刑事のまなざし (講談社文庫)

  • 講談社 (2012年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784062772990

作品紹介・あらすじ

刑事・夏目信人(なつめのぶひと)早くも文庫化!
人を信じ、真実を見抜く。幼い娘の笑顔を奪われた刑事だから。
思わず涙がこぼれる七つのミステリ。

ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです――通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。虐待された子、ホームレス殺人、非行犯罪。社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。何度読んでも涙がこぼれる著者真骨頂の連作ミステリ。

●黒い履歴
●ハートレス
●プライド
●休日
●オムライス
●傷痕
●刑事のまなざし

みんなの感想まとめ

人の心の深層に迫る連作短編集で、主人公の刑事・夏目が抱える痛みと向き合いながら真実を追求する姿が描かれています。彼は幼い娘を通り魔事件で失い、その経験から人々の苦しみや社会の歪みを温かく、時には厳しく...

感想・レビュー・書評

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  • 薬丸岳さん著「刑事のまなざし」
    夏目刑事が主軸となるシリーズ物の作品で7篇からなる連作短編集。

    この作品は読み始めてから気付いたが、娘が通り魔事件にあい長年植物状態になってしまっている設定から、椎名桔平さんが夏目役のドラマ化されたものを以前観たなと思い出した。そのドラマを観たのも調べてみれば10年前。やはり内容は全く覚えていない。その為かなり新鮮な気持ちで読み進める事ができた。

    今回初めて著者の短編作品を読んだのだが、短編長編とで比べてみれば著者の作品はやはり長編の方が味わいが濃いし余韻が
    深いと感じる。
    短編作品だと意外とあっさりしており著者作品特有の「深く考えさせられる」というところまでには至らなかった。

    連作物で次作「その鏡は嘘をつく」は長編作品らしいのでそちらも読み終えてから総合的な感想を書いてみたい。

  • 「小説現代」掲載の連作短編7編

    主人公は罪を犯した少年達の更正を手助けしたいと法務技官となった夏目
    一人娘が暴漢に襲われた事をきっかけに
    警察官へと転職を果たす
    刑事となってから向き合った事件を
    切ない事情と大切な人を庇いたい背景と共に

    ラストの「刑事のまなざし」は、
    未成年時の自分の犯罪が自身に巡り巡ってくる
    夏目により正しい裁きを得るのだけれど
    果たして夏目は許せるのかと思う
    「オムライス」が、事件の背景としては一番辛くて悲しい  息子よりも愛人を優先する母親

    穏やかな語り口から犯人の深層心理に向かう
    読み応えある短編集で シリーズになっているようです

    • おびのりさん
      なおなおさん
      そんなに厚くないですし
      話が展開するし読みましょう!
      なおなおさん
      そんなに厚くないですし
      話が展開するし読みましょう!
      2025/03/23
    • 1Q84O1さん
      こちら相変わらず分身したままで〜す!
      こちら相変わらず分身したままで〜す!
      2025/03/23
    • なおなおさん
      「Aではない君と」とかもう何年も読みたいと思っているのですが、分厚くて手が出ません^^;
      「闇の底」という話が、当時読書初心者として衝撃的だ...
      「Aではない君と」とかもう何年も読みたいと思っているのですが、分厚くて手が出ません^^;
      「闇の底」という話が、当時読書初心者として衝撃的だった記憶があります:( ;˙꒳˙;):
      2025/03/23
  • 話は読みやすいのに、事件は重かった。
    2転3転という訳では無いが、きっとこの人が犯人なんだろうなと思っても、そこから更に話があり、それぞれ人の感情というのは第三者がはかるのは難しいなと思った。
    「オムライス」の話はなんとも言えない気持ちになった。
    夏目さんのキャラが穏やかで、刑事ものにありがちな感じ悪い横柄な態度の警察が出てこないのは良かった。

