ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

  • 講談社 (2012年4月13日発売)
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本 ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784062772242

作品紹介・あらすじ

地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。2013年おすすめ文庫王国 エンターテインメント部門 第1位。(講談社文庫)


事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。

母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。

地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 今回のテーマは女性についてです。私も女性なのですごく共感できることがいっぱいでした。やっぱりどれだけ仲が良くても友達と比較して落ち込んだりすることもありました。そんな女性の心情を上手に表現したのがこの本です。この本は地元を飛び出したみずほと妊娠して母親を殺し逃げているチエミの話です。なぜ、チエミは逃げるのかという真相がわかった時には驚きでしかありませんでした。

    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      この作品オイラも読みました。
      いい作品だったなぁ。
      「いいね」ありがとうございます。

      この作品オイラも読みました。
      いい作品だったなぁ。
      2025/05/02
    • うたえながさん
      きたごやたろうさんコメントありがとうございます!この本も良かったですよねー
      きたごやたろうさんコメントありがとうございます!この本も良かったですよねー
      2025/05/06
    • きたごやたろうさん
      うたえながさんへ

      辻村さんの作品全般にオイラは好きです。
      最近読むてないけど…。
      うたえながさんへ

      辻村さんの作品全般にオイラは好きです。
      最近読むてないけど…。
      2025/05/06
  • 同年代の女の子たちの間にある、『私の方があの子よりはまし』という暗い感情、マウンティングがとてもリアルで身につまされた。口では相手を褒めて自分なんて…と言いながらも、常に自分の位置を確認せずにはいられないあの感情はなんなのだろう。
    競うものが自分の仕事や学歴、容姿なんかであるならまだわかるけど、年を重ねるうちにそれは彼氏の容姿や仕事、自分がいかに大切にされているかであったり、結婚相手となれば職業や年収、住んでいる土地や家のランク、子どもができればその子どもの成績や運動神経、性格までがマウンティングの指標となる。女同士の比べ合いには終わりがない。

    その中でいつも自分は下層にいると感じていたチエミ。彼女には自分がなくて、そんな自分を変えるすべを知らなくて、周りの人が全て自分より上手くいっていると思っていたのだろうなぁ。
    そういう気持ち、本当によくわかる。
    わかるからとっても切ないお話だった。

  • タイトルの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」という意味が、ラストでやっとわかった時に、この物語の全てがそこには詰まっていて、なるほどこのタイトルのつけ方は秀逸だなと思いました。

    母子関係をテーマとした物語は他にもいくつかあって、これまで印象に残っているのは、湊かなえさんの「ポイズンドーター・ホーリーマザー」「夜行観覧車」。最近気になっているのは、角田光代さんの「坂の上の家」。
    作家さんが、母子関係をテーマとした作品を手がけるとき、きっと、自分自身の生い立ちと向き合うだけでなく、心の奥底に沈めた記憶や生々しい感情が溢れてくる。苦しくて、忘れたいから封じた過去、それと、対峙していく作業。
    親との関係は、親子の間でなされることだから、みんな自分の親子関係の異常性には気付かない。誰かからみたらある人の親子関係は異常だし、ある人から見たら誰かの親子関係は異常だ。だから、自分では自分の親との関係性こそが普通だと思っていて、その関係性が、後に自分の人間関係のベースとなってゆく。だんだんと社会が広がってゆく中で、自分の親の異常性に気付く。

    チエミの母子関係を、異常と思うかどうか。わたしは異常、とまでは思わなかったけれど、チエミがチエミの力で切り開いていく力を、奪う存在だったのかな、という気はする。この点では及川さんと同意見だ。
    子どもに様々な選択肢があるのは、親が様々な選択肢を呈示することができ、かつ、子どもに選択する力があるからだ。子どもに力があったとしても、親がその力を元から奪っていては、選択肢なんてなんの意味もない。選択肢だけがあってもダメなんだ。親が、奪うこと、それが何よりの悲劇なんだ。略奪は支配のはじまりだ。まずは、親が子どもを信頼すること、それが、すべてのはじまり。

