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Amazon.co.jp ・本 (752ページ) / ISBN・EAN: 9784062773072
作品紹介・あらすじ
「主よ。主よ。教えてください。俺は正しい航路を進んでいるのですか」主の命で大刀奉納の旅道中の鋤名彦名は、謎のくにゅくにゅの皮に飲み込まれ贋の世界にはまりこむ。真実を求めながらも嘘にまみれ、あらぬ濡れ衣の数々を着せられ凶状持ちとなった彦名。その壮絶な道中の果ては。(講談社文庫)
生きているだけ。ただ、生きているだけで負い切れぬ罪障が積み重なっていく。冥府魔道。
「主よ。主よ。教えてください。俺は正しい航路を進んでいるのですか」主の命で大刀奉納の旅道中の鋤名彦名は、謎のくにゅくにゅの皮に飲み込まれ贋の世界へはまりこむ。真実を求めながらも嘘にまみれ、あらぬ濡れ衣の数々を着せられて凶状持ちとなった彦名。その壮絶な道中の果ては。<野間文芸賞受賞作>
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
真実と嘘が交錯する旅の中で、主人公の鋤名彦名は、主の命に従い大刀奉納の使命を果たすために奔走します。彼は無意識のうちに犯罪に巻き込まれ、さまざまな障害を乗り越えながら、自身の存在意義や罪の意識と向き合...
感想・レビュー・書評
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主に大刀奉納を命じられた主人公の彦名が偽の世界に迷い込み、真実と救済をもとめ右往左往する話。
嘘の世界でよく分からないまま凶状持ちとなり、それでも真実をもとめ旅する。
なんて書くとかっこいいがこれが町田小説にありがちなしょーもない奴で、何事もご都合主義に良いように解釈し、自己弁護を繰り返し、無軌道のままに旅し身から出た錆なのだが大極悪人の汚名を着せれつつも、主の命を果たそうとする。読みながらほんとクソでアホだな、と思いつつもどこか憎めなくて応援したくなってしまうのだから不思議だ。ハラハラしつつ物語に惹き込まれた。
なぜかというと、偽の世界ではどれも荒唐無稽の名や肉体が入れ替わったり、と有り得ない出来事が続くのだが、彦名と関わり合う人々とやりとりされる感情の機微や駆け引きや打算、あるいは生じる嫉妬、裏切り、嘘、どれもリアルで、ああこういうことあるなあ、とか、いるんだよねーこういう卑しい奴、などと、いちいち共感してしまう。嘘の世界でリアルなことが描かれている。そのなかで彦名が七転八倒する。読むうちに共感が声援に変わる。巧い仕掛けである。
主というの極道の親分かと思ったら、読み進めるうちにこれは一神教の神だなあと思い至る。ということは彦名は救済を願う受難者で、これは巡礼の旅の話。
だから物語の最後は神との対話なのだが、彦名の魂は救済されたのかはわからない。
そう考えると「宿屋めぐり」というタイトルはうまい。
嘘かホントか分からない世界で、とにかく生きる場(宿)をさがしめぐることが生の過程そのものと解釈できる。あるいは肉体という宿をめぐってさまよう魂の遍歴とも評することができる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
西村賢太が褒めた戯作
完全に『ホサナ』と同じノリなのだが、しかしホサナと違ふのはこっちのほうがおもろいからで、ホサナみたいにぬめぬめはしてない。が、あとでぬめぬめしてくる。
しかし町田康はストーリーを考へないで書いてると思ふ。