  • 面白い、けど…ちょっとなあっていう感じ。
    殺人を犯す動機が?な人が多かったです。
    人情系の話でそんなことでやるのかって思うと作り物感が出て涙も引っ込むし、どうしようもなかったからしょうがないよねと同情もしずらかった。最後の話もそんなややこしくしなきゃいいのに。

  • 久しぶりの再読。単行本で読んだのだが文庫でしか登録ができないのでこちらに書き込む。

    改めて読み返すとハードな事件ばかりで後味が悪かったり、残された人たちはどうなるのかという同情でいたたまれなくなったりする話が多い。
    それでも夏目信人という刑事のキャラクターが救いになっているところがこのシリーズが続いている所以だろうか。

    夏目信人は『罪を犯した少年と向き合う法務技官という仕事』をしていたという異色の経歴を持つ。30歳の時に法務技官を辞めて警察官の採用試験を受けたそのきっかけは、一人娘が何者かにハンマーで頭を殴られるという事件が起きたこと。娘はその後十年間、意識を取り戻さないまま。
    見た目は穏やかな彼だが、高校時代はボクシングもやっていて強かったらしい。

    この作品には7編の短編が収録されている。
    読み終えてみれば家族や友人知人など狭い世界の中で起きた事件ばかりで、それだけに暗澹とするような話もある。
    ただそう都合よく、虐待されたもの同士や犯罪被害者同士が近くに居合わせるなんてことがあるのかという疑問があったりする。
    しかしこれは一つの犯罪が被害者やその周囲の人達の苦しみ悲しみを引き起こすだけでなく、加害者側や第三者にまで連鎖することもあるということを描きたい作者さんの意図があるのかなと感じた。
    当事者たちの心理状態について首を捻るような話もあったが、犯罪が起こるまでに様々な段階や連鎖があって、そこで止められなかった哀しみを描きたかったのかなと理解した。
    励ますつもりだったり慰めるつもりの言葉が返って怒りや憎しみという真逆の反応を生むこともある。

    夏目と同じように大切な人が植物状態になってしまった設定では、横山秀夫さんのF県警強行犯の楠見を思い出した。しかし二人は全くキャラクターが違う。鞭で首をグイグイと締め上げる感じで犯人を追い詰める楠見とは違い、夏目は本人が必死で隠していた心の奥底にある傷や醜いモノまで掬い取ろうとする。ただどちらも容赦の無さは同じで、決して逃れることは出来ない。

    当初の予定としてはシリーズ化は考えていなかったのか、この第一作で夏目の娘の事件は解決している。
    だがこの犯人の場合、刑事裁判上では大した懲罰は与えられないのでは?と思う。何しろこの国は加害者の人権の方が大切にされているのだから。
    それより夏目の自制心に感心する。ボクシングもやっていた彼がよく殴りかからなかったなと思う。刑事として様々な事件や犯人や周囲の人々を見つめることで様々な立場の人たちを落ち着いて俯瞰する姿勢を身につけられたのだろうか。
    この一応の節目を経て夏目がどんな思いで刑事という仕事を続けていくのか、続編も読み直してみようと思う。

  • 夏目シリーズ第1弾。
    ほんまは、これから読むべきやけど、分からずに第2弾から読んでしまった…(T . T)(「その鏡は嘘をつく」)
    30歳からの転職組。警察でもあるんや!
    その理由は、悲しい…( ; ; )
    娘が誰かにハンマーで殴られて、植物状態に…
    それもあって、警察官に転職。
    それまで、少年院とかの少年を見ていただけあって、強面とイメージの刑事の中では異色の柔らかい物腰。
    しかし、ずば抜けた洞察力で事件を解決する。
    でも、「人を信じる」が心情の人に刑事はしんどいな…
    「僕にとっては捜査はいつも苦しいものですよ」
    人の痛みが分かるという事は、自身も相応の傷を負ってる…
    人の痛みが分かる良い刑事でずっといて下さい〜

