弩 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.72
  • (6)
  • (18)
  • (9)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 98
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773003

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • おおー、と素直に感嘆の声が漏れるほど整った面白さ。そして、濃厚に描かれる舞台。
    これは一気読みしちゃうな。

    勢いのある文庫版表紙につられて購入したのだが、タイトルである「弩」を使うまでのストーリーがきちんとしていて良い。(あまりにも出ないので、読んでいて不安になったのだが(笑)振り返ると、良かった)

    貧しい村に塩がもたらされるまでの前半と、富を得て村を守る側に向かってゆく後半。
    それに伴う登場人物達の成長が楽しい。

    吾輔や光信など男達は各々にどこか抜けていて、可愛らしい面を持ち続ける。
    その一方で、小萩や澄といった女達は見た目に麗しく、そして強い。特に、素直で可愛らしかった澄が「知」と「恋」を手に入れ、変化してゆく様がいいなあ。

    後は所々の睦み合いシーンが、何だか笑える。

    私としては弱き立場の者が、懸命に知恵を出して強敵に立ち向かう構図が好きで、更に崖っぷちから結末がどう流れてゆくかにハラハラさせられた。

  • 農民 対 侍。
    時代背景は1274年〜1348年の南北朝時代。

    構成的には和田竜に似てるか。
    特殊武器、弩も『小太郎の左腕』的な。

    個々のキャラはしっかりしてて、際立っている。嫁がナイスバディの外人さんってのが、また粋だ。実写化望むね。

    節々に見える、名言が心打つ。
    特に、商人としてはグッときた。青臭くても中々悪くない。

    テンポも良く、さくさく読める。
    が、決して内容が薄いわけではない。
    ここに描かれる全ての女性が尊く逞しく描かれていて、何だか清々しい。

  • ガツンと来た。侍魂とか良く使われるが殆ど百姓だったわけで、彼等が立ち上がり抗う姿は美しい。「桃源郷とは人が歳の順に死んでいける土地」。この百姓ソウルを引き継いで行きたいものだ。面白かった!

  • なかなか面白く読みました。史実と虚構が微妙に混ざっているような話。百姓が自分の村を守るため武士集団と戦う話。光信様は切ないな〜

  • 弩。面白いから読んでみる!?そう言われて貸してもらいました。
    弩は、そのまま武器の弩。
    物語は武器や戦いがメインの話ではなく、南北朝時代の智土師郷という村の話。
    歴史小説は時代のスターとも言うべき人がいて、成り立つ物だと勝手に思っていたけれど、辛うじて出てくるのが楠木正成一派の侍。歴史として全く無名な村人や縁の人物ばかりだけれど活き活きとその時代や人間像を描き出され、読んでいて吸い込まれるようでした。
    柿渋と塩の商いを通じて豊かになる村。主人公の吾輔は言い放つ。商売はお互いに得をしたと思って成り立つが、侍はどちらかが得をしたらどちらかが損をする生業。
    普段意識することはなかなか無いけれど、そう言われてみれば、今の世の中だったり、仕事だったりは恵まれているのかなぁなんて思いました。
    読み物としてもとても面白い本。後書きにも書かれている名シーンも色々と感じる所がありました。オススメの本です。

  •  今年の流行語大賞の最右翼「じぇじぇ!」より短い書名。「ど」  書名が一音ってすごい。
     「弩」は現代で言えばクロスボーのことだ。なんとなく文字の面構えそのものがクロスボーの形に見えて、強そうだ。



     この小説は2部構成になっている。前半は領主の重税に苦しんでいた南北朝時代の農民たちが、あらたに村に来た雑掌(ひらたく言ってしまえば領主みたいなもの)のお坊さんの民を思う施政により生活が変わっていく話。中でも主人公の吾輔は貪欲に商売に励み、特産品の渋柿(食用ではない)を売る販路を見つけたことにより、ついには塩の商いをできる権利を手に入れ、村を豊かにする立役者へとなっていく。


     この前半部分だけでもひとつの小説として十分に面白い。


     後半は豊かになったが故に起こる弊害、家族間の不仲、村人同士のいざこざ、そして何より富を狙った悪党(無法武者集団)の襲撃から如何に村を守るかがテーマになっている。


     これがまた面白い!


     ここで「弩」が登場する。


     武術の心得も、戦闘の仕方も知らない農民たちが、弩を武器にして立ち上がり、悪党たちから村を守る。その戦術、戦闘の描写が実にスリリングでスピーディ、手に汗を握る面白さがある。農民たちに弩の使い方を教える傭兵は、楠木正成のもとで戦った強者で、戦慣れした武者集団に正面からあたっては負けるとわかっているから、奇策ばかり教える。農民も戦功や名誉なんて屁とも思っていないから、そんな策をよく飲み込む。命が惜しいから逃げるのも手だ。いかに弓矢の射程から外れるかを学び、逃げ方も教わる。


     そんなんで勝てるのか!? さあ、戦の首尾は如何に!



     まあ、予想は着くでしょうけど…


     武将や参謀たちが活躍する歴史小説に飽きた方、または「うちは代々農家だ。先祖の系譜をたどっても、有名な奴になんかたどり着かねえぞ!」と秘かに嘆いている方にお薦めします。


     中世の農民パワーを生き生きと活写した傑作です。

  • ☆☆☆☆

  • 南北朝の時代、高い年貢で貧窮にあえぐ因幡国・智土師郷。吾輔は特産の渋柿で商いを起こし、一転、村は富むが、その富を奪取せんと武士集団がたびたび村を襲う。この地に桃源郷の理想を見る僧侶の協力を得て結束する村。勝利を呼び込む頼みの綱は、村にもたらされた新型弓兵器「弩」。壮絶な闘いがいま始まる。

  • 4年間通ってたけど、金沢文庫の由来を知らなかった…

  • 本屋でおすすめ平積コーナーにあったので、買ってしまった。
    面白いです。全体に海外サイコパス物に共通のにおいもするのに、ユーモアがあり感情移入のできる主人公と、魅力的な脇役達のおかげか、作品に対する信頼感を保ちつつ読めました。

    兄さんまだまだ活躍しそうです。そのうちに、兄弟力を合わせて
    強大な敵と対決する!ってな話もありそうですな。

    しかし最近は、単なる殺人では話にならないのか、殺し方も凝っている、というかなんというか。シリーズ1作から読みたいと思います。

全13件中 1 - 10件を表示

下川博の作品

弩 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする