カスティリオーネの庭 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773065

感想・レビュー・書評

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  • 清の時代、乾隆帝に宮廷画家として仕えたイタリア人宣教師カスティリオーネ(郎世寧)の目から見た皇帝一族の物語。
    布教の為に皇帝に気に入られたい宣教師たちと、西洋人たちの技師としての能力がほしい皇帝の駆け引きが面白く、噴水時計から白骨死体が発見される出だしはミステリー仕立てでもある。
    宮廷画家といっても、皇帝の寵妃の肖像画を描くのに顔を見せて貰えなかったり、成人している皇子を子どもの姿で描けといわれたりと、昔の絵に描かれていても、そのまま鵜呑みにはできないんだなと思いました。
    最後に皇帝にわからないように庭に西洋やキリスト教のモチーフを入れて意趣返しをするところは面白い。

  • 2012-7-19

  • この本、手にとってちょっと失敗かな。時系列が整理されていないし、庭園の描写もごちゃごちゃしていてイメージが湧きにくい。
    カスティリオーネは、蒼穹の昴にも登場した、イエズス会所属の助修士にして宮廷画家。乾隆帝の囲われものとして、その苛烈な命令にしたがってひたすら庭園造りに励む一方、本来のミッションであるキリスト教の布教活動自体は厳しく弾圧されて…。結局、皇帝にいいように利用された、虚しさの残る生涯だったのだろうか。

  • 2/7 読了。

  • 清朝乾隆帝に仕えた画家郎世寧ことジュゼッペ・カスティリオーネと、皇三子のこころの親交。ミステリーになるのかな?カスティリオーネという人物自体初めて知った。王家とお雇い外国人の関係や、風俗事情。当時の雰囲気が感じられる作品だ。

  • かなり以前、単行本に挑戦したものの、途中で挫折。
    今回は無事、読破しました。
    物語のような、評伝のような。
    適度な低体温が心地いいです。
    実際にこの目で、カスティリオーネの絵を見てみたくなります。

  • 清の乾隆帝に宮廷画家として仕えた宣教師 郎世寧(カスティリオーネ)が同僚と一緒に西洋庭園を築き上げる物語

    物語は、苦心して築いた西洋楼庭園の噴水台座の中から白骨死体が発見されるところから始まる。
    皇帝一族と指示されて描いた絵画の謎なども提示され、終盤、一気に謎が明かされていく。

    キリスト教弾圧で仲間が処断されていく中、乾隆帝の気まぐれな指示に答えて、噴水を西洋庭園を築いてカスティリオーネたちを丁寧に描いているので、物語がテンポ良く進むというわけではない。

    郎世寧は、浅田次郎の「蒼穹の昴」にも出てきていて重要な役割を与えられている。

  • 清の康熙帝、雍正帝、乾隆帝に宮廷画家として仕えたジュゼッペ・カスティリオーネ(中国名・郎世寧)をモデルにした小説。

    中野美代子さんは岩波文庫の『西遊記』の翻訳者、というイメージがあり、歴史小説を書いていることは知らなかった。たまたま出先で読む本が無くなってしまい、新刊で出ていたこれが目に入ったので買って読んでみた。

    読みやすくてぐいぐい読んでいける。ちょっとだけミステリー仕立てなこともあり詳しく内容が言えないが、カスティリオーネの生涯に思いをはせることになった一冊。表紙の絵はやはり有名なのだろうか。wikiで調べても出てきた。西洋風だが描いてあるもののせいもあってか、不思議な絵だ。

    そしてその後の英仏連合軍による円明園の焼き打ち… 解説を通して知った歴史である。カスティリオーネの異国の地での複雑な心境はこの小説のような言葉で想像してみるしかない。

  • 時は、清朝、乾隆帝につかえたイエズス会士にして宮廷絵師カスティリオーネ。皇帝の恣意にふりまわされるも、求められた技術を着実に提供し、敬愛する皇三子を守ろうとするも果たせず、企みに満ちた世界にからめとられもがきつつ、最後にささやかな本当にささやかな象徴的な一糸を報いた、と。「歴史の記録とても、皇帝のおもちゃにすぎんよ」(カスティリオーネ)/日常にあらざる時間とな。日常の時間とても不断に流れ去る。一寸のさきになにが出来するやもしれぬ。劇的な一瞬が日常の時間のなかにおとずれぬともかぎるまい?」(乾隆帝)

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著者プロフィール

1933年生まれ.
1956年,北海道大学文学部中国文学科卒業.
北海道大学文学部助教授.
主 著:
砂漠に埋もれた文字—パスパ文字のはなし (塙書房,1971)
海燕(長編小説) (潮出版社,1973)
中国人の思考様式—小説の世界から (講談社,1974)
カニバリズム論 (潮出版社,1975)
悪魔のいない文学—中国の小説と絵画 (朝日新聞社,1977)


「1979年 『辺境の風景 日本と中国の国境意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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