獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

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  • 講談社
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本棚登録 : 3104
レビュー : 313
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773454

感想・レビュー・書評

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  • 闘蛇編から一気に読みきった。
    まだ夢見てるみたいで、物語の片鱗が頭の中をぐるぐるしてる。心が重い。哭いてる。
    すやすや寝息たててる娘の顔をみてしまう。

    語り継がれることはいつか薄れ、そしてまた同じ過ちを犯す。

    本当にエリンが生きてた時代があったような錯覚におちいる。すごいオーラ。

  • “降臨の野”での奇跡から11年。
    エリンは<堅き楯>であったイアルと結婚し、ジェシという息子を授かっていた。
    ある日大公に呼ばれたエリンは、闘蛇村で起きた<牙>の大量死の原因を探るよう命じられる。
    その真相を探るうちに、次々と出てくる新たな謎。
    母ソヨンが秘していたこと、遠き民の血筋、王祖ジェと闘蛇・王獣のつながり。
    そして真王ヨジェの命を受け、ついにエリンが腹を括る・・・。

    あ~あ、読んじゃった。うっかり開いたら、予想通りの吸引力で一気読み
    ・・・これは、本当に「完結編」でしたね。
    見事に終わってしまいました。

    Ⅰ・Ⅱと比べ、非常に重たい雰囲気を感じました。
    それはエリンが大人になり母になり、しがらみや守るべきものができたからなのか。
    Ⅲ・Ⅳは国家的政治的な思惑が強すぎて、エリンの「王獣を野に放ちたい」という思いとは真逆なことを強いられている姿が痛々しかったです。

    そのぶん親子や周囲の人々とふれあうシーンはほっとさせられました。
    あのエリンが母になって、息子のことでハラハラさせられているなんて。
    そしてイアルの予想外のよき父親っぷり。
    なんとも微笑ましい。
    とはいえ、それは傍から見ての姿で、ジェシにとっては・・・。ってところがまたキツいんですが。
    そしていつか訪れるであろう破綻を想定しながらの暮らしは、やはり痛々しいものがありました。

    なんだかすごく大人向けな印象。
    エリンはもちろん、セィミヤにしても重大な決断を迫られ、そして起きたことの責任をとらされる。
    いくらでも深読みできてしまいそうです。

    それにしてもなんなんでしょうね、この虚無感。
    ラストもエピローグも申し分ないのですが、ものすごい虚しさを感じているのですが。
    結局、エリンのしたことってなんだったんだろう。

    • graziemilleさん
      読み終わりました〜。
      止めらんない、一気読みだったよ。
      面白かったし、壮大な物語を味わえて感謝したわ〜。
      でも、
      この世界のパワーバランスを...
      読み終わりました〜。
      止めらんない、一気読みだったよ。
      面白かったし、壮大な物語を味わえて感謝したわ〜。
      でも、
      この世界のパワーバランスを変えてしまうかもしれない力を一人に委ねる事の恐ろしさと、
      人の欲望や願いの違いは、
      愛情や知識を殺戮の道具にもかえられる、
      って事を考えてしまったよ。
      2012/10/11
    • ともさん
      >graziemilleさん
      お疲れ~。やっぱ「ぼちぼち」とはいかなかったみたいですな。
      感想を読んで、そうだなぁって思いました。
      確...
      >graziemilleさん
      お疲れ~。やっぱ「ぼちぼち」とはいかなかったみたいですな。
      感想を読んで、そうだなぁって思いました。
      確かに恐ろしいことだわ。
      そんでもって「めでたしめでたし」ってのがファンタジー、ってのも。
      世の中には決してそんなことはありえない、ってのを知ることが大人になるってことなんでしょうかね。
      2012/10/11
  • 個人的には本当にジェシ!!!!ジェシがすきです!
    人はやっぱり親になることで、命をつないでいくことで、人も獣もまた新しいステップに立つんだなって感じました。
    この4冊。食い進めるように2日くらいで読み切ったのですが、読み切って満足のため息をつきました。
    知った上でどうしたらいいのかを決めていくこと、真王たちの成長もとてもほろ苦くも前向きに読むことができました。

  • 大人になったエリンが闘蛇と王獣にまつわる謎をついに解決する完結編。
    過去の惨劇を繰り返さぬため、これまで葬り去られてきた真実がついに明らかになる。
    激流だったエリンの生涯は最後の最後にようやく穏やかになったのだろうか。

  • 自らの仮説を検証し
    結果を後世の人々に知らしめるため、
    恐ろしい結末を迎えることに気づきながらも
    実践しようとするエリンに対して、
    「学者」としての異様なまでの気概を感じた。

