天狗童子 (講談社文庫 さ 1-27)

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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773041

作品紹介・あらすじ

笛の名手・与平のところに突然「天狗さま」が現れた。子供のカラス天狗に笛を教えてやってほしいという。九郎丸という子天狗は、カラス簑を脱ぐと人間の姿になった。九郎丸への愛情がふくらんだ与平は、簑を焼き捨ててしまおうとする…。赤い鳥文学賞を受賞したファンタジー。リアル・戦国時代を背景とした天狗と人の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 人間として生きて欲しい。
    共に暮らしていて思うことがあったからこそ行動に移したのだろうが、本人の意思を無視してはいけないだろう。
    まだ戻れる段階だったからこそ、真実を告げ託したのかもしれないな。

  • 「佐藤さとる」の作品だから、と意気込むと、少し違う感想を持つような気がする。
    あとがきを読んで、もともと初期の作品を書き直したものと知って、少し納得。
    与平が魅力的だったので、後半、出番がなくなってしまうところが残念。また、前半は天狗の不思議な術や世界などが中心であったのに、同じく後半はお家騒動・軽症問題が大きくなってしまった。もっと、九郎丸と山で笛を吹いて欲しかったな。

  • コロボックルの佐藤さとるさんの本なので、大変楽しみに読んだのですが、あまり引き込まれなかった...キャラクター的には面白い人も多いのですが、全体のバランスでしょうか?

  • 天狗も大変なのかねぇ

  • 佐藤さとる氏の新作が出版されたというのは聞いていたのだが、文庫本になったのを発見して購入。ジャンルは児童書、らしいが、40年位前の子供ならともかく、現代っ子は最後まで付き合えるか、要らぬ心配をしてしまった。

    物語的には、与平が九郎丸を人に戻そうと大天狗に直訴するくだりをクライマックスにしてもよかったかなと思う。九郎丸の出生が明かされるまでは、佐藤さとるらしいファンタジーで、一気に読ませるが、そこからは、それまでのキーアイテムだったカラス蓑や笛、といった小道具が活躍せずに、現実世界の話が進む歴史小説風になって、盛り上がりに欠けた気もする。

    ただ、人物(と、天狗)描写はぴか一で、それぞれの人物の性格が手に分かり、誰もがいとおしく感じられる。さらっと描いてある脇役も、すごく味があってよい。さとる氏の物語には悪者はおらず、だれも憎めない。これが、安心して読める要素でもあるように思える。個人的には茶阿弥の出番がもっとあればよかったですが。

    深いなーと思ったのは、「人間より力のある天狗が、なぜ人間の争いを止めてくれないのか」という与平の問いに、中峰(天狗)が「因縁のない人を攻めるために術を使うと、すべての天狗の術がいたむ」と答えたところ。宗教の「善悪」の概念に通じるところがあるように思える。

  • 150

  • 戦国時代を生きた、“半天狗”の天狗童子の、愛しくなるような物語。
    ジブリで映画化してくれないかなぁ。

  • 山番の与作がカラス天狗から笛を教えて欲しいと子供のカラス天狗 九郎丸を預かるが、九郎丸を思う与作の行動が、九郎丸と与作に大きな時代の波を引き寄せてしまう。

    時代背景は16世紀初頭戦国時代の関東が舞台
    当時三浦半島に拠った三浦一族の行く末について、天狗をからませて描いた小説で歴史小説ともいえる。

    与作のキャラクタは、純朴な民の代表で、人として真っ直ぐに行動するところがすばらしい。

  • ちょうど一緒に『陰陽師』を購入したので、二冊並べておくと妙な類似感。おなじ村上豊の挿絵だからね。天狗の里の詳しい描写とか、お家争いの内実とか、クールな筆致で話がすすんでいくのが、近ごろの過剰な描写に慣れている身には新鮮。ラスト、九郎丸が元服してからがアッサリで、ちょいと物足りなかったかな。

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著者プロフィール

1928年、神奈川県横須賀市に生まれる。1959年、『だれも知らない小さな国』を出版し、毎日出版文化賞、国際アンデルセン賞国内賞他を受賞。コロボックルシリーズをはじめ、『かえるのアパート』、『おばあさんのひこうき』などの名作を次々に発表。日本の児童文学の代表的作家の一人。

「2009年 『もうひとつのコロボックル物語 ヒノキノヒコのかくれ家 人形のすきな男の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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