かあちゃん (講談社文庫)

  • 講談社 (2012年4月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784062772303

作品紹介・あらすじ

同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、うまく伝えられない僕。精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。著者が初めて描く「母と子」の物語。


お母ちゃんは、笑うことを禁じた。死んだお父ちゃんの罪を、一生背負うために――。

同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、うまく伝えられない僕。精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。著者が初めて描く「母と子」の物語。

おふくろが、ものも言わずに、一心不乱に家族の写真をちぎっていく。家族三人の笑顔は、もう貼り合わせることもできないほど、小さなかけらになってしまった。(本文より)

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは「母と子」の複雑な関係であり、いじめや事故の影響を受けた人々が抱える苦悩と向き合う姿を描いています。登場人物たちは、過去の過ちに対する償いや許しを通じて自分自身と向き合う覚悟を決め、成長してい...

感想・レビュー・書評

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  • 重松清の本気の長編に◎!
    加害者で繋いでいく短編形式で、感動的な長編を構築した名作!
    いじめや事故の加害者が、全て悪と切ってすてることなく、それぞれに背景があり、悩み苦しみもがく姿を描く。それぞれの章で毎回、涙腺が崩壊した。
    彼ら彼女らは、本心を見つめることができず、偽りの態度で、言葉で繕う。大人は紋切型に子供をはめることが正しいと大人ぶる。しかし、登場人物たちは、あるきっかけで自分と向き合う覚悟をする。過ちは全ての人間にはあるはず。そう、それを忘れないこと。そうすれば、前に進む新しい始まりが見つかるはず。
    手を貸さないが見守る作品が多い作者にしては、珍しく登場人物に介入していく作品作りになっていたが、重松清名作TOP5?に推せる素晴らしい作品でした。

  • いじめ問題、加害者側からの償い、許し、母子の関わりと考えさせられました。

  • 久しぶりに重松さんの作品を読みました。やっぱり好きです。
    曰く「ゆるす/ゆるされる」をテーマとされたそうですが、裏表紙の内容紹介にあるとおり「精いっぱい『母ちゃん』を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち」のお話でもありました。

    第1章に1番泣かされました。500ページを超える長編なのでこのままこのお母ちゃんのお話が続いたら目が腫れてしまうと不安になりましたが、2章以降の主人公は主に中学生たちになったので泣き通しという事態は避けられました。

    一言で母子と言っても多種多様。
    個人的にはあまり好きになれない母親もいたけれど、どの母親も子どもを大事に思っていることは同じでした。子どもも然り。

    いじめを赦すというのは非常に難しいことで、現実では本作のようにうまくいくはずはないと思いますが、赦さないことにはテーマが成り立たないので致し方なし。その点を差し引いても胸打たれる素晴らしい作品でした。

    尚、「赦し」の答えが最終章にあったように思います。
    その部分を以下に抜粋。
    「背負ってきた重荷は、捨て去って消えるのではない。背中の荷物を前に回して、いとおしそうに抱きしめることで、静かに溶けて、消えて、胸に染み込んでいくのだと思う」

    うまくまとめられませんでしたが、赦すにしても赦さないにしても、赦されても赦されなくても、忘れてはいけないよねというのが、本作を読み終えた私の感想です。

  • 母と子を描いた物語。
    夫の起こした事故の罪を背負い続ける母、虐められ自殺を図った子の母と虐めた子の母。
    母にも色々あり、母と子の関係もそれぞれだ。
    私にも私の母との関係がある。
    そんな関係を見直す、見つめ直すことのできる優しくなれる一冊。

  • 家庭の数だけ、母がいる。
    自分だけの、お母さん。

    一人の男の子のいじめに関わる人たちのお母さんたちの短編集です。
    読み終えたときにはすっきり、心が軽くなったような気がします。

    正解の親子像なんてないけれど、自分を想ってくれて信じてくれるお母さんがいれば、それだけで幸せになれる。そうなるまでに遅すぎるなんてないんだと思います。

  • 作者の重松清さんのあとがき曰く「ゆるす/ゆるされる」という人間関係を描いた3部作の1つだそうです。

    全8章で様々な母子関係が登場します。
    全編でメインとなる「かあちゃん」が瀬戸内方面の方言だった為、どことなく懐かしく感情移入してしまいました。

    「産まれてきた瞬間に一番そばにいてくれる人は、どんな人間の場合も母親なのだ…
    その深い記憶を忘れずにいるかぎり、ひとは、どんなに寂しい毎日を送っていてもひとりぼっちではないのかもしれない。」

