獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 313
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773454

感想・レビュー・書評

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  • 堂々の完結編!であります。

    いや~、こんな結末になったのだなぁ。
    ハッピーエンドとすべきなのか否か。

    あと、3・4巻読んで印象に残ったのは、架空世界の話にもかかわらず生活風景の描写が非常に細かく、とてもリアルに表現されているというあたりです。
    架空料理(しかもウマそう)とか架空衣服とか架空商店街とか、はたまたイアルさんの架空「男やもめ」生活(?)とか。

    私の読了後、引き続き娘(小5)がガシガシと読み進めております。

  • 本作がどれだけ面白いかは、他のレビュアーの方々が言葉を尽くして書いておられるので、書かない。

    ただ読了後、文庫に掛かっていたオビを見て、胸を衝かれたことだけを書いておきたい。

    オビにはこう書いてあった。

    『懸命に生きた人。
    小さな、けれどいとおしい
    一瞬の輝き。』

  • 生命の営みの仕組みを、なぜそのようにあるのかを知りたい。理解したい。分かり合いたい。

    そういう純粋な気持ちから見いだした王獣と対話する技術が、国の存続を左右するものになり、望みもしない国同士の争いに家族もろとも巻き込まれてしまったエリン。幸せになれるはずだったのに、またその頭の良さからいろんな新しい発見ができた可能性もあったのに、くだらない争いのためにそれらの可能性がすべてつぶされてしまったことが、本当に悲しい。

    そして、獣とは分かり合えたのに、対話だけでは分かり合えない人間の頑迷さ。王獣と闘蛇の大軍をぶつけ合うことの危うさを過去に一度経験していながら、それから目を背けるように、ただ欲を手っ取り早く満たすために再びその武器を手に取ってしまった愚かさ。その武器が秘める、大いなる力を御しきれるものと思い込んでしまった傲慢さ。

    ファンタジー世界を舞台にした物語ですが、そうした現実世界と変わらぬ人の汚い有様と、それが引き起こす悲劇を見せつけられました。読後は、エピックな世界観と文章から想像させられる風景•景観、幸せそうなエリン一家の姿、そしてなによりストーリーに満足しつつも、同時にまざまざと描かれた人という獣の醜さを心に焼き付けられたような感覚がありました。

    2作目の王獣編も重厚感漂うお話でしたが、本作はそれを遥かに超える重みがあるように思います。良い作品ですが、すっきりしないという訳ではないけれど、何か心に引っかかって離れない、奇妙な感覚が残りました。

  • またひとつ、忘れがたい・大切にしたい物語に出会えたことを幸せに思う。

    人という生き物の弱さと強さを、愚かさと尊さを教えられた。
    あくまでファンタジーの世界の物語ではあるけれど、今を生きる私たちが忘れがちで、忘れてはいけないことを思い出させてくれる物語。
    物事の本質を見極め、そこから逃げずに己の責務をすべて請け負って、長い道のりをひたすら前へと進み続けたエリンを尊敬する。
    苦しいときには思い出して、自分を顧みたい。

  • もう夢中で読んだ。読み応え充分だった!内容も深くて、今回は人と動物との関係にとどまらず、人はどうして争うのか、それはどうやっても避けれないことなのか?ならば人はどうすればいいのかということをいろいろ教えてもらった。
    もっともっとエリンと時を共にしたかったのに、これで完結してしまったのはとても淋しいけれど、前向きで、人はもっと学習して良くなっていくのだという希望に満ちた終り方でよかった。

  • 久しぶりに文字にしたいと思いました。


    この中に生きる人達が、本当にステキでした。上橋さんの作品は、女性が強く儚い。そして男性が凛としている(男性に使う言葉ではないかもしれませんが)



    結局、最後の最後まで、彼女たちは自分の力ではどうにもできない世界を見つめ、苦しみます。ただ、その中の小さな幸せ。誰もが描く「普通の幸せ」を、本当に、本当に少しの間、過ごすことができてよかったと思いました。
    きっとその間、怯えたこともあったはずです。お互いの気持ちをすべて伝えきれず別れたこともあります。後悔の連続です。でも、後悔できることが幸せなんだと…新しい道を開くきっかけなんだと、教えていただきました。

