新装版 塔の断章 (講談社文庫)

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レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774161

感想・レビュー・書評

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  • 乾くるみ氏の創作にはタロットをモチーフとした作品群があり、今作はその第1作である。最も有名な「イニシエーション・ラブ」もこの作品群に属する。シリーズの共通項として「天童太郎」なるキャラクターが登場すること、それぞれの作品にリンクは存在せず独立した作品である。

    初乾作品は「イニシエーション・ラブ」であり、タロットシリーズは「リピート」「セカンド・ラブ」と読了している。奇しくもシリーズ第1作が最後となってしまった。既読の作品には共通してトリックが仕掛けられており、今作も同じような仕掛けを予想し読み進めたのだが、見事に乾氏の術中に嵌ってしまったのであった。

    以下ネタバレです、未読の方は立ち入り禁止とします!あくまで以下自己責任でお願い申し上げます。













































































    今作の構成は3部であり、序章、断章、終章となり、序章では殺人現場の数ページ、誰が女を殺したのか?という謎解きが大筋である。大半が断章で主人公「辰巳まるみ」の一人称である。これが時系列がバラバラであり、非常に読みずらい。また事件と直接関わりなさそうな過去の体験までもがカットバックされている。キャラクターの相関図など、把握する為にページを戻ることも多い。そして最後の謎解きが終章、これもわずか数ページ。しかしながら超ど級のトリックに悶絶した。

    天童太郎は今作が第1作目ゆえ、主役扱いであり、この後の作品でのチョイ役的存在とは違い、キャラ造詣も、その存在感もしっかり描かれており、今まで掴み切れていなかったモノが払拭された。これは自分が順番を違えていたせいであるが…

    今作のメイントリックは、作中での殺人事件から真相究明までの時間軸と、作中人物が辿った時間軸を混同させること。そして断章パートそのものが、死の直前の「走馬灯」として「辰巳まるみ」の心をよぎったモノとして描かれている点である。

    つまり被害者1号「十河香織」が塔より落下し死亡する事件、実は犯人は「辰巳まるみ」の件は作中に記述なく、真相究明場面で「天童太郎」が真犯人「辰巳まるみ」を投げ落とす場面が序章であり、物語世界における時系列は、序章より始まり、わずか数分後、まるみは塔より落下し、その刹那走馬灯として「断章」を追体験したのである。ここで初めてあの時系列バラバラパート、無関係な過去の体験などがキッチリ腑に落ちることとなる。まぁよくこのような構成を創り上げたものだと思う。実際読んでみて気付かない読者もいるのだろうと思う。過去の文庫版には筆者自身のネタバレ解説があったようであり、これは読んでみたい。

    この後傑作「イニシエーション・ラブ」が世に出たことを鑑みれば、納得の今作品であった。

    タッロトシリーズはいつまで続くのか?天童太郎はどこへ行くのか?これは大きな謎なのかな?

  • 「らしい」作品・・・。
    終末に期待し,
    終末を勘ぐりながら読み進めていったが
    やっぱりひっくり返される・・・
    でも,すっきり感がないのは
    どういうわけだろう・・・

  • プロローグとエピローグの間に、時系列がバラバラになった、断片的なエピソードが多数挟み込まれるという、変わった構成になっています。

    一見、読みにくいと思われるのですが、時間の流れはある程度把握出来るので、思っていたよりも読みにくさは感じられませんでした。
    ちょっと短めの長編と言えそうな分量も、この作品には丁度良さそうですね。

    ただ、この新装版には、旧版に掲載されていた作者自身による解説がないのが残念。

  • 乾くるみは、好きだけど、本書は…

  • なんか騙されたくて久しぶりの乾くるみ作品。
    ですが、後味が悪くて…
    わかる。どこをどう引っ掛けたいのかとか、どうしてこうなってるのかとか分かる。
    作中の他愛もない会話で気づいてしまったけど、納得できない部分もあり。
    ラストに「ヤラレタ」と来るにはちょっと弱いかな。
    もしかして私の読み込みが足りないのかも…

    イニシエーションラブ、スリープ の「ヤラレタ」感を期待していたため、ちょっとガッカリでした…

  •  くるみん作品を何冊か続けて読んでみて、いいのも悪いのもあったけど、本書は完全な「ハズレ」(>_<)
     よくある話をワンアイディアでヒネっただけの作品だけど、そのワンアイディアがただの思いつきレベル……(´ε`;)ウーン…
     相馬さんが走馬灯を見るんだって……(´ε`;)ウーン…
     こういうの、短編ならまだしも長編でやられると単に読みづらいだけなんだよなあ……(´ε`;)ウーン…

     ブクログレビューを見るとかなり混乱なさってる方が多いようだけど、一発で理解させられなかったって事実が失敗作であることの証左……(´ε`;)ウーン…

    2019/04/04










     その昔、アンブローズ・ビアスの小説「アウルクリーク橋の一事件」を原作とした「ふくろうの河」という映画があった(「トワイライトゾーン」シリーズ内でもドラマ化された)( ´ ▽ ` )ノ

  • 正解を三行でまとめてみた。

    読了してもモヤモヤがずーっと残り続けた。
    解説を求めて検索し続け、カスみたいな解説ブログをいくつも読むはめになった。それでも未だに正解がわからない…。


    でもたぶん

    序章と終章で殺される女性は、香織ではなく辰巳まるみ。犯人は天童太郎。
    香織の子供の父親は天童太郎。まるみが天童を好きだと知り香織が奪った。
    香織殺しの犯人は辰巳まるみ。動機はジェラシー。本文は落下中の回想。

    こんなかんじかな。

    違っていたら、誰か教えてください

    とにかく後味悪い

  • 面白かったけど難しかった。。2回読んだがちゃんと理解できてないかも

  • タロット・シリーズ

  • 2015年10月31日読了。
    2015年180冊目。

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著者プロフィール

乾 くるみ(いぬい くるみ)
1963年静岡県生まれ。女性と間違われやすいが、男性。
1998年に『Jの神話』で第4回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。別名義の市川尚吾では評論活動も行っている。
2004年刊行『イニシエーション・ラブ』が同年「このミステリーがすごい」第12位、「本格ミステリベスト10」第6位、翌年第58回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補作に。2007年文庫化され、書店員やメディアの後押しでロングヒット。2014年に100万部に達し、2015年映画化され、代表作となった。
2004年刊行の『リピート』も同じくロングヒットとなり、2018年にテレビドラマ化された。

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