    長編小説ですが、人生の大半を償いに欠けた「かあちゃん」と、その生き方に影響を受けた人々の、時に逞しく、時に切なく、そして温かい人間模様が心に響きました。

    本作を読みながら亡き母を偲び、何度も涙が出ました。次の里帰りの時に、私の知らない若かりし頃の母の話を、父に聞いてみようと思います。

  • 理屈では分かっていてもそうは出来ない事や自分でもどうしてそんな事をしてしまったり言ってしまうのか分からなかったり。けして解決してすっきりするわけではなくても、寄り添う気持ちを忘れずにもてればそれで人は進んでいけるのかもしれない。人の居場所を奪うのはいじめ、本当にそう思う。

  • 『精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。』(紹介文より)
    母親の立場で読んでいたり、子供の立場で読んでいたりしていた。
    自分自身の母親と重なってしまう部分もあって、泣かされました…。
    子どもたちの心理描写はさすがです。

  • 同僚を巻き添えに、自らも交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に、笑うことも、幸せになることも禁じたおふくろ。いじめの傍観者だった日々の焦りと苦しみを、うまく伝えられない僕。精いっぱい「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子どもたち。著者が初めて描く「母と子」の物語。

  • 「母は、わたしとあなたのお母さんを会わせなかったんです。わたしにひどいことを言わせなかったんです。あなたのお母さんというより、わたしを守ってくれたんだと思うんです」
    友恵さんは啓太くんを振り向き、「最近わかったの」とわずかに笑って言った。啓太くんは黙って目をそらしたが、友恵さんはそのまま私に続けた。
    「立場が逆転にならないとわからないことってありますよね。あのときあなたのお母さんに言わないで良かった、母に止めてもらって良かった…」(50p)

    語り手が章ごとに代わる連作方式。一章ごとに様々な立場の母と子の関係、許し、許される、或いは、許さず、許されない、関係が描かれる。

    「とんび」の父子関係でもしこたま泣かされたが、コレにはそれ以上ヤられた。特に最後の7、8 章は要注意である。決して人前で読んではいけない。

    内容と全く関係ないが、母のことを思い出した。
    私の母親は、死んだ一、二年間 は望んでも夢で出てくる事はなかったが、それ以降は当たり前のように元気な姿で出てくる。登場回数は多分私の周りで一番高いと思う。決して怒らない人だった。唯一怒ったのが、私が六歳のとき、わが家の建て前で大工さんや親戚一同が飲んでいる時に、兄ちゃんと一緒に残ったグリコのキャラメルの箱の「おまけ」を全部開けた時である。残り物だから、開けてもいいさ、と兄ちゃんが言うから私は嬉しくなったのだ。どんなものが出てきたか、私は全然記憶が無い。ともかく、気がつくと私と兄は母親の前でずいぶん長い間正座させられ、ずっとベソをかいていた。母親は生涯で多分一番怒った。ずっと泣きながら、怒った。「こんな情けない子に育てた覚えはありません」ずっとそんなことを言っていた。あの時ほど、母親が怖く、そして悲しかった事は無い。でも、あの時の事は、未だ夢ではかすりもしない。

    さて、ここでは、26年間夫の巻き添えで死んで仕舞った同僚の家族のために笑顔を封印し働きづくめに年取った母親が出てくる。頑固である。相手側から非難される事は、一切無いけど、決して許されると思っていなかったのだろう。そして、イジメに加担した友恵さんの息子も同じようにある「覚悟」する事になる。頑固になる。イジメをし、自殺未遂に追い込んだことを決して忘れない。それを肯定的に描いたのがこの小説だ。

    これは、著者重松清本人も同様だ。彼の場合はイジメられた側かもしれない。ずっと彼の文庫本を買っているが、何があったか知らないが、初期のあるときから、彼は文庫本の解説を一切拒否するように なった。もう既に20年近くになるのではないか。彼の作風や言動からは、窺えない「何か」がある。それが、おそらく人間ということで、面白い。

  • 「誰もが、誰かの子供である」
    「この世に生を受けるのには、全ての人に母と言う存在が居る」

    個人差はあるでしょうが、産まれてきた子供が一番最初に触れるのは、母の温もりなのではないでしょうか。
    でも、生きていく日々の中で人は段々と その温もりを忘れて行き、身勝手に周りを傷つけ、自分自身を傷つけていく。そんな世界に対して重松氏らしい表現で強いメッセージを送っている一冊だと思います。

    「借りた方は忘れるが、貸した方は覚えている」と言う表現は、金銭の貸し借りに対して よく使われる表現です。また、誰かを傷つけた際に「加害者は忘れるが、被害者は忘れない」とも言われたりもします。
    生きていく中で陳謝する場面は、大なり小なり必ずあるもの。その中で(きっと良くないのに)「もう良いよ」と赦される言葉を受け取ることも珍しくは無いでしょう。でも、その様な言葉を貰ったとしても「忘れないでいること」が何よりの贖罪であり、自分で自分自身に罰を与える事になる。人を傷つけるのは、それくらい大きな事。そんなことを、改めて心に留める一冊になりました。

