獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3054
レビュー : 313
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773454

作品紹介・あらすじ

闘蛇と王獣。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王(ヨジエ)の命に従って王獣を増やし、一大部隊を築き上げる。王獣が天に舞い、闘蛇が地をおおい、<災い>が、ついにその正体を明かすとき、物語は大いなる結末を迎える。

上橋菜穂子さんの異世界ファンタジー「獣の奏者」完結編がついに文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 闘蛇衆となった夫イアル。一方、エリンはロランの子供たちがなかなか成熟しないことに危機感を抱き、王獣捕りのオラムを訪ねる。

    人の手によりその形を歪められてしまった獣、闘蛇と王獣。そのことに心を痛めるエリンは、息子ジェシが自分のような獣ノ医師に憧れ、「王獣使い」になりたがっていることを知って・・・

    愛する者を守りたい、その気持ちが彼女を孤独な戦いに駆り立てる。秘められた多くの謎をみずからの手で解き明かす決心をしたエリンは、拒み続けてきた真王(ヨジエ)の命に従って王獣を増やし・・・

    ついにラーザ率いる闘蛇が攻め込んで来て、王獣軍を先導するエリンも最前線へ。

    神々の山脈からの客人により、「闘蛇が地を覆い王獣が天に舞う時、大災厄が起きた」とされる伝説の真相を知らされたジェシは母の身を案じて身重のアルに飛び乗り戦場へ赴くが、そこはすでに地獄と化していた・・・

    ラストは悲しい無惨なものでした。
    闘蛇も王獣も愚かで欲深い人間の犠牲になり、狂って惨禍はさらに大きくなる。
    その姿に原子力・核を重ねてしまうのは3.11以後にこの作品を読んでしまったからでしょう。

    出来ればもっと純粋に物語そのものを楽しめる子供のうちに読んでおきたかったなぁ。

  • ちょっと、呆然としてる。
    涙が止まらなくて、止まらなくて。
    エリンが生き延びて、幸せにくらしてく道を探ったけれど、
    この結末しか、
    「それから、母は四日生きた」
    このジェシの言葉にしかたどりつけなかったと上橋先生は書かれてたけれど、そうなんだろうなあっと思う。

    エリンは生きたかっただろうけど。
    もっともっといろんなことを知りたかっただろうけど。
    泣いているエリンをリランが何度も何度も舐めるシーンが胸にしみた。

    狂乱、と章題にあったから、怖ろしいことになるんだろうとは思いつつ、
    ずっと読んでいたのだが、いざその情景が目の前に広がると
    怖ろしいというより哀しくて、涙が止まらなかった。
    野にあるように生きていれば起こるはずもなかった悲劇。
    ぐるぐると廻りつづける闘蛇の群れ。
    その渦は、エリンが逃れようとも逃れられなかったもろもろのことにも思える。
    全てを明らかにして、その先に未来を、というエリンの願いは、
    少なからず叶ったといえるのだろう。
    王獣は野に還り、起こったことは全て後世へと残される。
    違う言葉をもつ生き物と心を交わしあいたい、
    そんな少女の純粋な気持ちが行き着いた場所があの哀しみなのだとしても、
    それでもリランとエリンの間に芽生えたものをなければよかったとは思えない。

    悲劇は何度でも繰り返すのだろう。
    それなら人など滅んでしまえばいい。そう思ってしまう。
    でも、それでも、とエリンは言う。
    そうじゃない道を探すのも人なのだと。
    考えて、考えて、死に物狂いにいきるのだと。
    心をつかれる言葉がいくつもいくつもこの作品にはある。
    私はここまで懸命に生きれるだろうか、と思う。
    後になんにも残せなくてもいい、ただすっぱりあっさり
    なにもかも終わって欲しい。不意にそういう想いが湧いてくるのは。
    きっと私がここまで懸命に生きてないからなんだろう。

    あの結末しかあり得なかったとしても、
    そのことに異論はないけれど、
    それでもイアルとエリンに2人で幸せに老いていって欲しかった、と心から思う。


    なんだか言葉にできないものがいっぱい湧いてくるような気持ちだ。
    本当にすばらしい物語を産んでくれて、感謝!!