  • 夏目刑事の犯人に対しての向き合い方、犯人の関係者に対する向き合い方がとても真摯で好きだな。けど、やはり刑事弁護人の時も思ったけど、いまひとつ犯人の動機だったり心情だったりが、理解できないというか、そうなるかな?とか思ってしまう。
    殺人事件だというのに、あ、、、殺しちゃったのね、、、みたいな動機の軽さがチラチラと感じる。やむを得なかった殺人というより成り行きで殺してしまったっというパターン?
    動機的に、この人が犯人よね!って思ったら、夏目刑事が隠れた真実を暴く!っというパターンだからあえてそうなのだろうけど。


  • 少年鑑別所の法務技官から警察官に転職した、刑事・夏目信人が活躍する短編集。
    『彼が何故転職したのか』を含めて物語は進んでいく。

    刑事といえば、視線が鋭く無骨なイメージがあるが、本書の夏目刑事は物腰がとても柔らかく温かい眼差しの“らしくない刑事”だった。
    そんな“らしくない刑事”の魅力は、人間に対する温かいまなざしと犯罪に対する厳しい姿勢。洞察力と観察力の鋭さに、ただただ感心した。夏目刑事の魅力的な人間性で、読後は完全に心を奪われた。

    良し悪しは別として、大切な何かを守りたいというのは全編に流れるテーマ。
    薬丸岳さんらしい『憎しみの連鎖』『贖罪とは何か』について問う深くて切ない社会派ミステリです。

  • 久しぶりにオーソドックスな刑事モノでありながら、心に刺さる作品に出会いました。天使のナイフはかなり前に読んでいて、確かに少年法関連と予想していましたが、本作は期待を超える作品でした。思わず夏目刑事の続編を購入しました!星5つ。

  • 主人公は刑事だが、事件の関係者である第三者の視点で語られる。
    ひとつひとつのストーリーが面白く、読み応えのある連作短編集だった。

    遠くから正しい事を言うのは簡単だ。
    どれだけの理由があろうとも罪を犯すのは悪い事。
    ただ、そこに至るまでの経緯に向き合い、その背景にある関係性、抱えている痛みや葛藤、理不尽な想いに寄り添ってあげられるか。
    罰して終わりではなく、犯してしまった罪とどのように向き合っていくか、償っていくか。
    本当の意味での償いとはどのようなものなのか。
    それらを誠意を持ってとことん向き合う事で心を溶かしていく事が大切なんだと思う。

  • 面白かった、そしてまた、重くて、やりきれない思いが、疲れた。短編で読みやすかった。一つ一つの話が長編にできそうかも?と思った。一つ一つの事件を通して、夏目刑事のこと、描かれていた。ラストの刑事のまなざしでは、通り魔の犠牲者となりチューブに繋がれ意識のない娘さん、そして真相、犯人とのやりとり。謎解きでミステリー要素があるので楽しめます。いろんな重い、つらい感情も描かれているので、結構、疲れます。彼の作品には、深いところに愛のようなものがあるのて、ずっと、薬丸岳さんにはまって、多分16冊ほど、読んできたが、ちょっと休憩タイムに入ろうと思った。重さとつらさが上回り、いっぱいいっぱいになってしまった❣️でも、ファンです。ほのぼの系を読んで、落ち着いたら、また、薬丸岳さんを読みたいです。

  • 幼い娘が通り魔にハンマーで殴られて植物状態になってしまった。
    夏目信人は当時、法務技官だったが、その事件後に刑事になった。
    刑事には見えないという柔らかい物腰、ただ優れた洞察力で、様々な人から真実を聞き出す。
    そんな夏目の強い意思と優しさ、時に見せる鋭さに心を捕まれる。

    2025.8.2

  • 七話からなる短編集
    夏目信人という刑事に一話ごとに迫っていくような連作にもなっている。

    夏目は娘の事件をきっかけに 少年鑑別所で罪を犯した少年たちに精神的に寄り添って正しい道を示していくとう仕事である“法務技官”から刑事になった。

    穏やかで飄々としていて自らのことををあまり語らなかった夏目刑事が最終話の『刑事のまなざし』で娘の事件と対峙することになる。
    ひとつの罪がまたひとつの罪を生む。
    後になって悔いても罪は消えない。悲しみは広がるばかりだ…
    ここで初めて発せられた夏目刑事の叫びが犯人を貫く。

