チョコレートゲーム 新装版 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773171

作品紹介・あらすじ

名門秋川学園大付属中学3年A組の生徒が次々殺された。犯人とされたのは作家・近内の息子の省吾。なぜ事件は起きたのか?なぜ息子は何も言わなかったのか。そこに「チョコレートゲーム」という謎のゲームが浮かび上がる。中学生の生態と親の苦悩も見事に描かれた名作サスペンス。日本推理作家協会賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 「チョコレートゲーム」とは何なのか? 中学生たちの秘密の遊びと、殺人事件に打ち震えるミステリー。

    中学校で発生した殺人事件。巻き込まれてしまった息子を守るため、家庭をかえりみない作家が解決のため奔走する物語。

    85年の作品ですか、非行に走って家庭内暴力とかが問題になり始めた頃ですかね。家族の気持ちが離れている様子が、ありありと伝わってきます。
    昔の作品とは思えないほどの物語の展開が切れ味よく、現在でも楽しく読み進められる良作だと思いました。

    本作はなんといっても「チョコレートゲーム」の謎が面白いですね。なるほどなるほど、確かに自分も中学生の頃に同じようなことをしていたのを思い出しました。さすがにここまで大炎上なことにはなりませんでしたが。ただ大人が思う以上に、子供たちは大人ですからね…

    作者から「自分の子供に向き合えていますか」と問われている気がして、身震いがしてきます。ミステリー好きにおすすめの一冊です。

  • 名門中学で起こった連続殺人事件を描いたミステリー。

    発刊は1985年とかなり昔の作品。固定電話がでてきたり、アリバイトリックだったりはさすがに時代を感じるところも多く、犯人の検討もつけやすかったりもしたのですが、ストーリーのテンポの良さや文章のスマートさは現代にも通じるものがあった気がします。

    あとは謎の提示の見せ方がさすが。生徒の父親視点で話は進みますが、息子の非行や身体のあざといった謎から始まり、息子への不信、連続して起こる殺人事件、「チョコレートゲーム」といった謎の言葉。テンポの良さと相まって、謎が次々と移り変わっていき話に引き込む。

    時代こそ古いものの、子供をめぐる環境は現代に通じるものもありそう。親から見えない子供の謎めいた友人関係、軽いゲームのつもりが思わぬ犯罪の深みにはまっていく子供たち。ネット、ケータイ、スマホ、SNSと子供をめぐる人間関係、そして犯罪はどんどん閉鎖的になり外から見えにくくなっていく。

    時代を超えるミステリーは、何か普遍的なものがあるのだと、感じた一冊でもありました。

    第39回日本推理作家協会賞

  • 続きが気になってあっという間に読んでしまった。
    ミステリーとして完成されてると思う。

  • 1986年日本推理作家協会賞受賞作品。
    岡嶋二人を読むのは初めて。

    誕生月に生まれた頃に生まれた作品を読もうと思い、
    本棚に積まれていた本書を手に取る。
    誕生日の甘いケーキの代わりに、ビターなチョコレートゲームを味わった。

    家庭に関心の薄い作家と、学校に行かずに怪しい行動の増えた息子。
    事件を契機に息子と向き合い始める父親と、
    「チョコレートゲーム」というキーワードを軸に展開されるテンポの良いストーリーは、
    どこで読み止め、また再開してもすぐに物語のなかに戻ることができる。

    スマートフォンもSNSもない時代。
    登場するガジェットには懐かしさを感じ、トリック成立は難しいかもしれない。
    しかし、本書がそれにより色褪せた印象は受けない。

    「親子愛」や「学校で共有される秘密」といった時代が変わっても不変のテーマ。
    執念深い聞き込みによる真実の探索等、文筆業の父親が展開するハードボイルド。
    むしろ30年以上昔の小説だからこそ、
    様々な脚色や特色が演出された現在の小説よりも、王道を味わうことのできる作品。

    古き良き王道のハードボイルドを求める方は是非。

  • 中学生が次々と殺され、自分の息子が犯人とされた父親が事件に挑む話。タイトルのチョコレートゲームが鍵なんやけど、これが何なのか全然分からんからこそ分かった時の衝撃!父親の執念とも呼べる行動力がすごい。

  • もう40年近く前に書かれたものなので、出てくるものがかなーり古いです
    私は良く知ってるものばかりなので大丈夫ですが、若い方には、ん??って思うところも多いかもですねー

    読んでいて不自然な箇所が後々謎解きの時に出てきたりするのですが、かなり単純なことなのに警察は何やってんだろ…と思うこともしばしば^^;
    まぁそれでも私好みのページ数で、最後まで楽しく読むことが出来ました

    昔の表紙のものを読みましたが、表紙にネタバレの絵とか描いてあって不思議な作品だなと思いましたです(^o^;

  • 初めの方展開が遅くてあんまりのらない。
    後半は理詰めの理詰めって感じで、でも物理トリックではなくて論理的に穴を埋めていく感じだからそれは読みやすかった。

  • 1日で読み切ってしまった!
    自分の息子が殺人犯じゃないのかと、動き回る父の話。学校や、友達の家にもがんがん押しかけていく父がとても頼もしかった。
    中学3年生同士の隠語チョコレートゲームも、リアリティあったな。。

  • うーん。めちゃめちゃ読みやすくて、あっという間に読み終わったけど、ちょっとイマイチだったかなぁ。
    30年以上前の作品だから、出てくるアイテム(ラジカセ!など)が古臭いのは仕方ないにしても、トリックがちょっと…。
    父親が気がつくようなことに、なんで警察は簡単に騙されてしまったのか。ちょっと違和感。

  • 久しぶりの岡嶋二人さん。
    やはり面白かった。

    「チョコレートゲーム」とは何なのか?
    「ジャック」とはいったい誰のことなんだ?

    短いながらも、綺麗にまとめられていてスッキリしたラストでした。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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