影法師 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 754
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772839

作品紹介・あらすじ

頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一(かんいち)は竹馬の友、彦四郎(ひこしろう)の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。

『永遠の0(ゼロ)』に連なる代表作。文庫版は単行本未収録、幻の「もう一つの結末」を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 「永遠の0」「風の中のマリア」に続き、百田作品を読むのはこれが3作目。前述2作品同様に、熱く芯の強い主人公のストーリーだ。時代小説は滅多に読まないのだが、贔屓にしている若手俳優がこの本を薦めており、どんな理不尽さにも屈せず出世していく主人公・勘一を支える親友・彦四郎を演じてみたいと述べていたので、俄然興味が湧き手に取ってみた。
    頭脳明晰で剣の達人であった彦四郎は何故不遇の死を遂げたのか。勘一の哀しく辛い幼少期から物語は始まるが、彼に降りかかる非情な出来事の連続には本当に胸が痛む。父の死、貧困、いじめ。そんな境遇に負けることなく、ひとつひとつの困難に打ち勝っていく勘一の強さに心惹かれる。
    そんな彼を誰より理解していたのが竹馬の友である彦四郎だった。互いに切磋琢磨し、夢を語り合い。仲間達と友情を育む場面は清々しく、青春だなと感じる。だが、ある事件をきっかけに勘一と彦四郎の運命は狂っていく。
    順調に出世していく勘一とは対照的に、落ちぶれていく彦四郎。将来を嘱望された男が一体何故と謎は深まるが、その理由が驚くべき形で明らかとなる。
    読み終えて、「どうしてそこまで」と心が痛んだ。正直言えば理解しきれないところもある。でも、そこまでしないと成し遂げられない、厳然として存在する身分制度。これが江戸時代なのかと痛感させられる場面がいくつもあった。刀傷沙汰。百姓一揆。藩の不正。核となる2人の熱い友情シーン以外にも、印象に残る男達がたくさん出てくる。命を賭して不条理な世に立ち向かう男達の潔さに胸が熱くなる。
    そして、文庫版には袋とじとして、親本には収録されなかった「終章」が掲載されている。この章についてどう感じるかは人それぞれだが、私はあってよかったかと思う。ますます彦四郎に対して切ない想いがかきたてられることとなったが。
    そして、この文庫版の表紙が内容を見事に表現していてとても好きだ。読了後に見ると間違いなくしみじみします。色々な意味で、スケールの大きい作品。

  • 頭脳明晰で剣の達人、彦四郎はなぜ不遇の死を遂げたのか。一方下級武士から筆頭家老まで上り詰めた勘一は親友の彦四郎の行方を調べていた。その彦四郎の生き様を勘一が知った時、自分の人生の意味を見つめ直すことになるのだった。

     前半は、二人の親友の友情が描かれ、青春小説のようにさわやかな印象を受けました。

     中盤から彦四郎の不可解な行動が謎を呼び、勘一がその謎に迫っていくというミステリーを読むような感じでした。

     そして、その謎が解けた時、真の友情が見事なまでに描き出され、深い感動を味わわされました。

     タイトルの「影法師」の意味も心に深く残りました。

     自分にはこの二人のような生き方はできそうにもありませんが、友情や人生のすばらしさを感じ取れるような生き方をしていきたいとしみじみ感じました。

  • あまりの見事な話の構成に言葉を失う。
    書くたびにジャンルの違う小説発表してきた百田尚樹の時代小説、影法師。

    あまり時代小説は読まないのだが、百田氏が書いたとあれば別だ。
    読む前から面白いだろうことは分かっていたが、読了後もその思いに変わりはない。

    一体この小説を何と形容したらよいのだろう・・・男の友情物のようにも見えるし一生涯を通しての立身出世物にも見える。

    そこに何を見るかは人それぞれだが、自分は主人公の勘一とその竹馬の友、彦四朗の侍の生き様を通して男のあるべき姿を見た。

    百田氏はいずれ何かの賞を取るだろうが、自分の中ではすでに彼の存在は直木賞を超えている。

  • 面白かった、男の友情に感動する。
    そんな陳腐な表現しか持ち合わせていないことが恥ずかしいのだが、まさしく、この小説には、このような感想を抱いた。
    理不尽な身分制度や瑞々しい青春時代、そして壮年期…と描かれる主人公の華々しい活躍、奮闘の影には彦四郎あり。そこまでするの??と正直思ってしまった。果たして、ここまでくると友情の一言ですませていいのか。
    愛と正義の物語であった。
    こういっても過言ではあるまい。
    主人公が必殺剣を伝授され、使うタイミングについて、師匠から言われることが印象深い。

