ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 5766
レビュー : 629
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772242

感想・レビュー・書評

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  • ここ数年疎遠となっていた同級生の起こした殺人事件
    それを探っていく中で描かれている
    地方都市、非正規雇用、出産、親子関係、友人関係
    鮮やかでした。舞台が以外にも身近で驚きました。

  • 母親を殺害し行方不明になった幼馴染チエミを探すライターのみずほ。
    チエミの関係者を訪ねて話を聞いていく展開の第1章と、
    その答え合わせのように真実を時系列で追う第2章。
    「母親殺害」という物騒な事件を題材に緊張感を保ちつつも辻村深月らしい人間関係の描写で、正に母娘の愛の物語でした。
    チエミの1番の相談相手であり理解者である母はあくまで最期まで「母」であって、殺害に至る理由も逃げる理由も全てはチエミの母の愛だったのだなと思い、悲劇的なのに何故か子供のように安心したのは私自身「娘」だからなのだと感じました。
    証言者の社会的地位や上下関係や登場人物の性格描写は秀逸で、中でも添田先生については彼女の取った行動も含めて彼女が「母」を経験しているからこその人格で、
    不安定な若者の描写が今迄の作品でも多かった分新鮮でした。
    子供の頃に「あの子のお母さんは綺麗」「あの子の家にはおもちゃがある」「あの子の家は大きい」などということを1度でも感じた人であれば、チエミ、みずほ、翠、この物語に登場する女性の気持ちを理解できるのではないでしょうか。
    母親というものは絶対的に愛おしいのに大嫌いという
    娘であれば理解し納得できる結末でした。

  • アラサーの女性は全員読むべきです!(断定w)
    幼馴染みとこの本を読んだあと、本作をおかずにお互いの母親との関係の悩みについて何時間も語り合いました。
    答えは出ませんが、この本に救われた気がします。

  • 深い、気持ちがよく描かれていてたと思え…私の中では、かなり善き作品。

  • 作中にゼロハチゼロナナが登場したときの、溢れる想いが伝わってきました。
    あの人は駄目な人だけど悪い人じゃない、それを受け入れられない自分を少し変えられたかなと思えました。

  • ここまで女子の都会と地方、学歴の高低から来る意識としての区別を嫌という程リアルに描いた作品は読んだ事がない。男の自分から見るとなんて浅ましいと思う反面、会社の出世争いと似たようなものかもしれないと思うと妙に腹に落ちるところもある。女性の読者の感想を是非聞きたいと思った。

  • 相変わらずの読みやすさ。スッスッと読めるのはスゴいなぁ。最後の最後でタイトルの意味がわかるパターンは好きだなぁ。

  • 辻村深月さんファンが周囲に多く勧められることは多かったが、ファンタジー要素が強いのかと思って敬遠してて、長い年月がたちこの『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』をようやく我が家に招き、更にたぶん数カ月本棚に放置されてやっと読み終えた。
    読了後、彼女の作品もっと読んでみなくてはと今思っている。

    ネタバレになるので書けないけど、そうそう、女同士はいつだって敵であり味方であり、いつ突然別れが来るかわからない、されど記憶の中で消し去ることのできない戦友であり続けるのだ、と思い知る作品。

  • 女同士の価値観や格差やら、内に秘める感情がとてもリアルに描かれている。周りに合わせて空気を読み誤魔化していくうちに少しずつ生じていくズレはやがて修復できない深い溝へと広がっていく。計算高く生きているようでも結局は望まぬ方向へ進んでいく。本作のみずほもその一人だ。計算高いよりも無垢で通している女の方がなぜか疎まれる。それでも表面的には「いい子だよね」と評価する矛盾。人の好き嫌いとはどこまでを許容するのかで決まるのだと感じた。

    自分の人生の責任を、人に求めて不満を口にして終わり。与えられるものを待つだけ。自分で何かを決断したことがないから、変化が怖くてたまらない。

    女であること、女通しのしがらみの中で生きること。娘という立場。母という存在。
    作者が作者である自分自身と対峙した一作のように感じられる

    ちえみへ向けられた女たちの眼差しに驚かされる。それはごく身近に溢れている悪意なのだ。しかももっと無自覚に。だからこそ辻村さんの心理描写の的確さに驚かされる。

  •  母と娘の関係性。家族の在り方。友としての結びつき。この物語は多様な視点で人間関係について、読み手に迫ってくる。そしてそれだけではなく、生きるなかでの苦しさを読み手は感じてしまう。
     この本のなかには、多くの人が生きるなかで「空気を読み」、目をそらし、綺麗な言葉で誤魔化し、何となくやり過ごしているような感情や、生きる姿が剥き出しで描かれていて、一気になだれ込んでくる。その息苦しさに耐えられなくなると、読者はこの本から目を背けてしまうのではないだろうか。
     他の辻村作品にもこうした”怖さ”があったが、本作では特に顕著に感じられた。
     しかし、本作のなかで最後にはっきりと描かれているのは、純粋できれいな”ヒトの心”は確かにある、ということ。本作のタイトルの意味を知り、全てが明らかになった時、天使の梯子のごとき情感が胸に溢れてくる。
     そうした”光と影”を匠に描くのが辻村深月の特色であり、読み手は惹きつけられているのではないだろうか。

著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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