遍路みち (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 22
感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774383

作品紹介・あらすじ

夫・吉村昭氏の死後、氏に関連する来客や電話の応対に明け暮れた日々。三年が過ぎ、再び筆を執った著者が身辺のことを綴った小説集。長年過ごした自宅を建て替え、独り誰も知る人のいない温泉地に滞在する。けれど何をしても感じているのは、夫の気配と思い出だった。川端康成文学賞受賞作「異郷」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 津村節子(1928.6.5~)著「遍路みち」、2010.4刊行、2013.1文庫化。5つの短編が収録されています。いずれも著者の身辺のことを綴ったもので、ほぼ事実の内容とか。「遍路みち」「声」「異郷」の3作は、吉村昭氏(1927.5.1~2006.7.31)死後3年余経って筆を執ったものと。著者の深い悲しみと50年連れ添った夫への思いが切々と綴られています。厳かな気持ちで読了しました。

  • 遍路みちは、著者の津村節子さんが、夫である吉村昭さんの死に向き合った日々をようやく、亡くなってから3年後に納めた著作である。亡くなるまでの夫婦の想い、亡くなって初めて気づいたことなど、吉村昭ファンとしては、心に残る作品であった。

  • 作者の夫は2006年に亡くなった作家吉村昭。
    5篇のうちはじめ2篇は、作者が70代に、夫を失う前に書かれたもの。3篇は夫の死から3年のブランクを経て書かれました。

    作家である主人公が目を患う物語の「消えた時計」は、こんな一文で締めくくられています。

    「七十歳をすぎて、いつまで書くつもりだろう、と拡大鏡のレンズを拭きながらひとりで笑った」

    夫を亡くした主人公の思いは「遍路みち」ではこんな文で綴られています。

    『育子を打ちのめしたのは、かれの死後その日記を開いたとき、「育子、眼をさますといない」というページが三日続いていたことだ』

    夫の死後、知人の慰めの言葉にはこんな感性が顔を覗かせます。

    「育子は、安心したがっている人に対して、笑顔を作り続ける」

    読み手に、ある年齢になって感じ取れるものがあります。
    書き手にも、ある年齢や経験を経て、初めて書けることがあると実感させられる一冊です。

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著者プロフィール

昭和3年生 学習院女子短大卒 日本藝術院会員 作家
著書「玩具」(芥川賞)「智恵子飛ぶ」(芸術選奨文部大臣賞)ほか

「2019年 『季刊文科 79号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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