ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

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  • 講談社
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レビュー : 625
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772242

作品紹介・あらすじ

事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。

母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。

地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。

辻村深月2009年書き下ろし作品が待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 『傲慢と善良』 https://booklog.jp/item/16/29557043 の中の "女たち”の記述がまったく容赦なく、これまで 自分は 辻村深月の何を観てきたのか?と唖然とした。

    そういえば 登場する女性たちがアンマリだ と誰かが言ってた...と 思い出したのが ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。2009年だから10年前の作品ですね。

    『傲慢と善良』が結婚をめぐる男女を描いたのに対し、こちらは 地方都市に生きる女子の 知性や生きる力の格差 が如実に描かれている。
    教育熱心な”いいお家”の子だが幼い頃 母に”虐待されて”いたみずほ。
    事件のヒロインの チエミは 両親に可愛がられて育ったようだがその実、子供のまま囲われているような女性。自立とは程遠い。

    幼馴染のふたりは高校進学で人生が離れていくが 社会人になってから 知的ではないがタフな政美の交友関係にも巻き込まれ、繋がり続ける。
    華やかで可愛いが不倫を止められない果歩。
    帰国子女で建築士の亜利沙 などなど ... 複雑な女子社会の力関係が展開する。
    容姿・学歴・実家の太さ そういうものが影響しあって 羨んだり 手札にされたり 非常にややこしい ...

    他の子よりも”条件がいい” みずほ。
    彼女のパートナー選択は実に賢明。
    一方、チエミはダメ男にひっかかってしまう。
    しかも、その男にバッサリ切られる。
    「だけど俺と付き合ってなければ それこそ あの子には何もなかったと思うよ 」 ...(出会いがないのよぉ......ってやつだ .. ))
    ところが チエミ自身はよくわかっていない。狭い世界と乏しい想像力しか持たないのだ。いや、持たない人間に育てられてしまったのだ。

    まるで違う みずほとチエミ。

    だが みずほは チエミをあきらめない。 そこには女性ならではの事情も絡む。
    20代から30代の女性は かくも壮絶 ...... キツイ世代だよなぁ .......
    仕事の評価が唯一最大の関心事である男子多勢には想像できんだろう。
    「すべての娘は、自分の母親に等しく傷つけられている。」
    一方、息子たちは母親に+α愛されて育ちますし。

    力とカネと話題性がある人物に簡単になびく、そこになんの思考も働かせないような "カワイイ”女性たちは 個人的にはいささか不可解なんだが、怖気とともにマルッと剥いて”チエミ”という姿で見せてくれたことがインパクトあった。

    たとえ優秀じゃなくても、勝者になれなくても、他者から軽んじられないよう踏ん張る力は男女関係なく 必要ではないか?
    やっぱり 知は力 勉強はしよう!

    • adagietteさん
      そうか、辻村さん、山梨出身なんだ!
      高校は私立の特進コース。
      てっきり千葉の人だと思ってたわ〜
      そうか、辻村さん、山梨出身なんだ!
      高校は私立の特進コース。
      てっきり千葉の人だと思ってたわ〜
      2019/04/06
  • タイトルの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」という意味が、ラストでやっとわかった時に、この物語の全てがそこには詰まっていて、なるほどこのタイトルのつけ方は秀逸だなと思いました。

    母子関係をテーマとした物語は他にもいくつかあって、これまで印象に残っているのは、湊かなえさんの「ポイズンドーター・ホーリーマザー」「夜行観覧車」。最近気になっているのは、角田光代さんの「坂の上の家」。
    作家さんが、母子関係をテーマとした作品を手がけるとき、きっと、自分自身の生い立ちと向き合うだけでなく、心の奥底に沈めた記憶や生々しい感情が溢れてくる。苦しくて、忘れたいから封じた過去、それと、対峙していく作業。
    親との関係は、親子の間でなされることだから、みんな自分の親子関係の異常性には気付かない。誰かからみたらある人の親子関係は異常だし、ある人から見たら誰かの親子関係は異常だ。だから、自分では自分の親との関係性こそが普通だと思っていて、その関係性が、後に自分の人間関係のベースとなってゆく。だんだんと社会が広がってゆく中で、自分の親の異常性に気付く。

    チエミの母子関係を、異常と思うかどうか。わたしは異常、とまでは思わなかったけれど、チエミがチエミの力で切り開いていく力を、奪う存在だったのかな、という気はする。この点では及川さんと同意見だ。
    子どもに様々な選択肢があるのは、親が様々な選択肢を呈示することができ、かつ、子どもに選択する力があるからだ。子どもに力があったとしても、親がその力を元から奪っていては、選択肢なんてなんの意味もない。選択肢だけがあってもダメなんだ。親が、奪うこと、それが何よりの悲劇なんだ。略奪は支配のはじまりだ。まずは、親が子どもを信頼すること、それが、すべてのはじまり。

  • 久しぶりに読む辻村深月さんの作品。
    あの独特の「胸に迫る感じ」が欲しくなり、購入、読了。

    最初から最後まで、ひたすらにずっともやもやしながら読んだ。
    読んだ後も、なぜだかすぐに感想が出てこず…というか難しい…ただただ、胸がざわついているというか、そんな感じだった。

    なぜか?と考えてみると、この小説の中に出てくる友人との関係性に自分にも思い当たる節があるからかもなぁ…と感じた。

    仲が良い友人に対しても、実は蔑んでいる部分もある。
    でも、羨ましい部分もある。
    そして、その上で成り立っている友情もある。
    その現実的に成立している、でも少し気持ち悪い関係性を鋭く指摘されたようなところがあるのかなぁと、そんな風に感じた。