    ごく短い話ばかりでどれも読みやすかった。 今度は夏目刑事の長編を読みたい。きっとまわりからは変り種として若干煙たがられているんだろうなぁ。

  • 色々とミステリーを読んでいるが、また新たなキャラクターを好きになった夏目信人だ
    彼の言葉の端々から優しさや柔和な表情などが伝わってくる

    そんな彼だが鋭いところも多く事件を解決していく
    事件も単純なものではなく複雑な人間関係が絡み合っていてとても面白かった
    シリーズで出ているとのことなので、最新作まで全部追ってみたいと思う

  • 薬丸さんの作品を読むのは初めてだが厳しい話を書かれるのは知っていたので心して臨んだ。自分の子供が事件に巻き込まれたのをきっかけに刑事へ転職した夏目を主人公にした短編集。予想通りヘビーな内容が多かった。その中でミステリー的な技巧としてある種の驚きを持ってくる辺りはすごいと感じる。特に推協賞の候補にもなった「オムライス」は別格。ラストに明かされる真相に驚かされるとともに胸が苦しくなる。ここまで迫ってくるかと。

  • 薬丸岳さんの話は毎回壮絶!法務技官だった夏目、我が子を傷害された過去を持ち警察官に転職する、理由は我が娘の敵討ちのため、同じ事件を繰り返さないよう予防するため。短編小説の最後の話、夏目はいよいよ娘を傷害した犯人に辿りつく。同窓会に出席した夫婦、夫は幼少時から相当の問題児。夫から虐められた過去を持つ太田が夫婦を脅迫する(妻を1日抱かせろと)。只その夫は夏目の娘を傷害した犯人であり、太田がそれを目撃し、証拠を所持している。太田の復讐に対する夫婦の取った行動はとても意外。夏目の実直な態度は称賛しかない!

  • 面白かったです。
    短編を読み進めるにつれ、夏目の人となりや過去が見えてきます。
    はじめは「裏がありそう」と思っていましたが、
    一人一人に平等に真面目に向き合う、一人の娘の父なのだと思いました。

    タイトル通り、夏目の目には不思議な迫力があります。
    穏やかで優しいときもあれば、一転鋭く光るときもあり、心情の変化が現れていて引き込まれます。

    最後、目的を達成したかに見えた夏目ですが
    最後に話した新たな目標は、達成不可能なのでは…
    刑事を続けている限り、夏目の苦しみは消えないのではと少し寂しく切ない感情で終わってしまいました。

  • 夏目刑事が出てくるほかの作品も読んでたが、初めてこの本で彼の背景を知ることができた。周りの人は夏目を刑事に向いてないと言うが、教師や法務技官を目指していたように一人一人の人間に真正面から向き合い続けられる彼だから本当の意味で罪を償う犯人が多いのではと思う。本人は苦しいだろうが、こういう刑事がむしろ多くあってほしい。

    ほかの方の感想に「作り物感」についてありましたが、最近の作品はリアルを追求し少し前の作品ではフィクションとしての面白さを大事にしている印象があります。私は最近のほうが好き。

  • 幼い娘を植物状態にされた夏目という刑事が、様々な事件にかかわっていくという短編集だった。400ページ近くあるが、何度読んでも薬丸さんの本は読みやすく、ストレスなく一気に読める。薬丸さんの本を読むと、親と子ども、近いようで遠い関係であることがよくわかる。子どもの事を本当に理解してあげる事ができるのか不安になるが、親はずっとそばで子どもを支えていかなければいけない責任があるというのをいつも本を読み終わったら後に感じる。

  • ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです…通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。虐待された子、ホームレスの殺人、非行犯罪。社会の歪みで苦しむ人間たちを温かく、時に厳しく見つめながら真実を探り出す夏目。何度読んでも涙がこぼれる著者真骨頂の連作ミステリ。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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