    • さてさてさん
      naonaonao16gさん、こんにちは!
      いつも感想読ませていただいています。
      この作品、naonaonao16gさん書かれている通り、親...
      naonaonao16gさん、こんにちは!
      いつも感想読ませていただいています。
      この作品、naonaonao16gさん書かれている通り、親子関係について色々と考えさせられるものがありました。ある意味閉じた世界なので、なかなか自分の家の関係というものが世の中と比べてと、比較することもままならず、異常性というものに気づきづらいというのは全く同意見です。一日で読むには結構な文章量でしたが、思うところ多岐な一冊だと思いました。
      今後ともよろしくお願いします。
      2020/05/11
  • 第一章は読みにくかった。
    みずほのプライドの高さや
    格好をつけたような文章や
    チエミを下に見た、ものの言い方が。
    母親との話も思わせぶりで
    だいぶ引っ張った挙句そんな話?
    と思ってしまった。
    言い方は悪いけれど
    そんなに大層な事でもないのでは。。
    みずほはとても傷ついた、と
    くどくどと語っていたけれど
    でもそれって
    下に見ていたチエミ親子と何が違うの?と
    冷酷な気分になってしまった。
    読者をモヤモヤイライラさせるのが
    多分、作家さんの狙いなのだろうけど。
    にしても、どうして妊娠、流産を経て
    赤ちゃんポストの事が気になるとか
    友達もその意識に納得するとか
    取材するとか無理があるのでは。。
    出てきた時点でチエミが関係するのね
    とわかってしまい、
    何度か読み続けるのが辛くなってしまった。

    一転、第二章はとても読みやすく
    スピード感も出てきて
    チエミの気持ちが素直に現れていた。
    みずほが思っているほど彼女は弱くもないし、
    プライドも誇りもあるし。
    翠もいいキャラクターでチエミを守ってくれて
    別れの場面は涙が出てきた。

    チエミからはみずほが眩しく見えていて
    でも彼女の、私はあなたとは違うという
    雰囲気を感じ取っていて。
    だから彼女と同類の彼と関係を持つことで
    勝った?もしくは同等だよと気持ちに
    なりたかったのかな、と思う。
    結局、それは叶わなかったし、
    ただ徒労に終わっただけだったけれど。。

    こういう女性同士の関係は煩わしい。。

  • 【我慢ならない。あなたは私をバカにしてるよね】
    地方都市を舞台に、母と子の歪な親子関係と女同士の友情の奥底に蠢くグロテスクな感情が生々しく描かれている。アラサー女性特有の焦りや他人との比較といったありがちな設定だけでなく、表向きには仲の良い友達同士だけど、頭の中では友達を値踏みして見下す描写はリアルで身に覚えがあり背筋がゾワッとする。チエミの親子関係は異常かもしれないが、人に迷惑かけていないのであれば、他人は干渉すべきではないと個人的に思う。結婚や子供の有無や家庭事情、人はなぜそこまで干渉したがるのか?

  • 全く女って…と思う
    そんな私も女だけど

    女であること、女同士のしがらみ
    娘という立場、母という存在



    ほんと女って面倒くさい

    でもなんだかんだで私は女である事は気に入っている

    まるっと背負って私らしく生きていこう

  • 辻村さんの作品は、傲慢と善良やかがみの弧城、ツナグなどから読み始めたため本作品は20番目に読みました。いずれも私の読む力が弱いためか、冒頭は苦労しました。途中から一気に夜ふかしさせられてしまいました。親子関係は、数十億以上の関係性の種類がありますね。うちも、ふつう、、ではありません。刃傷沙汰ではなくて少し救われました。

  • 何とも辛いお話でした。
    親と子の繋がり、人付き合い、様々な摩擦の中で人は揉まれて歳を重ねていく。
    自分の家のルールは他人から見ればおかしく思えることもあるだろう。でも、他人からとやかく言われる筋合いは無いんだよな。この作品は凄いところを突いてくる。極端ではあるけれど、分かるんだ。

  • 何となくわかるような心理。女性同士。

  • 女友達同士の複雑でドロドロした関係が、もうやめてくれ!と本を閉じたくなるくらい鮮明に描かれていた。
    解像度の高すぎる心理描写が迫真。

    過保護な母親とその娘。
    その間で起こった衝撃的な殺人事件。
    真相が明らかになっていくたび、こちらまで胸が苦しくなった。
    翠の存在が本当に救われる。
    どん底に落ちてしまったとき、誰が手を差し伸べてくれるのかで大きく未来は変わるのかもしれない。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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