感応連鎖 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774765

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの話を読んでる時点ですごいと思ってたけど、最後のページでは気持ち悪くなるほどだった。女子の自意識こわい。夢の娘ってこんな恐ろしいのか。でも自分にも大なり小なり当てはまる部分はあるから気持ち悪くなったんだと思う。

  • 女の中の黒い部分を引き伸ばして文字に起こしちゃった感じ。
    怖かったです。もっと夢見させてくれよって思った。

    でも嫌いじゃない。

  • 気持ち悪~い‼(けなしているわけじゃないよ)
    想いが身体に影響して異形のモノになっていく様は、おぞましいと同時に、不安をかきたてる。

  • いいねェ。冷静に狂っていて。若いって気持ち悪いね。
    傑作。少女ってこんななのか?

  • 130330

  • 久しぶりの朝倉節が効いていて満足。
    初期の『ほかに誰がいる』のような激しい感じと
    最近の奇妙な雰囲気が相まって3人の女を、まるでそこにいる人物に
    言葉を紡ぐようにして描いている。
    朝倉さんファンとしてはとっても安心する一冊でした。

  • 読んでいて、河をわたったような気分になった。

    気付いたら服の裾が濡れていて、
    つぎに気付いたらすっかり腰まで浸かっていて、進むしかないという心地がする。
    そして物語が進むと、もうすっかり足のつかない深い部分にひきずりこまれていて、どうしようと途方に暮れて、もがいていると、
    突然ぐいっと向こう岸に引き上げられる。
    そして、その先にはまた河があることを知る。

    読んでいるときの感覚を表現すると、
    上記のような感じになる。

    朝倉かすみは、女性を描くのがうまい。
    おそらくどんな女性も感じたことのあるであろう自意識、それを強調して描く。
    そこに皮肉なタッチがないので、ついついこちらも
    「ああ、こういうことあったな・・」「わかるよ・・」という苦笑いでもって、登場人物たちを受け入れるしかないわけだ。

    この物語はすこし不思議で、
    母親によって「夢の娘」という妄想を押し付けられた巨躯の娘、セツの視点から物語は始まる。
    母親の望みをうけて、自分もそうありたいと願いながらもそうではない自分を痛切に感じている彼女は自分たち二人の思いが自分の体をどんどん膨らませているのだと思っている。

    そんな彼女は、同級生の「絵里香」に自分の隠した本性の片鱗を言い当てられ、とことんまで愚鈍を演じることを決める。
    その絵里香は、人の気持ちの中にある言葉を舌に乗せる能力を持った女の子だ。
    彼女を支配するのは虚栄心、自尊心、嫉妬。

    その絵里香がねたみ、
    セツが「彼女こそ夢の娘だ」と確信する相手、それが由季子。
    誰よりも美しい容貌をもち、理想の娘らしいしぐさをもち、
    しかしその実、それはすべて他者の望む像でしかない、空っぽな娘。
    彼女は、セツによって自分を「夢の娘」に仕立てあげられることを望む。

    しかし、「恋」こそがより少女たちを完璧なものにすると信じたセツが、その思いをうけた由季子が起こした行動によって彼女たち自身に変化がおきる。

    タイトルにあるように、それは「連鎖」する。

    小説のつくりとしては、二か所ほどにミスリードが仕込んであって読み進めるわくわく感があっていい。
    物語がどこに着地するのか、まったく想像できない不気味さもいい。

    ああ面白かったなあ、と読み終わろうとしたら、
    最後の最後でぞっとさせられる。
    このためだけにこの一篇を書いたのでは、とすら思うような。

    だから本を読むのはやめられないなと久々に思った一作。

  • 2013.02.25読了。
    今年10冊目。

    女という生き物の自意識のお話。
    読んでて少なからず自分にも当てはまる部分があり、そのため登場人物に嫌悪感を抱く(笑)
    人に対して嫌だなと思うことは少なからず自分の中にもあり、そのためそれに気づいてか気づかずか嫌悪するっていうことだねー。
    となると自戒するべきことがたくさんすぎるw

    母子の関係、理想の娘の話はかなり歪んでいて私には全く当てはまらないが、長女だったので親の希望に添いたい応えたいという部分では気持ちは少しわかるかも。

    4人それぞれの登場人物が自意識のもとに話を進めていくが、他者から見たそれぞれの登場人物の見た目の描写はかなりバッサリしていて(特に初美とか絵理香)えげつなかった...
    そこが痛快とも言えるんだけど。

  • 感応と自意識って裏表ですね。
    自意識が過ぎて苦しむ少女たちの話。

    結構大人になっても同じじゃないかな、心は。
    歳をとると、隠す術を覚えるだけかもしれない。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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