が、いつのまにか、「真と贋」が作品の主題みたいになってきてをり、この世の欺瞞。を主人公がひしとこの身で体感。盗人、殺人者、放火魔、爆弾魔、などにされた挙げ句、これをひたすら遁走。正直者が馬鹿を見るっつうか、馬鹿が馬鹿を見るっつうか。主人公にも悪いところはあるっつうか。
ま、あんま考へないで読めるので、好っきゃっなあ。燦州ポポポ呪師。
しかし、やはり長い。と思ふ。 -
2023/12/2購入
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/682518 -
町田康の多くの小説は、多彩な擬音・現在と過去の区別・実在なのか創造か・人間なのか動物か・死んでいるのか生きているのか等等 意味不明・摩訶不思議な調子で淡々と続くのです。結末も何だかスッキリしない読後感があったりするのですが、面白いいんです! 読みながら何故だか声を出して笑ってしまうんです。
この小説は、ある世界で師匠に仕えて暮らしているうだつの上がらない弟子”鋤名彦名”が主の指令で大刀を遠い国の神社に奉納する道中記ですが、いきなり大刀奉納って江戸以前?とか思うのですがやはり町田小説は凄いのです。現代ぽいテンションと江戸的な様相を呈した舞台となっていて何がなんだか判りません。。。
この彦名は各地を旅しながら不本意にも人を殺したり強盗を働いたり街を破壊したりと次々と犯罪を繰り返して行く、それでも主の命である大刀奉納を目的にどんどん障害を乗り越えたり逃避行したりしながらつき進んでいく。
一度は磔になって殺されながらも最後にはミッションを完了するのだが目の前に現れた現実は、、、
人生は”宿屋めぐり”です延々とぐるぐる廻るみたいです -
みんながおれを悪党だというが
なにもおれは悪党になりたくてなったわけじゃない
わざとじゃないんだ、わざとじゃ
だからおれは絶対に謝らんぞ
といったような、ちんけなプライドに根ざす傲慢さを抱えながらも
わたしはけっして根っからの悪党じゃない
だからつねに、そんなわたし自身の自己防衛的ないいわけについても
懐疑的でありつづけているのです
だからおれは本質的には善人であるわけだ
絶対に謝らんぞ
といった具合に、おれとわたしが無限増殖をしている
といった具合で、たくさんの我を背負っている
それ故にむしろ我ありということがいえるのではないかしら?
などとそのように
己を正当化するための欺瞞的信仰まで持ち出してくるのなら
もはやこちらとしては戦争しかないのであって
それを避けたいというなら、せめて形だけでも詫びを入れてほしい
頭を下げてほしい
郷に入れば郷に従ってほしい
つーか普通に生きなさいよ普通に
などとそんなつまらぬ結論をみるまでに
700ページも小説を読まなければならない
かくも人間の自意識とは度し難いものである
が故に
普通とはなにか?それを定義せよなどといった
クソめんどくせえ議論がここからはじまってしまうであろうことも
容易に予測できてしまうのであるが
まあ神ならぬ人の子がやることですからね、仕方ないね
絶対に謝らんからな
ってまたそういう話になってしまうわけよ
安らぎを得るために、我ら人の子は無謬をあきらめるしかないよ -
『パンク侍』や『告白』のあたりで芸風がすっかり固定したようだ。相変わらずの目くるめく町田節。特にこの本は、主人公の道中のドタバタぶりや、展開の目まぐるしさが際立っている。ページをめくらせる力はめっぽう強い。
「主」(最初は「あるじ」かと思っていたが、やっぱり「しゅ」と読むんでしょうな)という存在が、この波乱万丈の物語を唯一つらぬく背骨になっている。しかし、いったいなんなんだろうなこれは。こんな話をよく次から次へと書けるものだよ。 -
長かったー!