  • 闘蛇編から一気に読みきった。
    まだ夢見てるみたいで、物語の片鱗が頭の中をぐるぐるしてる。心が重い。哭いてる。
    すやすや寝息たててる娘の顔をみてしまう。

    語り継がれることはいつか薄れ、そしてまた同じ過ちを犯す。

    本当にエリンが生きてた時代があったような錯覚におちいる。すごいオーラ。

  • どこで「残った人々」の話が出てくるのだろうと、はらはら、どきどきしながら読んだ。

    ジェシの親が結末でどちらかが亡くなることは想定できた。
    人を殺して、生き残って幸せでしたでは、話にならないだろうから。

    ジェシは、母親のエリンと同じように教壇についた。
    戦を避ける方法を見いだせないまま。

    処世術が参考になった。p303
    「意見が出つくし、議論が煮詰まったと思ったら、そこで<茶の一刻>を宣言なさい。その時機をしっかり見極めることが大切よ。時機を逃すと、すでに意見は出つくしているのに、まだ言いつのろうとする輩が、自分の主張をくり返して、場を倦ませてしまう。そうなるまえに、うまく断ち切りなさい。」

  • 4冊を通してのエリンの生き様が圧巻で涙。ある程度間を空けながら長期間にわたって読んだということもあって、長い間そばにいた感覚だったのもあると思う。
    ファンタジーなのに勧善懲悪ではない、美しい理想を追求しているわけでもない、逆に退廃的ディストピアでもない。人間の歴史を振り返って正面から向き合った結果を、ここで広い年齢幅で読めるよう描いていると思う。美しさも醜さも賢さも愚かさもその中間も。その上で、それでも人の生も動物の生も肯定している。
    殺し合いの戦場というところで渦巻くものは、敵味方やなにかきれいに切り分けたり整理したりできるものではなく、あのように怖ろしく混沌とした狂気の塊のようなものなのかもしれない。

  • “降臨の野”での奇跡から11年。
    エリンは<堅き楯>であったイアルと結婚し、ジェシという息子を授かっていた。
    ある日大公に呼ばれたエリンは、闘蛇村で起きた<牙>の大量死の原因を探るよう命じられる。
    その真相を探るうちに、次々と出てくる新たな謎。
    母ソヨンが秘していたこと、遠き民の血筋、王祖ジェと闘蛇・王獣のつながり。
    そして真王ヨジェの命を受け、ついにエリンが腹を括る・・・。

    あ~あ、読んじゃった。うっかり開いたら、予想通りの吸引力で一気読み
    ・・・これは、本当に「完結編」でしたね。
    見事に終わってしまいました。

    Ⅰ・Ⅱと比べ、非常に重たい雰囲気を感じました。
    それはエリンが大人になり母になり、しがらみや守るべきものができたからなのか。
    Ⅲ・Ⅳは国家的政治的な思惑が強すぎて、エリンの「王獣を野に放ちたい」という思いとは真逆なことを強いられている姿が痛々しかったです。

    そのぶん親子や周囲の人々とふれあうシーンはほっとさせられました。
    あのエリンが母になって、息子のことでハラハラさせられているなんて。
    そしてイアルの予想外のよき父親っぷり。
    なんとも微笑ましい。
    とはいえ、それは傍から見ての姿で、ジェシにとっては・・・。ってところがまたキツいんですが。
    そしていつか訪れるであろう破綻を想定しながらの暮らしは、やはり痛々しいものがありました。

    なんだかすごく大人向けな印象。
    エリンはもちろん、セィミヤにしても重大な決断を迫られ、そして起きたことの責任をとらされる。
    いくらでも深読みできてしまいそうです。

    それにしてもなんなんでしょうね、この虚無感。
    ラストもエピローグも申し分ないのですが、ものすごい虚しさを感じているのですが。
    結局、エリンのしたことってなんだったんだろう。

