時計館の殺人<新装改訂版>(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062772952

感想・レビュー・書評

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  • これは、これまでの館シリーズのエッセンスをすべて入れ込んだミステリー。
    シリーズのなかで、十角館の次に好き。

    ほぼ死んでしまうので、犯人は自然とあきらかになる。

    事件現場と外の世界の時間が異なるのではないかと当たりはついたが、河南の懐中時計は旧館のものだったの…?
    1秒がどれくらいかの感覚って大抵の人が持ってると思うのだけど、旧館の時計には秒針はついてないんだろうか。
    秒針の速度がやたら早いなーとか、気付きそうなものだけどなぁ。

  • 今回の館はすごい。壮大。さすが中村青司。ラストの流れはとても美しく、といったら語弊がありそうですが…ため息が出ました。
    迷路館がお気に入りだったけど超えてしまったかも!
    トリックも楽しかったし、旧館と新館の様子が交互に描かれ、ハラハラドキドキしながら読めたし、とにかく最後までダレずに一気読みだった。

  • 時計館に閉じ込められた江南たちを襲う殺人劇は加速していく。館外での島田が挑む「沈黙の女神」の謎と相まって、ページをめくる指が止まらない。ここまでの館シリーズの集大成といっても過言ではない作品になっている。館内と館外、現在と過去、オカルトとトリック、現実と幻想、真と偽、生と死。これまでの作品にも織り込まれた様々な二面性を歯車のように噛み合わせた大仕掛け。やってることは大胆なのに、張られた伏線は緻密で、そういうことだったのかと唸るばかり。

    読み終わると「時計館の殺人」というタイトルは言い得て妙だなと。時計館というものに込められた執念。人間は死んだとしても、建物という器には人の心や幻想を現実に留めておく力がある。まさに時計館は古峨倫典の心そのもの。時計館に渦巻く愛と狂気に圧倒された。

    人が時計を作り、時間を支配しているようで時間に生活を縛られているように、人の心もまた自由なようでいて自らを閉じ込める鎖であり、時には針を狂わせるものだと感じた。心の秒針を進ませるのも遅らせるのも、自分自身なのだと。

  • 館シリーズ5作目にして王道回帰の傑作。時計館の内部と外部の二視点で進む物語。内部では違和感を感じつつも、連続殺人の緊迫感と、奇妙で特異な雰囲気に呑まれてしまう。外部では時計館を取り巻く数奇でどこか不気味な過去の物語が掘り下げられ、謎は謎をより濃厚にする。今回は作者の大きな武器である幻想怪奇よりも、ロジックと伏線、構成の美しさに最大の注力をしている。もちろんそれらを取り囲む装飾には幻想怪奇の影もしっかりと見え隠れするのであるが。何よりも、各所に散りばめられた描写の妙が素晴らしい。そして終幕が美しい。

  • 館シリーズ5作目!非常に面白かった!!!
    毎回毎回犯人はこの人かな…と思う人が悉く覆されて、最後のどんでん返しにはびっくりさせられます。時間って改めて時計頼りなんだなぁと実感しました。それを使ったトリックまんまと騙されました。最後の米澤穂信さんの解説がまた面白かったです。これは古峨倫典氏の物語だ。死者たちのうち何人が本来の動機に基づいて殺されたかだろうか…安定の鹿谷門美こと島田さんがいると安心します。十角館で出てきた江南さんにも再会できたし、人形館のグリーンハイツも出てきて物語のつながりを実感できたのもよかったです。
    館シリーズの中でもかなり面白かった!!

  • 閉じ込められた屋敷で次々と起きる殺人。
    相変わらずバタバタと人が死んで…。
    本作は十角館よりも死んでるのでは??

    旧館と新館の時の流れの違いには、気付かなかった。推理するよりも先が気になって気になって仕方なくて読み進めてしまったというのもあるけど…
    鹿谷(島田)さんがきてくれた瞬間に、江南と同じ反応をした。あぁやっと来てくれたと。
    そこから怒涛の解決編、相変わらずの推理力で華麗に事件を解決する一方で、警察には真犯人について何も言わないのが…ここが島田さんの魅力ですかね。

    10年前の子供の何気ない悪戯。それがきっかけで復讐が始まってしまう。子供って無邪気だからこそ残酷なのかもしれない。
    「時間」に抗おうとする父親の狂気、深すぎる娘への愛は全てを知った後も恐ろしく感じた。時間は誰しも平等に流れるのに、、どんな風に抗ってもその真実を知った時の絶望は計り知れないのに…。最後の切なさ、儚さも含めて面白かった!次は黒猫!私は犬派です()

  • 犯人は伊波紗世子。上巻の予想通りでしたが、細かい部分で外していました。

    ・時計を予め早めておいたのでは無くて当主が永遠を生きながらえさせるための細工された時計だった。
    ・犯行の動機は破傷風で死んだ今日子の恨みを果たすために当時の2人を殺した。

    ちょっと、"人殺しすぎ"な印象も有りますが、辻褄は会っているしこれはこれで良しです。2日で一気呵成に読み終わりました。レコードのジャケットの部分とかまで細かい部分が流石です。

    暗さと言い、ラストと言い何処となく、横溝正史の悪魔の手毬唄を思い出しました。

  • 上巻がなかなか読み進まなかったのが嘘のように、下巻に入って急に読むスピードがアップした気がする。そうだよね、前の作品とかもこんな感じで読み進められたよね?と。

    上巻で「こういう理由でこの人たちが殺されるんじゃないかな?でも、実行犯は誰なのかな?」と思ってスポットを当てていたところと、ズレたところに答えがあった後半だった。

    作品の性質上、江南くんは死なないよね?と思いつつも死んじゃうんじゃ?とドキドキしてた。死ななくて良かった。

    ラストは良かったのか良くなかったのかは分からないが…2時間ドラマとかにありそうな美しく印象的なラストだったかも。

    江南くんのトラウマがひどくならないことを祈るばかり。

    しかし、このシリーズ、時代背景なんだろうけど、喫煙者が当然のように多いなぁ。

  • 時計館で次々と人が殺されていく話。トリックが秀逸で、なるほどそういう手があったか、と。綺麗に手のひらで踊らされた。謎解きで徐々に伏線が回収されてくのも良かった。これは早く他の館シリーズも読まなければ!

  • 前4館中、2つは何となくこうかなという感じでトリックが想像出来ましたが、今回はそうはいかなかったです。

    下巻の帯には
    「神か悪魔か 綾辻行人か! 空前の大仕掛けに驚嘆せよ。」とあるんですけど、
    まさに驚嘆。
    神でも悪魔でもなく、綾辻行人でした。

    読みつつも特有の叙述トリックを読み解こうとするんですけど、今回は一味違った内容で、「そんなとんでもないことするんだ」と驚愕です。

    まさに驚天動地。
    非常に面白かったです。

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著者プロフィール

1960年京都市生まれ。京都大学教育学部卒業、同大学院博士後期課程修了。87年、大学院在学中に『十角館の殺人』でデビュー、新本格ミステリ・ムーヴメントの契機となる。92年、『時計館の殺人』で第45回日本推理作家協会賞を受賞。2009年発表の『Another』は本格ミステリとホラーを融合した傑作として絶賛を浴び、TVアニメーション、実写映画のW映像化も好評を博した。他に『Another エピソードS』『霧越邸殺人事件』『深泥丘奇談』など著書多数。18年度、第22回日本ミステリー文学大賞を受賞。

「2023年 『Another 2001(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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