「宿屋めぐり」の本当の意味とは? -
著者の猫エッセイに魅せられて本書を購入したは良いが、普通の文庫本なら2、3冊はありそうな厚みに手を出せなかった。江戸時代とも現代ともつかぬ設定は『銀魂』のよう。不条理、ナンセンスな物語の進行に、あらすじを引いて感想を書くのも詮無い気がする。解説も本書の書きぶりを踏襲するような表現で、これが解説? と疑問を抱くと同時に、ただでさえ本編で満腹なのに、さらに追加料理が出てきた感じ。
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ながい…長い…。
主人公の口語的スタイルで話しが進んでいくのにちょっと慣れが必要だった。
ほかにも読みたい本やまほどあるというのにかかりっきりで読んだくらい面白かった。
キタナイ、できれば目を背けたい、自分にはそんなところありませーんっていい人ぶっていたいような見たくないところを、見せられる、何度も。
でもそれが良いのだった。 -
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600ページほどあるが、『告白』を一気に面白く読んだので、その体験には及ばなかった。
一応、「主」を神として、「俺」を天使(あるいは悪魔)として読もうとしたけれど、無理。本作は、いかに物語を先に進めるか、そしていかに回収するか、というのが原動力になっていて、その,むちゃくちゃさ加減にひやひやしながら読んだ。どうやら作者自身わかっていないのだ。いつのまにか、作者の視点に立って、作者を激励しながら読んでいた。 -
見事なまでの独り語り。ああでもない、こうでもないとこの「贋の」世界で喘ぎ、苦しみ、ときに悦楽に浸りながら、「主」なき世界を彷徨する物語。贋の世界に入り込んだとき、人はどうするのか?嘘と本当がひっくり返った世の中で、主人公・鋤名彦名は問い続ける。「おれは正しい航路を進んでいるのですか?」
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「パラ…、なんだいそりゃ?」と尋ねたのはのび太。それに答えたのはドラえもん。
「パラサイト」なんて言葉があるね。寄生って意味なんだけど、要するに独力では如何ともしがたい低級な能力しか持っておらぬ存在がために、より上級な存在におべんちゃらを使って、胡麻を摺り摺りして、ご厚恩にあずかるというか、ま、あずかるというよりも甘えるだよね、これは、うん、って違う違う、そげなこと、ドラえもんは答えていないよ。
じゃあ、「パラダイス」。楽園というか極楽というか。まあ、何かよくわからないけれど、とりあえずハッピーなんだよね。昔、スーパーファミリーコンピューターで『ワギャン・パラダイス』なるソフトがあって、ワギャンという名の恐竜、恐竜というてもその外見はちっとも恐ろしくなく、むしろ当世流行りのゆるキャラのような愛らしいルックスをしたキャラクターが、ワーとかギャーとか言って敵を懲らしめるみたいなアクションゲームなんだけど、そういえば、ドラえもんの大長編シリーズの第1作目は『のび太の恐竜』だったね、『ワギャン・パラダイス』とはまったく連関はないんだけれど、っていうかそもそも「パラダイス」でもないよ、ドラえもんが答えたのは。
じゃあ、正答を述ぶると、「パラレル・ワールド」。平行・並行世界というやつだね。今ある世界と同時並行的・進行的に存在している別世界。この2つの世界それぞれに己が存在していて、ある事象に対して、Aという選択肢をチョイスした己が存在しているのは今ある世界。で、Bという選択肢をチョイスした己が存在しているのはパラレル・ワールド、別世界、てな感じ。
僕らは平生より、いろんな判断・決断をしたり、あるいは迫られたりしていて、例えば今日の午飯は鰻丼にしようかチャアシュウ麺にしようかとか、長年連れ添うたパートナーに別れを切り出すべきかあるいは腐れ縁・現状維持にて耐え忍ぶべきかとか。ときには熟考を迫られるお題目もあるけれど、大概の事は即断即決するのは、ぱぱぱっと決めて行かんと捗るものも捗らなくなり停滞するから。
そのぱぱぱのせいで、後々、悔いやら反省やらと向き合わんければならない破目に陥るんだけど、でも、生きていくためにはある程度のぱぱぱは必要、忙しいからね人間は。ああ、あのときもう1つの選択肢を選んでおったら、今頃、己はどれだけ快楽・愉悦に浸ることができたことかなんて後悔することもあるんだけど、所詮それは叶わぬ妄想に過ぎず、現実にパラレル・ワールド云々をいうて生きている人はほとんどおらんだろう、忙しいからね人間は。