    • graziemilleさん
      読み終わりました〜。
      止めらんない、一気読みだったよ。
      面白かったし、壮大な物語を味わえて感謝したわ〜。
      でも、
      この世界のパワーバランスを...
      読み終わりました〜。
      止めらんない、一気読みだったよ。
      面白かったし、壮大な物語を味わえて感謝したわ〜。
      でも、
      この世界のパワーバランスを変えてしまうかもしれない力を一人に委ねる事の恐ろしさと、
      人の欲望や願いの違いは、
      愛情や知識を殺戮の道具にもかえられる、
      って事を考えてしまったよ。
      2012/10/11
    • ともさん
      >graziemilleさん
      お疲れ~。やっぱ「ぼちぼち」とはいかなかったみたいですな。
      感想を読んで、そうだなぁって思いました。
      確...
      >graziemilleさん
      お疲れ~。やっぱ「ぼちぼち」とはいかなかったみたいですな。
      感想を読んで、そうだなぁって思いました。
      確かに恐ろしいことだわ。
      そんでもって「めでたしめでたし」ってのがファンタジー、ってのも。
      世の中には決してそんなことはありえない、ってのを知ることが大人になるってことなんでしょうかね。
      2012/10/11
  • 2013.9/15 エリン家族にも王獣リランたちにも最後には幸せがあるんだよね?と自問しながら読み進むが...物事の真理を探究すること、社会のあり方、教育とは...「物語」としてくくれない学びを提起してくれる本であった。

  • 涙が出てしょうがなかった。
    人間を含めた生き物の仕組みに真摯に向き合った物語だと感じた。
    上橋さんの言葉は不思議。言葉に過ぎないはずなんだけれども、手触りや匂いがある。
    母を助けに飛び込んだ闘蛇の沼、そのときの皮膚の感触や、お弁当に出された猪の香ばしいにおい、渓谷の身を切るような寒さ、そういったものがリアルに想像できる。見たこともない情景を懐かしいと思ってしまう。
    本を閉じて、エリンという人の一生を思ったとき、苦しみの中に微かに光る希望が見えてくる。
    幼いエリンの母への思い、母からエリンに受け継がれたもの、ジョウンが与えてくれた日々、リランとの絆、イアルと出会い育まれたもの、そしてエリンからジェシに受け継がれたもの…命の根源にあるのは愛なんだと、そう思わせてくれる物語だと思う。

    • komoroさん
      9nanokaさんの涙・・・、いいですね。
      それだけで十分読みたくなりました。
      次の本、何を読もうか悩んでいましたが、このレビューの最初...
      9nanokaさんの涙・・・、いいですね。
      それだけで十分読みたくなりました。
      次の本、何を読もうか悩んでいましたが、このレビューの最初の一行で即決めました。「獣の奏者」
      読む前からわくわくです。
      涙がでてしょうがない。って流れ出る感じ?
      でも、やっぱり9nanokaさんの涙みたいです。笑
      物語りも奥が深そうですね。
      レビュー素敵ですよ。
      2015/05/31
  • わからないことをわかろうとする。
    これが全てじゃないかと思う。
    古くから伝わる言い伝えも言葉を交わすことができない生き物も、自分が目にして耳にした小さな欠片を広い集めて想像するしかない。
    理解したという結果より理解しようとした過程が大切で、そうやって人生を生き抜いたエリンと王獣や闘蛇の歴史のお話。
    感想が上手く書けないのが悔しいけれど、王獣や闘蛇などの架空の生き物が生きるこの本の世界に浸って欲しい。
    物語の純粋な面白さだけでなく、現実に通じる何かを感じる人も沢山いると思います。
    大好きなシリーズ完結編。

  • 探求編、完結編と一気に読了。
    闘蛇、王獣同様に興奮MAXなので感想は
    落ち着いてから改めて。

    ***************

    正直まだ、頭の中でうまく纏まらないんだけど
    一晩眠ったので、改めて感想を。

    長い、長い、お話しです。
    ジェシが幼少の頃から少年期に差し掛かって
    最後は立派な教導師になっているくらいに。

    作者さんが後書きで「それから四日、母は生きた」
    というジェシの言葉について書かれています。

    なるほど、この言葉を終着点として完結するなら
    物語はこう紡がれるしかないのかなー、と。

    ヒーローなんてどこにもいない。
    みんなが悲しいです。
    みんなが必死で自分の生きる道を模索して
    運命に抗いたいけど抗いきれなくて結局飲み込まれて。

    救いはどこにある?

