、人情味溢れる田舎を嫌い、自ら裕福な病院長の娘との結婚を決めたのに、結婚したら今度は金持ちの特権意識を嫌い、贅沢三昧の義理の家族を嫌い、島の生活を懐かしむ。自分勝手なないものねだりで、この人と関わった人が気の毒に思います。
    最後は手紙だけ残して逃げるって……あまりにも無責任であきれました。結局この人は明子のことも亜希子のことも心からは愛していなかったんだな……

    ちゃんと警察に捕まって罪に問われてマスコミにも全て公開されて、罰を受ける姿を見たかったような気もするけど、もうこの男の無責任な言い訳を聞きたくもないのでこの結末でよかったのかな。

  • こんな話あるはずないと思いつつも、読むのをやめられないくらい面白かった。
    見様見真似で医療行為ができるなら、医学部で6年間学ぶ意味はあるのかな。

  • ハァ~( ´Д`)=3 ダメだコイツ(三郎)(--;)この先もずーっとこんな感じで生きていくんだろうな(-_-)母ちゃんが不憫だ(T-T)

  • 面白くてあっという間に読み終えた。三郎の嘘がいつわかるかとひやひやしながら読んだ。嘘というのはつきとおせるものではないとつくづく思った。最後の小島慶子の解説はとても辛辣で的を得たものだと思った。結局三郎は自分の人生を何も自分で決めることなくふらふらと流されているだけだった。無資格なのに診療させる所長に逆らうこともできず、明子という恋人がいながら美しい病院長の娘の亜希子と結婚する。富と地位のため偽医者であることを隠し続ける。また最後には隠し通せないと思うと手紙を残して外国へと逃げる。彼はずっとそんな人生を送るのに違いない。

  • 評価は2.

    内容(BOOKデーターベース)
    女子大生・亜希子の手術は成功し、三郎は彼女と愛し合うようになる。亜希子は東京の大病院の令嬢だった。看護師の恋人・明子を島に残し、三郎は東京で亜希子と婚約し病院の後継者となる。空虚な出世の階段をのぼりながら、いつ偽医者であることが露見するかと、三郎は戦々恐々の日々を送る。衝撃の結末。

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著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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