とはいえ、「もう1つの世界・もう1人の自分」というフレーズにはなんとも蠱惑的な響きがあって、実際にそれを妄想してしまうことを、まあ、赦されているのが人間。特権。猿や犬やミジンコなどが別世界だのもう1匹の猿・犬・ミジンコだのを思念することなどないからね、うん、ミジンコの数え方が「匹」なのかどうかは疑わしいけれども。
結局、今ある世界に、つまり現状に満足できん自分がいるから、そんな阿呆なことを考えるのだ。「今生」が駄目なら「後生」があるサ、などというのも、「後生」において自分がええ思いをしたいがために、今生のことはもう諦めて、残りの人生の艱難辛苦はオール我慢するよ、我に七難八苦を与えたまえ、そのかわり後生のことはおたの申します、あ、でもなるべく辛度い思いはしたくないから、やっぱり二難三苦くらいにまけたって丁髷、なあんてどこかしら不純かつ自堕落な欲望を発露とする、愚。愚。愚。負け。感情の敗北。
別の世界・別の時代に期待すればするほど、今を生きている生身の・リアリティーの伴った自分を疎かにしてしまう。あるいは拗ねる、いじける、怠ける、生蔵。そんな箸にも棒にもかからぬような根性では、今生を台無しにするだけでなく、もう1人の自分も(それは並行世界にいる自分だか、いつか生まれ変わるときの自分だか分からぬが)、同じように台無しにしてしまうことだろう。何故ならば、そんなぐうたらな思想しか持たない魂なんだから。救いようがあらぬ魂なんだから。
決して冷めているわけではないよ。ドラえもんはいないし、恐竜・ワギャンも架空の世界だ。もう1人の自分、if…なんてのも、あるいはドラえもんやワギャンと同レベルの話なのかもしれぬ。
グダグダしておったら、いつまで経っても・いつになっても・どこに居ても、あなたはグダグダのまんま。要するに、今を真実・真正に生きよ、このことに尽きるんだよね。人間だから、おかしな期待感を持ったり、情欲に憑かれたりというのを完全に避けるのは厳しいかもしれないけれど、せめてオイラは真面目に生きていますぜ、そう胸を張って言えるくらいの生き様を見せてやるんだぜと、それくらいは決意し実践せんければあかんのだなあと僕は私は思ったのでありました。 -
700ページ超の大長編。
主人公、鋤名彦名の独白形式。
“主”に命じられた大刀奉納の旅の道中、くにゅくにゅに飲み込まれてはじまる苦行のような日々。
自分の都合の良いように言い訳ばかりして、どんどん落ちぶれていく主人公。
結局残るものは何もなかった気もするが、読後の感覚が忘れられない。
読書脳を活性化させられた。 -
宗教と宗教に寄りかかる人間の哀しさがとってもオモロかった。
「見苦しいなあ、見苦しいんだよ。自分のやったことなんだから諦めて処刑されればいいじゃないか」P632
このセリフが全てじゃないか。 -
厚さ4センチぐらい?持って歩くのが大変だったけれど、やっと読み終わった。
「告白」の流れを汲むムード。
わけのわからない時代設定、人名、擬音、そいういうのを乗り越えて読んでいくと、後半残り三分の一ぐらいからスピード感が増していき、なんだか自分のことを言われているような錯覚に陥りながら、あるいは自分が主と対話しているような気分になりながら、ラストに向かっていく。ということは、これは引き込まれているということ?
それにしても、苦しくても辛くても、悲惨極まりなくても、最後には気分上々になれる、不思議な物語でした。 -
『告白』も相当分厚かったですが、これまた分厚い。文庫でざっくり750ページ。「主」なる人物に大権現へ刀を奉納するよう預けられた主人公が、なぜか身に覚えのない不運に見舞われ、パラレルワールドのような世界へやってきてしまい、そこでまたありとあらゆる苦難(というか自業自得な部分も多々あり・苦笑)に合いつつも、紆余曲折を経て目的を果たそうとするお話・・・
なのですが、正直言うと、ちょっと長すぎ(本が分厚すぎ・笑)て、読みきるのは少々きつかったです。単に分量が多いから読むのが大変ってわけじゃなくて、主人公がいくら苦難を乗り越えても、ちょっと良い人に助けられて改心しかかっても、残りのページ数を考えたら、ここで上手くいくはずない、ここからさらに裏切られるなり挫折するなり延々艱難辛苦に合いつつ、かつダメな男の愚痴弱音卑怯な論理が続くだけだっていうのが明白なので、なんかもう読むのがしんどくなってくるっていう(苦笑)。うん、でも最後まで読めばもちろん面白いんですけども。
あと筋書きとは関係ないですけど、パラレルワールドっぽい世界の、地名や人名にはフリガナをふって欲しかったな~。王裂(おおさか)、同豚堀(どうとんぼり)、笑畜座(しょうちくざ)、 辛災橋(しんさいばし)とか、関西でもポピュラーな地名は大体予想がつくんだけど、結構わからない読めないものもいっぱいあって、その都度立ち止まってしまったりしたので。
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