    語り継がれなかった悲しい歴史は繰り返される。
    人はどこまでも愚かで無力。

    松明の火を隣の人、また隣の人へ繋いでいけば…
    というくだりを読んで
    随分前、大好きだったアーティストさんが
    「みんなで今、隣に居る人に大好きだよって言って
    どんどん手を繋いでいけば世界は平和になれるのにね」
    って言っていたのを思い出しました。

    でもそれこそファンタジーでしかありえないなー、なんて
    ひねた大人は思うわけです。

    「これはファンタジーだけど今この地球上で人間が抱えてる
    問題と通じるものがあるなー、なんていうのは考えすぎ?

    人は己の利益の為に尤もな理由をつけて
    仕方のないことだからと言い訳して
    破滅への道を自ら進む生き物なんだなー。

    それをよしとしない生き方はやっぱりファンタジーでしか
    ありえないのでしょーか?」

    上記「 」内は闘蛇編、王獣編で書いた感想。
    このお話し、ホントにぶれないなー。
    見事に筋が通ってる。

    だから、どこかわたし達の知らない別の世界で
    本当にエリン達が刻んだ歴史の足跡があるのでは?
    と思うとリアルに胸に響くのです。

    そして今回もカバー装画がとても素敵。
    この絵の世界感でアニメーション映画として見れたらなぁ。

  • 大好きなシリーズ。
    何気なく1巻だけ買って、すぐ続きを買いに走った。
    しばらくは寝ても覚めても獣のことばかり(は、言い過ぎかも?笑)
    動物出ると弱い…。切なすぎて再読には勇気がいる。
    素晴らしい傑作ファンタジーです。

  • シリーズ完結編。王獣と闘蛇の秘されていた生態と戦争の話。
    ある意味ハッピーエンドだし、ある意味バッドエンドでもある結末はリアリティーを感じる。
    シリーズを通して架空生物の生態が、幻想的でありながらも現実的でもあるのが好き。

  • 2017/12読了。2度読み。戦争、人の愚かさ。 人生のはかなさと愛。切ないラスト。

    人の一生は短くても、リレーのように渡していく、その考えが心にひびく。中島みゆきさんの歌にもそういう歌詞がありました。

    しかし、狂乱のラストは何度読んでも胸が痛い。ファンタジー世界でも実世界でも、戦争とは酷く愚かなものだと思う… 結局、自分の手に負えない負の遺産を残してしまうのだから。

  • 圧巻の世界観、重厚なストーリー、そして繰り返す悲劇。
    希望のなかの無情、無情のなかの希望。みなが希望に向かってそれぞれに足掻く姿がひどく苦しい。世界は、上橋さんの考える、エリンの願う、『正解』に繋がったんだと思う。
    それでも、わたしの望む結末とは違かったので★3つ。わがままな読者ですみません。

  • 4巻完結編。
    個人として人間として社会としての闇や葛藤が色濃い巻である。ここにくるとストーリーより裏に流れる黒々しいものの圧迫感が強い。
    謎が解かれ、2巻で棚上げであった問題も結末を迎え、次世代に意思が引き継がれていく。まさに完結するわけであるがこの寂寥感。
    不完全なまま終わる2巻が好きです。
    だからといって3,4巻がないのは嫌ですが--;

