メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 256
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774604

作品紹介・あらすじ

日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、三千万人避難の危機に際して、官邸、東京電力、経産省、金融界では、いったい何が起きていたのか?東京電力ビデオ会議の内幕、脱原発阻止の陰謀をしかける官僚など、衝撃の新事実を大幅加筆して文庫化。第34回講談社ノンフィクション賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 本書の帯にもあるように、まさしく「愚かな人間たちの物語」である。
    書名の『メルトダウン』は福島第一原発だけのことではない。東電も政治家たちも霞ヶ関の役人たちもマスコミ各社も皆、自らの保身と責任転嫁に明け暮れている姿は、浅ましさとおぞましさが同居している。モラルがメルトダウンしているのだ。
    民主党から自民党に政権が移行して、ますますこの溶融は進んでいくだろう。被災者・避難者は取り残されたままだ。
    著者には取材を続けて、是非とも第二部も上梓していただいきたいものである。

  • やはり日本存続の危機だったのですね。良く乗り越えましたね。

  • 原発の現場の話は最初の方だけで、後は東電や官邸や役所の誰が何したというのが詳細に書かれている。これまで縁のなかった政治の世界の雰囲気がなんとなく感じられて面白かった。どこの高校大学を出てどう、というのが本に書かれて官僚もなかなか大変。被災地の話はほとんどない。

  • 原発事故とその収束にあたる官邸と東電。
    東電本店のグタグタさ加減と、その後原発再稼働に向けて反省もしないまま動き出す経産省の厚顔無恥っぷりを写し出す。
    文中に東電某部長の「自民党政権だったら爆発までいかなかった。メルトダウンしたのは民主党政権のせいで対応が遅れたから」という度し難いコメントが載っていたが、東電に限らず経産省も含めて誰も責任を取らず責任を取ったのは退陣させられた菅直人だけという摩訶不思議。原発を推進した自民党が追求側で市民派の菅直人が責任を取り、当事者は誰も賠償責任ひとつ負ってないとかなんなのよね?
    菅直人を引きずり下ろす策謀の数々は、まぁ政争の面もあるし原発ムラの陰謀かどうかは微妙にしろ、読んでて嫌になってくる。

    現時点では原発再稼働の方が経済的に得なのは誰でも分かるけど、だれ一人として原発を推進し事故が起こったことに責任を取っていないままで「反原発はアホ」と叫んでも、道義面での違和感からなる反原発の一部とすら話が噛み合わない。

    「寵臣」とか「覚えのめでたい」みたいなワードを使わず淡々と書いたら、もうちょっと違う立場の読み手にも伝わったのに、と。

  • 日本の政治に疑問や不満を持っているなら読んでみるといい。
    本当にバカなやつらがいろんなことを勝手に決めようとしていることがよくわかる。
    マスメディアもバカばっかり。毎日どんどん記事を書かなくちゃいけないから勉強する暇もなくて大変なのは分かるけど、ちょっと考えれば分かるような騙しに引っ掛かるのはやめてくれ。
    そうだ、知っているとは思うけど、読売・日経・産経は原発推進派だから、購読している人は読み方に気を付けよう。
    で、文句ばっかり言っていても意味がない。俺はどうすればいいのか。
    考えた。
    原発の仕組みや運用の大変さ、放射能の恐ろしさについて、それを知らない人たちに教えていくことにする。たくさんの事実を。

  • 「メルトダウン」(講談社ノンフィクション賞受賞)を読んで、日本の原子力行政に対して、ショックと怒りがいっぱいです。
    ★2008年のスマトラ沖地震で、インドのマドラス原発の非常用海水ポンプが機能を喪失したのを受けて、保安院は電力各社に注意を喚起し、東電は明治三陸沖地震と貞観津波のシュミレーションを行い、波高が15m以上になる結果を出していた。にも関わらず何の手も打たず放置し、さらにひどいのは、震災の3日前には、文部科学省が改定しようとしていた「地震活動の長期評価」が改定される際には、貞観地震の震源がまだ特定出来ないとか、繰り返し発生しているようには読めないようにしてほしいと働きかけている。
    ★原子力安全委員会の斑目委員長は2007年浜岡原発の訴訟で証人として出廷した時、非常用発電機が起動しない事態を問われると「そのような事態は想定していない。そんなことは割り切らなければ、設計なんか出来ない」と言ってのけている。
    こんな人が日本の原子力行政の責任者なんです。
    ★震災当日には、東電の勝俣会長は仕事には関係のない中国ミッションで北京におり、さらにひどいのは清水社長にいたっては、秘書と奥さんを連れてウイークデイにも関わらずお忍びの奈良旅行をしていた。一番緊急時の2日間は両トップが不在という失態を演じている。
    ★情けないのは、政府関係の窓口になった東電本社が、原子力に関しての知見が皆無で、全部現場任せであったばかりでなく、管首相の顔色ばかりを窺い、海水注入の了解を取るのは難しいと勝手に判断して、当初現場の吉田所長が進めていた海水注水を止める指示を出している。(これに関しては吉田所長は本社へは止めると報告しているが、実際は作業を進めさせた)当然政府の原子力委員会も保安院も知見は皆無です。
    ★福島原発事故で大気中に放出された放射性物質の量はセシウム137で見ると、広島の原爆の168個分、ストロンチウム90で換算すると2.4個分。
    ★一番危険だったのは水素爆発を起こした原子炉建屋ではなく、使用済み燃料棒を保管していた4号機の燃料プールだった。ここは圧力容器も格納容器もなく、コンクリートの箱の水槽の中に燃料棒がむき出しになっていたので、地震でコンクリートにひびが入り水が漏れだしたり、階上にあるので底が抜けたら最悪の事態になっていた。
    最悪事態のシュミレーションでは半径250kmが避難。当然東京を中心とする関東圏はこの範囲に入っており、3000万人が避難対象になっている。
    ★この他、東電存続に関しての意見対立や各金融機関の思惑。政府内での責任の押し付け合いや権限争いなどと続いていくのです。
    混乱する政府の命令系統、責任逃れをするばかりの東電本社。
    所管省庁の危機感のなさ、縦割り行政、責任のなすりつけ合い、権限争い・・・・それはまさにメルトダウンしていく日本の姿に重なりあっていると・・・読んでいて怒りを通り越して、情けなくて涙が出てきそうです。

