- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062773966
作品紹介・あらすじ
総ルビつきの原文、中野孝次のわかりやすく、かつ洞察に満ちた現代語訳、そして共鳴する想いを込めた深く真摯な解説が、平家と源氏が争った時代を生きた鴨長明の肉声を今の時代に鮮やかに蘇らせる。大地震、大火、大飢饉、辻風、さらに遷都を体験し、ついには方丈の住居暮らしに本当の安心を得て生き方が心に沁みる。
感想・レビュー・書評
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「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」
有名な冒頭の一文で無常感に基づく仏教的世界の作品だと思っていたが、人間社会の普遍的な悩みとそれを超越した鴨長明の人生の楽しみが描かれた作品で共感出来る文が多かった。
「世にしたがへば、身、くるし。したがはねば狂せるに似たり」
世間に迎合すれば苦しむばかりだし、合わせなければ狂人と陰口を叩かれる、800年以上経っても空気が支配する日本社会に生きる苦しみは変わらないんだなと痛感した。
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方丈記は「無常」の文学だと言われる。確かに、方丈記の前半では、自らが体験した五つの大災害(安元の大火、治承の辻風、福原遷都、養和の飢饉、元暦の大地震)の悲惨さを克明に描くことで、人の命と住居の脆さ、儚さを客観的に伝えている。しかし、方丈記の眼目はここではない。後半の、方丈の住居の自由と楽しさを語る部分こそ、長明が方丈記を通して伝えたかったことだ。つらく儚い世の中だからこそ、長明は自分のために、心を楽しませること、充実させることを重視した。その結果が、方丈の庵での暮らしである。故に、方丈記は「数寄」の文学なのである。
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YouTube大学がとても面白かったので。方丈記の初見は高校でだが、若者には響くはずもないなぁと…。歳を重ねた今だからこそ、読んで良かった。再読しよっと。
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【内容】
方丈記の訳と解説。
無常の考え→長明さんが経験した5災害→新しく考えた住居や生き方の説明…といった内容です。
【お勧めの方】
周りの目を気にして生きるのがしんどいなと思っている方、方丈記を改めて読んでみたい方などにおすすめです。
【感想】
YouTube大学で見て、興味が出て購入しました。
内容が分かると、鴨長明さんの考え方は凡人の私としては共感する部分が多かったです。
周りを気にせず自分の好きなように、肩の力を抜いて生きるのは私の目標とする生き方なので、読み物として読んでいて面白かったです。
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ホントにすらすら読めた!ミニマリストだね。憧れる!
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中学生のとき暗記させられた有名な冒頭文が、大人になってから気になっており、 全文読みたくなりました。
一貫して「人と住処(すみか)」の無常観が説かれています。 リズムがいいため、お風呂で教えていたら4歳の娘が意味も分からず覚えてしまいました! -
「長明さんの」無常観。共感できるような、できないような。
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世の煩わしさから抜け出し周りを気にする事なく自由に暮らすさまは清々しく、全て実践はできなくても気の持ちようだけでも取り込んでみたい。
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だいぶ前に読んだ本です。
本当に方丈記がすらすら読める本でした。
人生の達人である中野さんの解釈も素晴らしいです。
日本を代表する古典の一つでありながら、原稿用紙20枚程の長さの親しみやすさ抜群です。 -
総ルビつきの原文、中野孝次のわかりやすく、かつ洞察に満ちた現代語訳、そして共鳴する想いを込めた深く真摯な解説が、平家と源氏が争った時代を生きた鴨長明の肉声を今の時代に鮮やかに蘇らせる。(e-honより)