  • 二人の武士の友情を描いた時代小説。というと軽い印象になってしまうが、自分の人生をかけても相手を守り抜く姿が明らかになる終盤は、胸が熱くなる。
    出てくる単語が時代小説独特なものも多く、それをいちいち説明していないのだが、それでもどんどん読み進めてしまう筆力はさすが百田尚樹といったところ。映画を見ているように一気に読み終わった。

  • 久々の時代小説♡
    ‎私は作家の人間性と作品を切り分けて考えられるので、百田尚樹も全然読みます٩(^‿^)۶

    時代小説の多くがそうであるように中年男性のロマンティシズムの極致のような作品。百田さんはこういうのを書かせると本当に上手くて面白い!

    武士も貴族もそれなりの階級(お金持ち)になると執事を雇ったり、槍持ちや中間を雇わなくては体面が保てないという、自然と雇用を産む仕組みになってるんだよねぇ。

  • 百田さんの作品は何というか安心して読めてしまう。
    絶対に面白くないわけがないという安心感。
    時代小説は得意でないが、サクサク読めてしまう。
    これまた会社の方からお借りした一冊。

    下級武士から筆頭家老までに上り詰めた勘一は竹馬の友、彦四朗の行方を、追っていた。
    頭脳明晰、剣の達人だったその男を変えた過去の事件。その事件の真相とは。

    真相はある程度こうであろうと予想できるものの、それでもカッコイイ生き様じゃないか!

    なかなかジワリと胸を打つ良い作品だった(*^^*)

  • 上手い。ドラマ見てるみたいだった。

    本当にこのかた、描くもののジャンル広過ぎ?
    でも全部「百田ジャンル」ですからー。みたいな。

    時代物は宮部みゆきさんとか位しか範疇無いので
    あまり大きな事は言えないけど…
    ちょっと言葉の解らない事が有って
    調べたりしながら読んだ。

    虫かごの中の虫の名前が解らなくて。
    故事成語みたいな意味は知ってましたが
    そんな虫がいるんだ?みたいな。

    浅田次郎先生の文章も、
    知らない言葉が結構出てきますが
    何処かで解りやすく書いて置いて下さったりするので
    なるほど〜と、思ったりするからスムーズ。
    そういう「優しい」文章になれていると
    「この言葉の意味はふつう知ってて当然なのか…」
    と、ちょっと自分にガッカリ。

    もっと本読んだ方がイイネワタシ。

  • 時代小説好きとしては、百田さんの時代ものということで期待大で読み始めた。藤沢さんぽいな…と思いつつラストまで読み進めると、藤沢さんに勝るとも劣らない名作だった。私の中では永遠の0超え。
    男の友情という言葉では言い尽くせないほどの深いお話。彦四郎が素晴らしすぎて泣けた。
    袋とじは賛否両論あるが、個人的にはあり。彦四郎にとっては、勘一も、みねも、同じくらい大事だったんだと思う。私がみねだったとしても、勘一も素晴らしい人だけど、やっぱり彦四郎でしょう。
    もし終章がなければ、護るという約束がそこまでつながっていたとは気付けなかった。物語に厚みが増したと思う。
    今まで読んだ本の中でもベスト5に入るくらい好きな本。たくさんの人に読んで欲しい。百田さんの本はまだ3作目なので、全て読破することに決定!

  • 自分の何を犠牲にしてでも守りたい相手がいる人というのは、こんなにも強くなるのかと驚いた。
    彦四郎の、いつ何時も迷いのない生き方、潔さがかっこいいし、それに答えるようにして生きた勘一もまぶしい。

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著者プロフィール

百田 尚樹(ひゃくた なおき)
1956年生まれ、大阪府出身の放送作家・小説家。『探偵!ナイトスクープ』の放送作家として活躍。
50歳の時にはじめて執筆した『永遠の0(ゼロ)』で作家デビュー。ヒット作となり、映画化されている。
ボクシング青春小説『ボックス!』が第30回吉川英治文学新人賞候補、第6回本屋大賞の5位に選出され、映画化もされた。『海賊とよばれた男』で2013年本屋大賞大賞受賞。コミック化、映画化された。

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