獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773454

感想・レビュー・書評

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  • リョザ神王国を長らく守ってきた闘蛇を育てる秘密が他国にわたってしまう。エリンは、その闘蛇の軍と戦うために、王獣の軍を作ることになってしまう。
    かつて、破滅をもたらしたという闘蛇と王獣の衝突。

    その不穏さが、にじみ出てくるばかりで、実際は見えないままに、最後の決戦を迎えてしまいました。何が起こるんだと固唾をのんで読み進めるしかありませんでした。最後は、やっぱりそうなるんだなぁと、なんとなく、悔しいような、そんな気持ちになりました。
    長く、一緒に旅をしてきたような、そんな読後感に襲われました。

  • 思いを、知識を、希望を、つなぐ。

    とうとうここまで来てしまったか、という思い。ハッピーエンドかもしれないけど、現実にエンドはないというのを、突き付けたようにも思う。一筋の糸を繋いでいくしかない。そのためには、伝えること。かつてあった悲劇や罪を、目をそむけずに伝えることが、未来の平和へつながる。

    物語の登場人物の誰もが、自分の立場で真摯に生きようとしているから、安易な解決が訪れない。この物語が、ファンタジーでありながら、児童文学の枠を超えて、大人をとらえるのは、そういうところにあるのだと思う。同時に、それが児童文学の姿だとも思う。読む人を揺さぶり、考えさせ、いつか現実社会での行動のヒントにするための体験をできる読書。

  • 読み終わってからかなり時間が経ってしまったけれども、メモを書く。

    長い謎めいた物語の結末として、十分読み応えのあるラストだった。
    でも予期していたとはいえ、あまりにも辛いラストだった。
    自分の中に落とし込んで、納得するまで、最後の部分を何度も何度も読み返した。

    上橋先生はあとがきで、エリンが生き残る道を必死で探したけれども見つからなかったと書いていた。
    私は逆に、エリンとリラン、どちらかしか選べないとしたら(二人とも生き残るというのは物語としてありえない)リランに生き残ってほしいと切に願っていた。情けないけど、さすがに二人とも死ぬのは嫌だな、どうにかならないかなと思っていた。
    でも他に道はないラストだった。

    一応児童書なので、繊細な子や動物が大好きな子が読むと非常に悲しくなってしまうのではないかと思う。私はいい歳した大人だけど相当悲しくなってしまったよ。でもこの物語を受け取ることで、動物を戦争の犠牲にするのは嫌だとか、動物を戦争の道具にしたくないという気持ちを強く自覚させることができたら、結果的に本当に価値があることなのかもしれない。(もちろん、そういうことを目的としてこの物語が書かれたわけではないけれど。)

    読みごたえとしては十分なのだけど、個人的に辛かったので星三つ。

    私の中での上橋菜穂子先生ナンバーワンは、依然として「精霊の守り人」シリーズです。
    (『鹿の王』は未読。「今だ!」という瞬間が来たら手に取りたいと思っている。)

  • 判っていたこと 物語は進むにつれて時代も進んでいく。出てくる人物も歳を重ね、また新たなる人物も産まれてくる。この物語は何度でも読み返せると思う

  • 上橋菜穂子による壮大なファンタジー長編第4弾にして完結編。
    リョザとラーザの全面的な戦いが迫る中、エリンは王獣の訓練に明け暮れる。闘蛇と王獣が入り乱れる戦いがどんな結末を迎えるのか、伝説と掟の真相がいよいよ明かされる。
    前作では完結した物語を再び立ち上げたことによるややとってつけた感がないわけではなかったが、本作の結末まで読み進めれば全てが収まるべきところに収まっていく感覚を味わえる。後半の2作ではエリンの息子・ジェシがいることで、一つの大きな歴史の流れを物語から感じることができる。現実の世の中もうまくいかないことやままならないことが多いが、それも含めて大きな流れの中で生かされているのだと、本作が語りかけてくれているようだ。
    自らが心を通わせた生き物を戦いの道具として使うことの葛藤、生きるとはどういうことか、といった心の内面を丁寧に描き、生への讃歌を歌い上げているように感じた。

  • 王獣編までのほうが人気があるけれど、わたしはこの完結編までの物語が好きだ。

    きれいごとではなく、功績も罪も全部まるっと書かれているのが良い。誰もが、自分だけは安全なところで事を見ているのではないのも良かった。

    戦争と同じで、事実を語り継がれなくなると、また同じ過ちを犯してしまう。だからこんなことがおこったわけで。秘めることも大切だが、正しい事を正しく伝えていくことで悲劇は2度と起こらないんだと思う。でも、それが難しいんだよね。

    2016.6.5

  • 最後は一気に、引き込まれて読んだ。
    やっぱりみんなが幸せにという終わりにはなれないよね。

  • 終わった…。人間と獣、そして人間のそれぞれの立場からの見方が、私はどれも共感できて、色々なことは難しい、でも知識を持つこと、その中での自分の考えを持つ事の大切さを教えてもらった気がした。本当に4冊のめり込んで読みました!また時間をおいて、読みたいなー。2016/6/2完読

  • エリンの飽くなき探究心の功罪が描かれている。
    エリンによって詳らかにされた知識を、知識の根底にある生き物への愛とともに後世へ伝えることの途方もなさに思いを馳せた。

  • 王獣を戦に使うことを決意してからのエリンと家族の物語。

    あとがきにも書いてあったけれど、王獣編までで本当に完璧な物語だと思う。でも、エリンたちのその後が読めるのがうれしいのも事実。なので、読んでいて王獣編までの登場人物たちがまた動いているのを読むのはとても楽しい一方で、この続きの物語はどこへいくのかなという気持ちもあった。結末は悲しいけれど、読んでいてたしかにそれしか終わる道はないなと思っていたから、読み進めるにつれてだんだん悲しくなっていった。
    でも、王獣編を読んでいて、建国神話や伝説の話ですこし疑問に思ったところが明らかにされて解消されていてよかった。登場人物の後日談含め、探求編・完結編を読めてよかったし、とても切なく心ゆさぶる物語だけれど、物語としては、闘蛇編・王獣編の方がすき。

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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