- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062774093
作品紹介・あらすじ
戦後、未曾有の国難の中、吉田は首相就任を引き受ける。占領政策の中心を担ったGHQ民政局とは、権謀術数の限りを尽くして渡り合い、最後には、マッカーサーの頭越しに、米国務省と講和の交渉を始める。そして、1951年、サンフランシスコ講和条約に調印。"史上最強の宰相"を、エピソード満載で描く。
感想・レビュー・書評
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戦後の混乱期の日本の政治が描かれていて、興味深かった。9条とか安保条約とかの歴史的背景がわかるような気がする。
ただ、民主主義といってみても、所詮建前で、明治維新以降続く血統が受け継がれて、今も日本を支配しているのだなあということがよくわかって、少し悲しい。あとがきを読むと、「国民は誰より視点を高くもっている政治家に、この国のかじ取りを任せるべきなのだ。」と書かれている。また、解説は徳川宗家19代の人が「吉田茂の実像は、まずもって大日本帝国の支配層に属する人間である。」「吉田茂は、生まれによっても、育ちによっても、さらに縁組みによっても、イギリス・コネクションに連なっていたが、それは彼が支配層の人間であるというのと、表裏一体の事実だった。」なんて書いているし。
併せて読むと、庶民は偉いさんの言うことを聞いときゃいいんだと言われているようで、興醒め。「ポピュリズムに背を向けて」という副題で察するべきだったのだろうが。民主主義=衆愚政治になっちゃっている日本の現状をみると、まあこういう考えにも惹かれる。一方で、自分が「衆愚」の一人として、「支配層」に好き勝手されるぐらいなら、衆愚政治でもいいやと思っちゃう。しかし、日本の動きを見てると、本当の衆愚が多数派で支配層に好きなように誘導されているように見えて、駄目だこりゃ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
吉田茂については名前くらいしか知らなかった。「震災以降、吉田茂がいま人気だ」というのを人からきいて、読んでみることにした。
吉田茂は吉田家の養子で、実父は黒船にのった竹内綱、実兄はダットサンの「T」、竹内明太郎。
誰もが経験したことない出来事を、独自の態度で判断し行動していく。人は大事な局面では開き直りが必要であるが、それには大きな不安とリスクが伴うはずだ。吉田茂は、その開き直りの連続だったことだろう。
私も、大事な局面ではいい開き直りができるようでありたい。
吉田茂が愛した娘、和子は麻生太郎の母である。二・二六事件のころ、茂の岳父、牧野伸顕を体をはって守る度胸のある女性、そして賢い女性だった。
本書、「ポピュリズムに背を向けて」というのは、吉田茂が世間に媚びることなく、自らの信じるところを歩いたということ。
政治家になった、2世、3世は、こういった先人の姿をみてきたのだろうに。「いい人でいたい」「悪い人と思われたくない」という現代人に、その姿を求めることは間違いなのだろうか。 -
「この国が、国民の顔色をうかがって媚を売る政治家に、(中略)吉田茂というポピュリズムの対極にいた政治家について考えてみることは意味のないことではあるまい。」本書より抜粋 。
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年越す前には読み終わった。
一つ前に読んでた「二つの祖国」(山崎豊子)と時代がかぶってることもあったし、細かいところまで、描かれていてとても読みごたえがありました。
敗戦し、占領されたところから、独立へと導いた吉田茂の運の良さとそれを上手く自分のストーリーに持ち込むところの外交力は素晴らしいと思った。
今の日本があるのは、様々な偶然と独立を目指した吉田茂がいたからこそなんだど、すこし感慨深げに思いました。 -
吉田茂を知る一冊パート2。