  • 福一の事故から、野田政権期までの対応についてまとめた本。多くのアクターが出てくるが、政府と東電が主なアクターとなる。一連のプロセスについて、綿密な取材に基づき書かれている。(しかし、やはり少数でやるためか、裏付けの面で限界はある。)
    感想としては、政府や東電の杜撰な対応や脱原発阻止に向かう、いわゆる原子力ムラの活動など、見るに耐えない。よーくわかったことは、既得権益があるとそれを手放さないということである。本書を通じて、どうすれば、原子力以外でも既得権益を手放すように持っていけるのかを考える機会となったと思う。
    また、我が国の組織は、責任の所在を避ける傾向に動きがちになることも感じた。
    さらに、日本の行政組織に多い、ジェネラリスト志向の弊害もうかがい知ることができた。本書で指摘されていたこととして、ジェネラリストが多いと、成熟された政策立案、特に既存の枠組みを崩すような政策立案は難しい。そのため、調整に徹する事務屋に陥ってしまうと筆者は指摘している。当然、スペシャリスト志向にも問題はあるが、行政組織の人事管理や制度のあり方も再考すべきなのでは、と感じた。

  • あらためて震災当時の事が思い出される。都内で震災にあったが、あの不気味な揺れと怖さが甦ります。
    読みごたえ十分な内容で、あれだけ放射線汚染を恐れていた市民とは裏腹に、会社や組織または己の保身に一生懸命な東電や関係省庁関係者、そしてあまりに無能な当時の民主党政権に怒りをおぼえます。起こさない事は大前提だが、起きてしまった事故に対して、適切な対応のできる政府であり役所であって欲しい。

  • 福島第一原発事故と東京電力、脱原発阻止に暗躍する官僚に迫るドキュメント。文庫化に当たり大幅加筆とのこと。

    喉元過ぎれば熱さを忘れるの諺の通り、あの時の悪夢の映像をまるで忘れたかのように原発は再稼働の道へ。果たして日本に未来はあるのかと考えさせられるドキュメントだった。

    自分の住む東北地方は内陸部でも東日本大震災発生と同時に停電、まさかそれが一週間も続くとは思わなかった。当然、テレビなど観ることが出来ず、ラジオだけが頼り。何よりも、どの位の被害が発生しているのか、津波の襲った沿岸部に住む両親は無事なのかといった情報を収集することに精一杯だった。

    しかも地震の翌日から毎日、会社の復旧に従事し、たまたま会社の自家発電で映っていたテレビで福島第一原発の大爆発の映像を観た時、日本は終わったなと背筋が凍った。ラジオの情報からは福島第一原発が危険な状態になっていることは知っていたが、まさかこれほどの事故になるとは思わなかった。

    このドキュメントを読むと福島第一原発で何が起こり、東京電力、政府が如何に無能だったかが解る。そして、同じ誤ちを冒そうとしている…何を信じたらよいのか……

    このドキュメントは破滅への序章なのか…

  • 第34回講談社ノンフィクション賞受賞作。電力会社に電気代を払っている日本国民、そして電気代が高いと嘆く日本国民にぜひ一読をお勧めしたい作品。東電だけにかかわらず、独占事業行ってる大企業に共通するものを感じる。

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著者プロフィール

大鹿 靖明(おおしか やすあき)
1965年、東京生まれ。早稲田大学卒業。ジャーナリスト。著書に『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』(2006年)、『ヒルズ黙示録・最終章』(2006年)、『墜ちた翼 ドキュメントJAL倒産』(2010年)がある。『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』(2012年)で第34回講談社ノンフィクション賞を受賞

「2014年 『ジャーナリズムの現場から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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