- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062773447
作品紹介・あらすじ
愛する者と結ばれ、母となったエリン。ある村で起きた闘蛇の大量死の原因究明を命じられ、行き当たったのは、かつて母を死に追いやった禁忌の真相だった――
上橋菜穂子さんの異世界ファンタジー「獣の奏者」第3巻がついに文庫化!ブクログでの評価も高い大人気シリーズの続編です。
感想・レビュー・書評
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とっても面白い❗本書を読むまで、何故続編が描かれたのか?と思っていましたが、読んで納得しました♫
Ⅰ、Ⅱで描かれた謎の究明の為に、キャラクターを11年歳を取らせることで、キャラクターにより深みを持たせて、読者をより異世界へと惹き込ませます❗ファンタジーが好きな方は勿論、ファンタジーが苦手な方にも是非読んでもらいたいオススメの作品です♫
束の間のひとときでしたが、第四章の『父と息子』で、イアルとジェシが生活している様子を読んで、少し温かい気持ちになりました❗辛い結末が待ち構えているようですが、続けて『完結編』に挑みます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2巻のあと、10年後の物語。
突然エリンが子持ちになってて、最初はちょっと頭が追いつかなかった。
エリンが再び渦中の人になってしまい、今度ばかりは政治から逃げられない状況に。
エリン一家もそうだけど、真王たちもこれからどんなことを考えて選択していくのか…
ひたすらに駆け上がっていくような物語展開で、ずっと緊張感がある。
早く彼らに安らぎを与えて欲しい…! -
4.3
面白かった、が、1.2.巻よりは少し物足りなかった。
2巻目の終わりから、いきなり年月が経過したところからスタート、予想してなかったので、入り込むのに少し時間が掛かりました。
それでも、9年間平穏だったとの事で、そこを書かれてもあまりインパクトは無かっただろうなと思います。
最終巻を楽しみに読みます。 -
3巻目だが、全く中弛みなし。
王獣と闘蛇にはまだまだ謎がたくさんあるが、最終巻で明かされるのだろうか…?
これからエリンとイアル、ジェシの進む道を考えるととても辛い道になることは想像できる。
難しいとは思うが、自分たちの幸せも考えてほしい。
エリンの活躍とハッピーエンドに願いを込めて…最終巻へ。 -
あれから11年の月日が流れ、エリンはイアルの子 ジェシを授かっていた…
母の死を連想させる「牙」の突然死の原因を探るため、黒鎧のヨハルと共に最初の闘蛇村であるウハン村を訪れたエリン。
しかしそこで明らかにされたのは「牙」の死因だけでなく、闘蛇衆の技術がラーザに漏れた可能性だった。
敵国が闘蛇部隊を保有する場合、こちらは王獣部隊で対抗するしかない。そう思い詰めるセィミヤはエリンに王獣部隊の結成を命じるが、王獣を兵器として操ることに抵抗を感じるエリンは神々の山脈へ「かつての惨劇」の真相を辿る旅に出る決意をする。
終盤はジェシ目線からイアルとエリンの絆や決意が描かれ、いよいよ次巻最終巻へ…。 -
シリーズ3作目。
2作目から11年の時が経ったところからスタート。
エリンたちはカザルムで家庭を持ち平穏な生活を手に入れたはずだったけれど、それが脅かされ、抗いながらもやがて新たな決断をするところまで。
エリンがソヨンの指笛をこっそり練習して吹けるようになっていたとはびっくり。闘蛇の繁殖の秘密を探っていく場面は興味深かった。王獣がリランの子でも発情しない不思議があとは気になる。
エリンの子、ジェシがこの後大きくなって何かやってくれそうな予感。 -
記録用。
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ヨハルの口元に、かすかな苦笑が生まれた。