    人間って、なんでみんな同列では満足できないんだろうか。
    「人より抜きん出たい」っていう発想が無ければ、みんな飯くらいは食べられる幸せな人生を送れるかもなぁなんて、思ったりするけれど…
    限りなく甘ちゃんの発想かな(笑)

    なんかこう、生きるって難しい。

    色んなものが無くなってしまったチエミ。
    でも、父親からの信頼と、そしてみずほとの友情は残っている。
    重たい話ながら読後感が悪くないのは、そこの救いがあるからかな。
    チエミの幸せな今後を願ってやまない。

    <印象に残った言葉>
    ・将来、同じ年の子のお母さんになろうよ。(P115、チエミ)

    ・あんたが普段ちゃんと管理しておかないから、懲らしめるために、試すためにやったのよ。みずほ、これからもきちんとしなさい。(P235、みずほの母)

    ・自分の人生の責任を、人に求めて不満を口にして終わり。そんな生き方、楽じゃないですか。与えられるものを待つだけ、自分で選ぶのではなくて、選ばれるのを待つだけなんです。その証拠に、会社にどれだけ不満を持ったところで、契約の更新がされるかどうかに怯え、彼女の口からは一度として転職という言葉が出なかった。自分で何かを決断したことがないから、変化が怖くてたまらない。(P297、亜里紗)

    ・すべてを人のせいにして呪うなら、悪いのは高校の先生じゃない。あなたの限界を決めたのはあなたの親だ、と。(P299、亜里紗)

    ・お母さん。これは、ひどい。(P364、みずほ)

    ・私には、最初から、何もなかった。(P476、チエミ)

    <内容(「Amazon」より)>
    地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。2013年おすすめ文庫王国 エンターテインメント部門 第1位。(講談社文庫)


    事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。

    母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。

  • ああなんて恐ろしいものを読んだのだろう。なんて恐ろしいものを書いたのだろうこのひとは。そう思った。こんなにしんどーい気持ちになったのは、少なくとも、本を読んでということになるとはじめてかもしれない。
    「ぼくのメジャースプーン」で描かれた「悪意」と「勇気」の物語の根底にみつかる「どうしようもないこと、よのなかにあふれている悲しみ」がこの物語にも、ファンタジー要素なく描かれている。
    チエミはわたしのまわりに、いる。こんな子、多少の個性のちがいはあれど、ありふれている、つまり私自身でもあるし、親友である彼女でもある。
    みずほが「なぜわたしではなかったのか」と問うが、母との関係から救われない世の中の女にとってそれは、切実な叫びだ。
    最後に救われるという表現の帯なのだが、…救われないよ?なんら救われないよ? と思う。決して物語が嫌いなのではないのだけれど。物語を通してみた現実は、あまりに暗澹としている。

  • 他人と比べる必要のないことを争って、言葉の端々に棘があって、女に生まれた以上絶対にまとわりつく問題が目の前に立ちはだかっていて、苦い思いが胸に広がった。
    「チエの中に、自分を反射して見ないで」みずほのこの言葉にハッとした。完全に私も、女性の姿をそこに見ていたから。まだ過渡期にある、女の生きる難しさと苦悩を。
    母と娘の関係性は密だからこそ時には憎しみも生まれる。みんな1人の人間であって母の持ち物・分身ではない。でも綺麗事だけでは語れないというのも分かる。それがよく表されていた。

  • 長く内容が重い小説だった。母親を殺した娘が失踪。それを仲の良かった同級生の主人公が探すストーリーだけど、主人公が関わりがあった人の話を聞くうちに女性特有のマウンティングが出てくる出てくる。これがディープにリアルに書かれていて凄いと思う。登場人物の女性、みんなキャラクターが違うのに、それぞれが持ってる感情を理解できる。娘を支配したいタイプが真逆な2人の母親も鍵。主人公の母親はイヤだなぁ。タイトルはどこから?と思っていたがラストでわかる。深いです。

  • 母親を殺し行方不明となった幼なじみを捜すみずほ。かつて彼女と関わりがあった人物を辿り話を聞いて行く。女性同士ならではの力関係、辛辣さ、それぞれの現状。母と娘の複雑な関係性と愛情。表面的に受け取る犯罪の裏側にはこういった事があるのかもしれない。

  • ここ数年疎遠となっていた同級生の起こした殺人事件
    それを探っていく中で描かれている
    地方都市、非正規雇用、出産、親子関係、友人関係
    鮮やかでした。舞台が以外にも身近で驚きました。

  • 辻村深月さんの作品が好きだ。
    もう何作目だろう。

    けれど、辻村作品の中ではそこまで評価は高くできない。
    フラグ回収度が低かったから。
    出てくる女性たちに魅力を感じなかったから。

    いや、女性心理は見事に表現している。
    表面的な付き合いとか、本音と建て前とか。
    様々なシーン。
    女性である私にとってはどこかで体験したような対人関係。

    感動ポイントはゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。
    タイトルの意味が明かされる時がイチバンのクライマックス。
    そこは相変わらず上手いなと思った。
    作中、タイトルが全く繋がらなかったから気になっていたのだ。

    と言うわけで、面白くはあったけど再読はしないだろうということで☆3つ。

  • 産後は読書する時間もないだろうと妊娠中最後に選んだ本だったが、まさか母子の話とは知らず運命的なものを感じた。
    どの親子にも何かしらあって、仲が良くても本当はそれだけじゃないんだなと。私たちはどんな風になるのかな。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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