奇蹟の画家 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.47
  • (3)
  • (4)
  • (8)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 54
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774116

作品紹介・あらすじ

ノンフィクション作家・後藤正治が「小さな物語を書きたい」と感じた一枚の絵との出会い。その絵は、49歳まで完全に無名だった孤高の画家・石井一男によるものだった。
飲食店や新聞運びなどの仕事をして穏やかに生活をしていた石井が、突如喜びとともに絵を描くようになったのは46歳のとき。以降淡々と好きな絵を描き続けてきた。口下手で穏やかな石井と、神戸のギャラリー海文堂の島田との出会い。画家になりたいと思ったのではない、生きる証として素直に、無心に描き続けた絵。その無名の作家の作品に、多くの人々が救われていくさま。石井や周囲の人々を通し、多くの人の心をとらえて離さない作品と画家の魅力、そして「豊かさ」の本来の意味を教えてくれる、温かくも珠玉のノンフィクション。

「ノンフィクションとは、対象を解きほぐしたいという渇望に導かれてあるものであるが、本書の場合、そのベクトルは少し違っていた。解くのではなく、より深く感受したいといういという希求であったように思える」あとがきで著者自らが書いたように、多くの人に「感受してほしい」作品がここにある。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読書半ばで本が、どこえやら失踪!縁が無かったのかな?タイトルどおり奇跡は、謎のままが良いという事にしておこう。

  • どこのブックガイドからだったかな~。それをしっかりチェックしとかないと、同じ推薦者による書をまた手に取って、同じようにガッカリ…という体験を繰り返すことになっちゃうな~、とちょっと反省した次第。まあそれもあって、本ブログでも、具体的な書名まで記しておくことにしたんだけど。ところで本書。この画家を知らなかったんだけど、やっぱり実物を観てみないとピンとこない、ってのはきっとありますわな。観た上で、自分も感動したのなら、本書はきっと、もっと興味深いものになるのでせう。自分にとっては、正直さっぱり…。

  • 実際に絵を見たくなる本です。

  • 神戸に石井一男という絵描きがいる。この人、49歳になるまでまったく無名だった。というか、絵を描いていることを周囲に知られていなかった。というか、人づきあいのあるような生活をしていなかった。人とのかかわりを避けるように単独作業のアルバイトと商店の惣菜で食いつなぎながら、密かに絵を描く人生を送ってきた。絵を描かずにはいられないけれど、人目に触れない絵だからと、サインも入れていなかったという。だが、その絵がひとたび、人目に触れるようになると、大きな感動を呼ぶことになった。
    この本は、石井さんの絵に魅入られた人たちのエピソードを紹介していくかたちの本。もちろん、一人の人物の絵が、さまざまな人々の人生に介在し、晩年の癒しになったり、人生の励みになったりといった話はいいものだなと単純に思う。だけど、250ページ超をそれだけでまとめるのは、ちょっと無理があるのでは。石井一男その人の生活やあゆみ、考え方を知れるのかと思ったので、そういう意味でも噛み合わず期待はずれだった。

  • この画家をめぐる人々の、不思議な清楚な空気がよく伝わってきます。私も最初ルオーかと思ったのですが、そうではないみたいですね。一度実物を見てみたいです。

  • 貸し出し期限のため半分ほどで返却
    画家が人間関係が苦手で職を転々としていたというだけで
    ひきこもりにとっては★4だ
    全部読んでないので後半どうなったか
    画家が幸せに暮らせたことを望みたい

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

1946年、京都市に生まれる。1972年、京都大学農学部を卒業。
ノンフィクション作家となり、医学、スポーツ、人物評伝などの分野で執筆を重ねる。
『空白の軌跡』(講談社文庫)で第四回潮ノンフィクション賞、『遠いリング』(岩波現代文庫)で第十二回講談社ノンフィクション賞、『リターンマッチ』(文春文庫)で第二十六回大宅壮一ノンフィクション賞、『清冽』(中央公論新社)で第十四回桑原武夫学芸賞、を受賞。

2016年、書き手として出発して以降、2010年までに刊行された主要作品のほとんどが収録されている「後藤正治ノンフィクション集(全10巻)」の刊行が完結。

他の著者に、『関西の新実力者たち』(ブレーンセンター.1990)、『刻まれたシーン』(ブレーンセンター.1995)、『秋の季節に』(ブレーンセンター.2003)、『節義のために』(ブレーンセンター.2012)、『探訪 名ノンフィクション』(中央公論新社.2013)、『天人 深代惇郎と新聞の時代』(講談社.2014)、『拗ね者たらん 本田靖春 人と作品』(講談社.2018)などがある。

「2021年 『拠るべなき時代に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

後藤正治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×