ターニング・ポイント ボディガード八木薔子 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772587

作品紹介・あらすじ

人気絶頂アイドル・グループのリーダーが殺害された。もう一人の主要メンバーを警護する八木は、アイドルの命取りともなりうる思いもよらない人間関係を目の当たりにする。乱歩賞受賞作『左手に告げるなかれ』のヒロインが人間たちの哀しい性に寄り添い業と向き合う出色の連作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 「左手に告げるなかれ」を読んだのが、もう10年近く前。
    「エグゼクティブ・プロテクション」も6年前。警察組織ではなく、民間組織の「身辺警護員」と言うのが、新しくて面白かったイメージは強いけど、正直、細かい内容までは覚えてない。
    それでも、保安員から身辺警護員になるまでの八木薔子を綴った連作を集めたこの作品はブクログの評価通り、面白かった。
    深町秋生の「PO」を読んで、民間警護が気になって、調べてみたら、続編が出ていた。初出は「左手に告げるなかれ」の発売と前後しているものも多いが、この本自体の発売の頃に警察でも「PO」と言う組織が出来たものと思われる。
    発売当時は民間人を警護すること自体が大変だった時代から、少し様子が変わっていることを考えると、このシリーズの続編は期待出来ないのかなぁ。スピンオフは出ているので、とりあえず、そこまではよんでみようと思う。
    しかし…全体的には面白いんだけど、不倫のネタが多いのが、少しうんざり。

  • 女性版ハードボイルド小説を読んだ気分。
    分かっているはずなのに途中何度か
    「あれ?八木薔子って女性だよね?」と
    確認した自分がいました。
    読んでいる私の背筋さえピンと張られてしまうほどの
    八木薔子のキビキビ感が爽快。
    と同時に女性以上に女性らしい気の細やかさに脱帽。

    ストーリーも保安士から身辺警護員へと緊張感が増していき、
    ページをめくる手が止まらなかったです。面白かった。

    渡辺さんの作品を読んだのは
    「左手を告げるなかれ」以来のはずなんですが、
    読了した記憶があるものの内容をスッカリ忘れている私。
    (その作品が記憶に残らないほどつまらなかったわけではなく、
    単に私の記憶力の問題な気がしてしょうがない。
    つまらなかったのなら「つまらなかった」と逆に記憶に残っているはず)

    というわけで、もう一度読み返してみようかな。

  • 保安士から身辺警護員への転身を遂げる時期の八木薔子を描いている本書。
    中短編集となっており、ひとつひとつの話が面白く、そのなかで読者が八木という人物の内面をより理解できるようになっている。

    最終章では、人気絶頂アイドルグループの殺害事件に警護員として関わることとなった八木。この事件を通して垣間見える八木の人間性も魅力的である。

  • 面白い。
    八木さんが現場の保安士から教育係、ボディガードへと前触れもなくどんどん異動していくのが不自然ですが、そんなことは関係なくリアリティと緊張感に溢れ、かつ優しく強い女性たちの活躍に引きこまれます。

  • 久しぶりの渡辺容子さん。
    江戸川乱歩賞受賞作「左手に告げるなかれ」の万引きGメン八木薔子の中短編集。
    万引きを摘発する保安士から教官、エグゼクティブを警護する身辺警護員になっていく。
    万引き保安士も身体警護員の世界も丁寧に書かれていて面白ろかった。
    (図書館)

  • 久々に渡辺さんの作品を読んだが良かった

  • 「エグゼクティブプロテクション」の前章。
    ボディガード 八木薔子誕生前の保安士としての活躍を描く。
    万引きを摘発する保安士「八木」もいいけど、やはり
    エグゼクティブを警護するボディガード「八木」が格好良い。

  • 同一主人公のシリーズ3作目、らしいのですが、シリーズ中でこれが初見だったので、すんなりと入り込めて、楽しめました♪
    万引きGメン(ウィメン?)の女性主人公が民間SPになるまでのエピソードが丁寧に描かれていく中で、キャラクターの魅力を充分に醸し出していることで、登場人物それぞれに共感し、憧れていける。
    いわゆる“お仕事小説”の趣が強いので、恋愛要素は希薄。最近妙に増えてきたタフな女性主人公が活躍する作品の1つだけど、そういったものは大抵は「女刑事」になってしまうところを、いまだなじみが薄い警備業の世界、中でも「保安士 (万引き防止専門巡回要員)」や民間での「身辺警護 =ボディガード」としたところが最大の特徴♪
    特殊な職業の裏側を垣間見られる楽しさも加わって、とは言えどんな物語でも登場人物の魅力がなければ読んでいても面白くならない、という法則を「よぉ~く知ってますよそれぐらい」と言わんばかりに個性的に魅力溢れる設定にしてあるのがイイ♪

    女性向けではないのかも知れませんがw 男性でも、どちらが読んでも楽しめる内容ではないか思います。超人過ぎる指令長サンは、途中退場なのだろうか?そこだけちょっと気になりますw

  • ◆右手に秋風・・・女性保安士としてまだ駆け出しの八木薔子が警戒するのは客だけではない。怪しい動きをしている女性販売員(白ネズミ)もいる。
    ◆去年の福袋・・・同じマンションに住む2歳年下のOL・佐久間律子が持ってきた福袋には、なんと使用済みの男性用ブリーフが入っていた。
    ◆サボテン・・・保安士の教官となった八木が今1番気にかけている後輩が、奥寺真弓だった。仕事に身が入っていない彼女がかかっているのは恋の病だった。
    ◆ターニング・ポイント・・・同期の岩田久美子が急に辞めると言い出したため、その代わりに久しぶりに保安士として現場に出ることになった八木。そして彼女はさっそく若い中国人3人組に目をつける。
    ◆バックステージ・・・身辺警護員に転身した八木は、アイドルグループ・B・アンビシャスのメンバー・南ルカの身辺警護を依頼される。彼女は同じメンバーのスミス・グレース澪の遺体を見つけた第一発見者であった。

    上記5篇の短編集。全て八木薔子が主人公の短編だが、その身分は保安士新人、保安士教官時代、身辺警護に転身してからと立場は様々。「左手に告げるなかれ」での八木のルーツや右手の傷の理由、そして坂東指令長とのやりとりもたっぷり描かれていて、満足な一冊。

    ◆バックステージ・・・対象をただ危険から守るというだけでなく、彼女の心に寄り添う警備を心掛ける八木。女性ならではというか、男性ではなかなかここまではできないんじゃないかなぁと思わされるもので、さすがだなぁと。

  • (収録作品)右手に秋風/去年の福袋/サボテン/ターニング・ポイント/バックステージ

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著者プロフィール

1954年、東京に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。東京都杉並区学童クラブ指導員の後、フリーライター。筑波大学大学院(教育研究科カウンセリング専攻)修了。主な著書や個人通信に『負けるな子どもたち!──スーパーガキ大将ここにあり』(径書房)、「BURST」「もっこ橋」「暗川」「ユーカリ」「いちばんすてきな海」などがある。

「2010年 『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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