ブレイズメス1990 (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772471

作品紹介・あらすじ

ニースの国際学会にお供することになった新米外科医・世良。命じられた秘密ミッションは、伝説の天才外科医・天城に佐伯教授からのメッセージを渡すことだった。一筋縄ではいかないクワセ者の天城を相手に、カジノで一世一代の賭けをした結果、無事日本に連れ帰ることに成功。佐伯と天城の計画する、新しい心臓専門病院の設立を手伝うことになる。しかし、それこそが大学病院内での激しい戦いの始まりだった!

研修医・世良の物語を描いた『ブラックペアン1988』の2年後を描いた続編が待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 再読
    チームバチスタやその他のシリーズでお馴染みの登場人物達の若き日の出来事。海堂氏のは色々な本を読み過ぎて相関関係が混乱してくる。
    医は仁術と表向きでは命が重要だが、ちょっと前までは礼金によって対応が違った時もあったし、金儲けの医者がいたのも事実。命を金で買えるとしたらと金を出す人も多いと思う。天城医師と他の医師との「金」と「命」の優先論争は、実態は新勢力と旧勢力、異分子を認めない日本の組織風土が根源と思う。佐伯院長は、それを破壊したいと意図したことが良く伝わってくる。天城医師も院長の意図を理解して反対勢力に立ち向かっているのが痛快だ。

  • 佐伯教授の壮大な構想のもと、モナコから天才外科医の天城が帰国。スリジエハートセンター完成に向け、天城と世良の決して心が一つというわけではない中でも、一歩づつ前進していきます。医療の世界に身を置く筆者だからこそ、理想と現実のそして向かうべき姿への矛盾が描けているのだと思います。この後に続く作品の登場人物の若かりし姿に思わずはっとさせられます。

  • 海堂作品の中でもトップクラスの面白さだった。
    ここまで突き抜けると現実の医療界に疑心暗鬼を抱くこともなく、純粋にエンターテイメントとして楽しむことができる。
    ファンには作品ごとに主役と脇役が入れ替わる楽しさもあるのですが、今回は少ししか登場しない花房看護師がいい。他の作品でも強さや優しさが魅力的に描かれており、今回の初々しさから逆に彼女の成長が窺えますね。

  • 天才心臓外科医、天城雪彦。
    カネのことばかり口にし、BJを髣髴とさせるような男。
    しかし彼のダイレクト・アナストモーシスの技術は凄かった。。。

    若きジュノ・世良くんに加え、怖いもの知らずの1年生駒井など個性的な面子が多いけど、なんと言ってもDr.アマギ!
    ブラックペアンも読まないと~。

  • 今では比較的珍しくなくなった「公開手術」を前面に出して、その後ろで、タブーってことになっている、「医療とカネ」の問題を取り上げている、バブルの頃の日本の医療のお話。

    看護師の妹が、結構カネの話をするので、あんまり医療人がカネカネ言うなと、道徳的に姉として指導するわけですが、こういう極端すぎる例を見てしまうと、一概に道徳だけで押さえつけるのはなぁ、と考えてしまいます。

    まぁ、表向きは公開手術のお話なので、もともと劇場型な海堂ワールドがもう祭りみたいになってて、慣れてない人は引いちゃって大変なことになりそう。ある程度他の本で免疫つけてからにしましょう。

    また、この前段のお話であるところの、「ブラックペアン1988」が分からないと世良くんの良さは完全に分からないと思いますので、こっちもしっかり読みましょう。
    私は忘れちゃったので、こいつを復習として再読しようと思います。

    個人的には、海堂ワールドに珍しく、世良くんと美和ちゃんのドキドキするお話が盛り込まれているのが非常に良かったです。むふ。

  • 天城先生の発想の大きさがすごい。
    内容は難しくなく面白かったです。
    あと、出てこないことがわかっていながら、どこかで渡海先生を探していました。

  • ブラックペアンシリーズの第2作。TVドラマの先入観を持って、本作を読んだ方にはつまらなかったかもしれない。そもそも、第1作もTVドラマとは全く異なるストーリーだったわけで、こんな話の飛躍もあるのかと驚いたのは事実。いい意味で裏切られた(笑)

  • 「ブラックペアン1988」の続編。
    モンテカルロのエトワール、天城雪彦。また濃い医者が出てきました。そして振り回される世良ちゃん。どうでもいけどモンテカルロのエトワール、ってゴロがよくてつい口に出して言いたくなる。
    前回に引き続き、医局内の駆け引きや人間模様が面白い。天城先生の公開手術、オペのスタッフに裏切り者が混ざっていて一波乱…的な展開を期待したけど、あっさり大成功でちょっと拍子抜けでした。一冊通じて天城先生のすごさを紹介しました、という感じ。そして次のスリジエセンターに繋がるのかな。
    前作で小天狗とよばれてた高階先生、ずいぶん丸くなってしまってどうしたの?でもラストには何か不穏な雰囲気を発してたので、どうなるんだろうと期待しつつ、スリジエセンターに進みます。

    海堂さんの他の作品でも思ったけど、何度も同じような描写が出てくるのがどうも気になってしまう。佐伯教授は出てくるたびに白眉を上げすぎです。

  • 天城先生の破天荒さにはびっくり。日本の医療の世界では、確かに彼の考えは受け入れられないだろう。だけど、言ってることはもっともだし、なくては成り立たない。
    彼が活躍する時代がもう少し後だったら、受け入れてもらえたかもしれないのに!と思ってしまった。

  •  再読だけど気分が乗らなくて、読み進めるのがちょっと苦痛だった。天城のようなお医者さんがいてもいいのでは、と思ってしまうのは人ごとだからなのだろうか。儲けたお金で医療業界全体を良くしてくれたら、世良や高階も言うことなしかな。また忘れないうちに次作も読まねば。

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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