    ファンタジー最高。新しい作品をお待ちしております。

  • ファンタジー好きなので、一気読みしました。人間の愚かな性や、命の尊さ、知識を後世に伝え広げることの素晴らしさや、真実を追い求めることの過酷さなど、考えさせられる内容がてんこ盛りです。がしかしファンタジーが苦手な人にはオススメしません…。

    誤ちを犯さぬように全てを閉ざすのでは無く、誤ちが何故起こったのかその原因を説明し起こらぬようにはどうすればよいかということを考えさせる、エリンの子育てには非常に共感させられました。子供いないけど。
    『泳げない子供に対して、水に近づくことを禁止するのか、泳ぎ方を教えるのか』どちらを選択するかとしたら、泳ぎ方を教えるでしょう。いくら水に近づくことを禁止したとしても禁止されている理由がわからなければ、水に入ったらどうなるのかということがわからなければ、いつかは水に近づくことになるでしょうから…。要はこの話ってそういうことかな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「守り人」シリーズを読んでる最中なので、終わったら「獣の奏者」を読もうと思っています。
      こちらの方が完成度が高いとか、、、
      「守り人」シリーズを読んでる最中なので、終わったら「獣の奏者」を読もうと思っています。
      こちらの方が完成度が高いとか、、、
      2012/08/28
    • hillocoさん
      ファンタジーがお好きであれば是非お薦めいたします。4冊一気読み出来るのが羨ましいです。私は守人シリーズが中途半端に読み途中になってしまってい...
      ファンタジーがお好きであれば是非お薦めいたします。4冊一気読み出来るのが羨ましいです。私は守人シリーズが中途半端に読み途中になってしまっているので改めて読みたいと思っていますが、以前読んだところまでの内容を思い出せるかどうか・・・・というのが悩ましく、手を出せずにいます・・・・。
      2012/08/29
  • 王獣と闘蛇が戦うと大いなる災いが起こる。何が起こるのか?これまで秘匿されてきた事実を身を賭して明らかに使用するエリン。

    危険な事実を秘匿することで、危険を回避しようとしてきた霧の民や祖先、
    危険な事実を共有することで、危険を回避するべきではないかというエリン、
    事実を隠しても結局は事実に突き当たる人がでてきて、危険を招いてしまう。それなら、皆で事実を共有し伝え、皆で危険を回避する方法を探るほうが良いという作者の明確なメッセージがある。

  • 人を信じることができず、歴史を語り継がなかった《残った人々》の過ち。
    できるならばやってみたい、という人間が持つ純粋な好奇心、探究心が持つ危うさ。
    危うさを知っていても、それが目の前に突きつけられるまで立ち止まり、引き返せない愚かしさ、苦しさ。
    物語としての完成度はⅠ、Ⅱには及ばないが、その分複雑で、考えさせられる作品。

  • 拒み続けてきた真王〈ヨジエ〉の命に従い、王獣の部隊を築くエリン。多くの謎を一つひとつ自らの手で解き明かし、それが災いをもたらすかも知れぬと思いながらも、『知らねば、道は探せない』と進む彼女はまた、時間の流れの中で、人という生き物が今まで生きてきた道程の真理にも思い至る。
    前2巻が“人と獣の交流”にその幹が有ったとすれば、今回の2巻は“人の性に対する諦観と希望”が底に流れていて、「王獣編」の後半、どうすることも出来ない人の性に対する虚しさが押し寄せたのを思い出すが、それに対するひとつの答がここにある。
    粛々と戦の準備は重ねられ、終章語られる狂乱は、“人というどうしようもない獣”の辿ってきた歴史、多くは失敗と悔恨の歴史を苦く振り返りながら、「わからない言葉を、わかろうとする、その気持ちが、きっと、道をひらくから」という前向きな言葉で閉じられる。ヒタヒタと沁みる静かな感動。

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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