ニサッタ、ニサッタ(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.69
  • (27)
  • (64)
  • (53)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 415
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774048

作品紹介・あらすじ

どうやったら、失くした「明日」を取り戻すことができるのだろうか?
閉塞した社会で生きる希望を探し求める物語

借金を何とか返し終えた耕平は、北海道・斜里の実家に戻る。その雄大な自然に癒されたものの、働き口は見つからない。そこに新聞配達所で一緒だった沖縄出身の竹田杏菜が突然やって来る。ようやくスーパーの正社員の道が見えてきた矢先、酒酔い運転で事故を起こしてしまう。明日への希望を問う感動長編。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • Rさまオススメ本の下巻。
    ようやくちゃんと働くようになったかと思ったら、なぜそのような女に?と思うような女性に入れ込み。
    果ては飲酒運転で事故とは。
    もうほんと読んでて情けない、歯がゆい思いをさせられるのだけど、思いの外、芯は優しく人に対しても誠実な良い人間なのだと思う。だからなおさら歯がゆいのか。
    母親や杏奈にあたり散らしたものの、婆ちゃんのあたたかさには素直になれる。
    ようやく落ち着いて母親や姉のことも考えられるようになるなど、やはり根は優しく思いやりがあるのだと思う。
    杏奈もそんな部分に救われたのだろうと思う。
    最後にはやりたいことを見つけ、希望に溢れる感じが良かったと思う。

    しかし、就職難や借金地獄、家族の問題から民族の問題などなかなかに痛烈な内容を孕んでいて、これでもかと主人公が転がり落ちて行くのはしんどかった。
    何が悪かったのかと考えるとき、まず自分を振り返るよりも前に周りのせいにする。なんかここまでではなくても、自分でもそんなふうに考えてしまいそうなときがありそうで尚更しんどく感じたのかも。

  • 今日のことだけ考えてみるか

  • 乃波アサの小説を久々に読んだが、知らん間にこういう小説も書くようになっていたんやねぇ。ミステリー作家のイメージがあったが、この小説はミステリー色薄く、人間再生小説である。まるでパーカーの「愛と名誉のために」のような感じである。

    主人公の人生の落ちっぷりがリアルで怖い。若気の至りで会社を辞めてしまうとか、再就職した会社が計画倒産とか、派遣で働いても単なる小間使いで仕事にやりがいがなくてついついサボるとか、学習塾で働いている時インフルエンザを圧して出勤し生徒に染してクビとか、行きがかりで出会った女に全財産持ち逃げされるとか、パチンコで負けが込み消費者金融で借金漬けとか、付き合った女が実はバツイチ二人の子持ちとか、酔っ払い運転で交通事故とか…

    こうやって列挙すると、こいつなんなん?と思うが、こういうトラップって現実の世の中にいっぱい仕掛けてあるわけで、明日いや今日にでも自分の身に降りかかってきてもおかしくないものだってある。主人公が「甘いヤツ」と切って捨てるだけじゃないリアル感があるのだ。

    どん底から這い上がり、人生を再生する小説が好きである。前述の「愛と名誉のために」なんかは、その中でもお気に入りで、何度も読み返しては「俺も頑張ろう」と勇気づけられている。
    翻って、この本。確かに再生小説なのだが、何度も何度も底を見る姿とか、パーカーの小説ほどストイックになりきれない態度とかに、忸怩たるものを感じて勇気づけられる部分が少ない気がする。「一度や二度のやり直しで再出発できるほど人生甘くないよ」ということは分からなくもないし、その分リアルさも迫真なんだが、何度も読み直そうと思えるほど勇気をもらえる小説ではないと思った。

    世の中そんなに甘くないんやで…ってことを、若い連中に教えたい時に読ませると、ちょっとは効果があるかも知れない。真面目に堅実に生きることが一番で、波風立たない刺激の少ない生き方の幸せさをしっかりかみしめて生きていきたい。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    借金を何とか返し終えた耕平は、北海道・斜里の実家に戻る。その雄大な自然に癒されたものの、働き口は見つからない。そこに新聞配達所で一緒だった沖縄出身の竹田杏菜が突然やって来る。ようやくスーパーの正社員の道が見えてきた矢先、酒酔い運転で事故を起こしてしまう。明日への希望を問う感動長編。

    おばあちゃんの言葉が1つ1つ心にしみた。

  • 故郷の北海道斜里に戻った主人公の片貝耕平。寝起きする場所、食事は心配する必要もなくなり、地元でのアルバイトも始める。しかし、耕平の甘さは、ここでも同様。再び、転げ落ちる人生が始まる。
    沖縄出身の杏奈の抱える生い立ち。北海道と沖縄、そして都会との地域間格差。非正規従業の増加といった誰にも起こりそうな現実。そして、方貝家のオンナたちの逞しさ。
    解説を読んで、著者の「方貝」という苗字をつけた思いを知った。解説も秀逸。

  • 耕平のような人って実際いると思うし,杏菜の生い立ちのようにつらい人生おくっている人もいると思います。何か考えさせられた作品でした。

  • 希望がある終り方で本当によかったと思ったのは、どこかで何かを間違えたら主人公みたいになりかねないって感じたからなのかもしれない。
    おばあちゃんの優しさと言葉が暖かくて飛行機の中でも泣きそうになってしまった。
    明日を考えて不安になるなら、まず今日を生きることに集中する。

  • 何をやってもだめな主人公が下巻では故郷に帰ってやり直そうとします。でもやはりなんだか甘い、基本甘ったれで、どうにかなる、今ダメなだけといつも心に逃げ場所を作って、少しでも余裕ができるとすぐに前の苦しみを忘れてしまう。あーでもなんとなく自分の中にもある要素なんで、昔の自分も若干こんな感じあったかもしれないです。
    基本的には真面目にやろうと思えば一所懸命なんだけど、少しつまずくとリセットしてゼロからやりたくなる感じなんでしょう。わかる、なんとなくわかる。
    彼を追って北海道にくる前職の後輩の杏奈ちゃんが不細工で色黒で豆タンクなんですが健気でかわいいです。とても重要な役目で僕はこの子の行く末を見るために読んだといっても過言ではありません。ジンときました。

  • 2015/12/8 読了。

  • 怒涛のように落ちぶれて行った上巻に比べ随分穏やかな物語になったなぁ。。。 なんておもいきや!!(+o+)
    でも、エピローグで、今度こその希望を持てる感じで良かった^^
    南北に長い日本の北と南の人種問題(?)を一度に取り扱ってしまう乃南さんはすごいな~。。。

全43件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

乃南 アサ(のなみ あさ)
1960年東京生まれ。'88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。'96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。
主な著書に、『六月の雪』『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『いちばん長い夜に』『新訳 にっぽん昔話』『それは秘密の』など多数。訪台をめぐる随筆の近著に『美麗島紀行』がある。

乃南アサの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
湊 かなえ
宮部みゆき
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

ニサッタ、ニサッタ(下) (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×