    ただ、王獣と人間とが結果として共存しなくなる、
    という結末になるのはどことなく納得がいかない。

    闘蛇が戦争に利用される限り、
    天敵の王獣を災いを避ける別の方法で
    利用してやろうと目論む輩が現れるに違いないので、
    解き放つだけでは根本的な解決にはならない気がする。

    とはいっても戦は人から切り離せない、
    というエリンの持論と同様に、
    似たような過ちを人は繰り返し続けると割り切ってしまえば、
    エリンのできる範囲のことはやりきれたのではないかと思う。

  • 獣の奏者はⅠⅡで一度完結している。
    その後のエリンの物語である。
    ファンとしては、続きが読めることは単純に嬉しい。

    ⅠⅡではエリンがジョウンとの出会いで成長してゆく様子や、カザルム学舎で王獣と心を通わせていく過程など、悲劇がありながらもキラキラとした部分が多く、苦しみと輝きが同程度描かれていたように思う。

    が、ⅢⅣでは最初から重苦しいまま続く。
    人と獣との間で苦悩するエリン。
    宿命とも呼べる背負ったものの大きさと闘いつづけるエリン。
    ただ、エリンには家族ができた。
    それだけでも救われる思いがする。
    心がシンと静まりかえる読後感。

  • 久しぶりに文字にしたいと思いました。


    この中に生きる人達が、本当にステキでした。上橋さんの作品は、女性が強く儚い。そして男性が凛としている(男性に使う言葉ではないかもしれませんが)



    結局、最後の最後まで、彼女たちは自分の力ではどうにもできない世界を見つめ、苦しみます。ただ、その中の小さな幸せ。誰もが描く「普通の幸せ」を、本当に、本当に少しの間、過ごすことができてよかったと思いました。
    きっとその間、怯えたこともあったはずです。お互いの気持ちをすべて伝えきれず別れたこともあります。後悔の連続です。でも、後悔できることが幸せなんだと…新しい道を開くきっかけなんだと、教えていただきました。

    ファンタジー最高。新しい作品をお待ちしております。

  • ファンタジー好きなので、一気読みしました。人間の愚かな性や、命の尊さ、知識を後世に伝え広げることの素晴らしさや、真実を追い求めることの過酷さなど、考えさせられる内容がてんこ盛りです。がしかしファンタジーが苦手な人にはオススメしません…。

    誤ちを犯さぬように全てを閉ざすのでは無く、誤ちが何故起こったのかその原因を説明し起こらぬようにはどうすればよいかということを考えさせる、エリンの子育てには非常に共感させられました。子供いないけど。
    『泳げない子供に対して、水に近づくことを禁止するのか、泳ぎ方を教えるのか』どちらを選択するかとしたら、泳ぎ方を教えるでしょう。いくら水に近づくことを禁止したとしても禁止されている理由がわからなければ、水に入ったらどうなるのかということがわからなければ、いつかは水に近づくことになるでしょうから…。要はこの話ってそういうことかな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「守り人」シリーズを読んでる最中なので、終わったら「獣の奏者」を読もうと思っています。
      こちらの方が完成度が高いとか、、、
      「守り人」シリーズを読んでる最中なので、終わったら「獣の奏者」を読もうと思っています。
      こちらの方が完成度が高いとか、、、
      2012/08/28
    • hillocoさん
      ファンタジーがお好きであれば是非お薦めいたします。4冊一気読み出来るのが羨ましいです。私は守人シリーズが中途半端に読み途中になってしまってい...
      ファンタジーがお好きであれば是非お薦めいたします。4冊一気読み出来るのが羨ましいです。私は守人シリーズが中途半端に読み途中になってしまっているので改めて読みたいと思っていますが、以前読んだところまでの内容を思い出せるかどうか・・・・というのが悩ましく、手を出せずにいます・・・・。
      2012/08/29
  • 王獣と闘蛇が戦うと大いなる災いが起こる。何が起こるのか?これまで秘匿されてきた事実を身を賭して明らかに使用するエリン。

    危険な事実を秘匿することで、危険を回避しようとしてきた霧の民や祖先、
    危険な事実を共有することで、危険を回避するべきではないかというエリン、
    事実を隠しても結局は事実に突き当たる人がでてきて、危険を招いてしまう。それなら、皆で事実を共有し伝え、皆で危険を回避する方法を探るほうが良いという作者の明確なメッセージがある。

  • 人を信じることができず、歴史を語り継がなかった《残った人々》の過ち。
    できるならばやってみたい、という人間が持つ純粋な好奇心、探究心が持つ危うさ。
    危うさを知っていても、それが目の前に突きつけられるまで立ち止まり、引き返せない愚かしさ、苦しさ。
    物語としての完成度はⅠ、Ⅱには及ばないが、その分複雑で、考えさせられる作品。

著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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