「言わずとも良い。あなたが何を考えているのか、何を憂いているかは、聞かずともわかる。闘蛇軍が膨れあがっていけば、やがては、その神々の山脈の向こう側で起こったような災いが訪れるのではないかと思っているのだろう。
だが、エリン、考えてみて欲しい。時は状況を変えるのだ。数百年もまえの国の事情と、いまとでは、状況はまったく違う。『天然の理を越えたる大きな群れを、災い起こさず治め得る知恵など、いまだ人は持たず』と言ったという。この男の祖父の言葉は、その時点では、正しかっただろう。だが、いまは違う」
エリンはヨハルを見つめた。
「いまならば、災いを起こさず治め得ると?」
ヨハルは吐息をつき、かすかに首をふった。
「考え方が逆だと言っておるのだ。できないかもしれぬから、やめておけ、というのは後退の思考だ。そうではないか?時は動き、状況は刻一刻と変化する。それに合わせて、もっとよい方策をとるよう考えを尽すべきだと言っているのだ」(316p)
「指輪物語」は、究極の力であり、究極の兵器でもある「力の指輪」を「捨て去る」ことを、登場人物たちは迷いはするが、基本否定はしなかった。そして、「捨て去る」ためだけにあの壮大な物語を紡いだのである。しかし、「獣の奏者」には、ホビットもエルフも、ドワーフも登場しない。人間と自然と自然の最頂部にいる王獣との話になっているのである。そして、王獣はここでは「自然」の性質と同時に人間の「作り出した」最終兵器も意味しているのだろう。それは、まるで「原発」なのではないだろうか。
もちろん、この物語が完結したのは、福島原発事故の2年前だ。王獣と原発は多くは繋がらない。しかし、エリンが王獣「再稼働」を嫌いながら、それを動かさざるを得なくなって行く過程が、現代日本と被さって仕方ない。ある老政治家は都知事だったころにこうも言っていた。
「大きな反省点はあるが、その事故をもって人間が開発した現代的な新しい技術体系を放り出すのは愚かだ」(12.10.24)
ヨハルの考え方に良く似ている。ヨハルは政治献金など受けては無いけど(^_^;)。
しかし、作者の側にヨハル的な考え方(時代に合わせなければいまの生活は成り立たないのだから、リスクがあっても突き進むのは、仕方ない)に批判的な視点が(今のところ)ないのが気になる。エリンが選んだ道は、家族を犠牲に出来ないから、「探求」途中に道が開けるかもしれないという微かな「希望(無謀?)」を信じて、王獣を「再稼働」させるというものだったのである。残念ながら、この主人公に共感は出来ない。作者が主人公の意図を越えて「壮大な世界観」を持っているのを信じるしか無い。
最終巻では、どの様に決着がつくのか。「指輪物語」のイギリスではなく、「獣の奏者」の日本の我々は、この「力」とどの様に相対していけばいいのか、次の巻が気になる。
2012年10月25日読了 -
上橋先生も書いておられるが「獣の奏者」は第二巻の「王獣編」で完璧に閉じた物語である。
物語が書き継がれたことで、王獣の謎やエリンの人生について想像を膨らませる余地はなくなってしまった。
しかし、この「探求編」も間違いなく面白い。
物語の最終盤に出てくる「生まれて、死ぬまでのあいだに、この10年があって、よかった」という言葉が切ない。再読なのに完結編を読むのを躊躇ってしまう。 -
闘蛇〈牙〉の大量死の原因を探るため闘蛇村を訪ねるエリン。その道中、王都から離れた村をめぐり、隣国との差し迫った状況を知ることになる。
大公シュナンを救うためにリランを飛ばした姿を見られているエリンは闘蛇を操る者にとって最も恐るべき存在になってしまっていた。エリンは大公からは国を守るために王獣を増やして軍を作るよう命じられてしまう。
一貫して王獣を戦につかいたくないと考えるエリンは自分ひとりなら私さえ消えてしまえば・・・となっていたはず。夫と息子を思って別の解決策を探そうとする3作目。