  • 結局3・4はなくてもよかった

  • 終わってしまった。
    エリンが、イアルとジェシと長く長く幸福に過ごしている未来を、見たかった。
    だけど、たくさんの兵士の命を奪った惨禍を引き出した彼女が、のうのうと生きることは出来なかったのかもしれない、とも思う。
    王獣軍を指揮しようと決めたとき、カレンタ・ロゥに会っていれば。彼らがもう少し早く訪れていたら。色々なことを考えてしまいます。
    だけど、不思議と読後感は悪くなかった。すとんと胸に落ちてきて、受け入れることができました。これしかなかった、としか思えない。
    上橋さんと同じ年代に生まれたことを尊く思う。
    二巻の終わりに感じた凄さはちょっとなかったかな。とも思う。

    338ページを自戒として引用しときます。
    「わたしたちは、ばらばらで、言葉を持っていても思いはけっして、思うようには伝わらない。でも……それでも人は、道を探しつづける。」

    ただ、ジェシを好きになれなくてちょっとだけ辛かったかな、と。

  • ついに〈完結編〉
    これで終わってしまうのかと思うともったいなくて、でも先の展開が気になって一気に読んでしまった。

    この作品のテーマは何個もある。人がいるかぎり戦争は避けられないよとか、「獣」との付き合い方だとか。
    でも一番重要だと思ったのは「愛情」だ。

    エリンとジョウンにしてもそうだし、エリンとエサル、エリンと王獣のリラン。
    人同士だけでなく、人と獣の愛情も確かに存在する。

    極めつけはエリンとイアル、ジェシの家族愛。
    エリンとイアルは家族を守るために自分が犠牲になるかもしれない重大な決意をする。
    なんと美しく、儚いことか!

    なんとなく敬遠してたのだけど、もっと早く読んでおけば良かった。
    とにかく大好きな小説になった。

  • ファンタジーは想像できない世界が広がっていて、興味が無いと思って避けていたジャンル。
    主人公エリンを中心として、王獣・闘蛇をめぐる民族の歴史や争いなどを描いた物語。
    初めのうちはカタカナの登場人物に対して人間関係が分からず相関図を見ながら読み進めていたが、エリンと家族、闘蛇、王獣との描写を頭に思い浮かべて温かな気持ちになったり、想像もできない展開で先が気になり、一気に4巻まで読み進めた。
    エリンに協力的な人にはもちろん、反対側にいる人に対しても、それぞれの国や民族を思う気持ちを大事に描かれている。
    所々で前とのつながりが分からない場面や解読が難しい場面があったが、実際には存在しないものに対して想像を膨らますことができる壮大なファンタジー。
    編集後記で4完結編を想定してなかったと見て驚き。4完結編が無かったら今後が気になって物足りなく感じていたはず。
    これを見て、他のファンタジーを読んでみたくなった。

  • エリンが真摯に追い求め続けた、人は何故争い続けるのか、獣が自然に生きるとはどういうことなのか、何十年もの長きに渡る物語も遂に完結を迎えた。人という獣が群れをなす、そこには醜い争いがあり、多くの間違いを犯す。けれども、人は知ることで考え、たとえ一人では成し遂げられなくても、その心を受け継いで新たな道を探し続ける諦めない強さを持っている。この物語を、そしてエリンの生き様を通して、そのことを強く感じた。そして、その心は確実にジェシへと受け継がれている。最終章のジェシの言葉は哀しくも力強く響く。

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著者プロフィール

上橋 菜穂子(うえはし なほこ)
1962年、東京都生まれの児童文学作家、SF作家。
1992年『月の森に、カミよ眠れ』で日本児童文学者協会新人賞、2000年『闇の守り人』で第40回日本児童文学者協会賞、2003年『神の守人 来訪編、帰還編』で 第52回小学館児童出版文化賞、2004年『狐笛のかなた』で 第42回野間児童文芸賞受賞他、2015年『鹿の王』で第12回本屋大賞など、多数の受賞歴がある。
2014年には「小さなノーベル賞」とも呼ばれる世界的な賞、国際アンデルセン賞作家賞を受賞している。

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