  • よかった。家族ものを書かせたら、本当にすごいな、重松さんは。
    いろいろな母ちゃんを読んで、母ちゃんに正解はなし、と思った。そしてどの母ちゃんも、誰よりも子どもを愛しているということが、改めてわかたた。

     お母さんでも、ママでもない、母ちゃんというのがこの本にはピッタリだったと思う。

  • 重松さん作品の中で1番好きだったとの思い出があり、6年ぶりに再読。序盤から涙ながらに読みました。色んな母と子の物語が緩やかに繋がる構成です。
    事故やいじめ、被害者が一生背負い続けることになる罪、被害者も一生背負うことになる事実に向き合わせてくれる作品です。

  • 母の偉大さだったり,母だからこそだとか母だけにだとかそれぞれのショートストーリーが最後にしっかりまとまるお話で,すごく学び多き作品だと思います。
    当然テーマとなるいじめなどについてもすごく感じるべきところが多々あるように感じますね。

  • かあちゃん。
    重松清さん。

    素晴らしい作品でした。
    涙。涙。
    名言がたくさん。
    星5つ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐︎

    みんなに、読んでほしい。


    忘れずにいる勇気。
    背負いつづける勇気。
    罵られることすら叶わない罪。
    自己満足だと切り捨てられて終わる償い。

    いじめを認めたくない。
    認めてしまうと、
    その瞬間、
    「いじめられている奴。」になってしまう。
    絶対にいじめられたくないから、泣きたい思いでいじめてきたのに。
    いじめの加害者になっても、被害者になっても、母を悲しませてばかりいることが、いちばん悲しい。

    自分の心をきちんと言葉で表現できるくらいなら、誰も苦労しないよ

    あいつにはおびえない。勝てなくても負けない。たとえ負けても、もう逃げない。

    ばれる嘘をついてるうちなら、まだ間に合う。

    ガンバレ
    と、アスパラガスとグリンピースでつくった文字が、凍ったカレーの上に並んでいた。母の笑顔が浮かんだ。

    負けたことのある教師のほうが、生徒には必要じゃないか?

    どんな子どもも、ひとりぼっちでこの世に生まれてくることはありえない。生まれきた瞬間にいちばんそばにいてくれるひとは、どんな人間の場合でも、母親なのだ。

  • 同僚を巻き添えに自らも交通事故死した父の罪を背負う母。母を精一杯生きる女性と、その子どもたちの物語。
    重松さんが初めて描く「母と子」の物語。笑うことも幸せになることも禁じる母の姿は、亡くなった同僚の家族への贖罪の意識だけでなく、父親を失った子どもたちへのメッセージも込められていると思う。母性という深い愛情が自らを戒め、そして無言ながら子どもに『人』として生きる価値を伝える。

  • 償い続ける事の重さを教わった。どんな事があろうと償い続ける、かあちゃんの姿。こんな風に私には出来ない。最後、もちろん号泣でした。笑顔を捨てた長い時間、私には想像出来ないです。

  • 「ゆるす/ゆるされる」「ゆるさない/ゆるされない」人間関係を主題に作品を描いていた頃の作品。
    あとがきで著者がそう解説しているが、その作品の題名が「かあちゃん」である理由が、涙腺を震わせる。かあちゃんに許されてきたから、私たちは気付かぬうちに人を許さぬ人間になってしまっていて、人に許されたいと願う時、初めてかあちゃんに許されていたことに気がつくんだ。人をゆるすには無償の愛が必要で、そこには自己犠牲ももちろん伴う。でもその分、許されるということに込められた愛を最大限の感謝で受け取るんだ。
    心と頭を洗いたい人、必読書です。

  • 許す。
    許さない。

    それを超えた「忘れない、思い続ける」ということ。

    この話にはいくつもの心の救済が描かれていて、自分自身にもある過去の「忘れてはいけないこと」を改めて見つめ直させてくれる。

  • ずいぶん前に読んだ本だけど、まぁ泣ける泣ける…。

    自分が「かあちゃん」の立場なのもあるかもしれないけど、子どもたちが自分なりに、やってしまったことに対してきちんと向き合う姿がよかった。

    この作家さんはけっこうお年で、他作品では価値観が古くてちょっと…と思う時もあるけど、この本に関してはいじめという難しいテーマに鋭く切り込んだ傑作だと思う。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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