星が吸う水 (講談社文庫)

著者 :
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774796

作品紹介・あらすじ

恋愛ではない場所で、この飢餓感を冷静に処理することができたらいいのに。「本当のセックス」ができない結真と彼氏と別れられない美紀子。二人は「性行為じゃない肉体関係」を求めていた。誰でもいいから体温を咥えたいって気持ちは、恋じゃない。言葉の意味を、一度だけ崩壊させてみたい。表題作他一篇。

感想・レビュー・書評

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  • 今まで読んできた村田沙耶香で惹かれてきたのは、
    A.少女期特有のセンシティブなところ(「ギンイロノウタ」「タダイマトビラ」)、
    B.サイコパスと言ってしまえばつまらないが浮世離れした人生観(「コンビニ人間」)、
    の2点であって、
    C.純文学にSF的設定を持ち込んだ、全然考証も何もない思考実験(「殺人出産」とか)、
    そしてこの
    D.性への違和感、
    はあまり乗れないのかもしれない、と感じた。
    というのも視点人物があまりにも性を思考の真ん中に置き過ぎていたり、女性同士の会話でもわざわざ性を議題にしたり、
    不自然なくらい。
    その不自然さはC.とも通底する。
    要は、それを語りたいがための設定的無理、というか。
    女性ならわかるかもという限定はしたくない。
    性は男性にとっても生理的に持って行かれるから。
    でも商品的な性、性は観念に過ぎない、というのは岸田秀の精神分析でも言われていたことなので、特に目新しい着眼点ではない。
    いずれにしてものめり込むのはむずかしそう。

  • 性行為においては女性の方がぞんざいに扱われがち、という一般的な見方に対して、男性も「棒のように扱われる」ことがあるという、ジェンダー的に平等な観点が垣間見えた。

  • 1つ前に読んだ村田さんの小説「ハコブネ」と、扱っているテーマは似ているように感じた。
    女性の中の“性”や“性欲”。
    恐らく普遍的ではない感覚を抱えた女性たちが主人公になり、自分が持つものと向き合い、探っていく。
    さらっと乾いているけれど、アンダーグラウンド。そして、ある意味とてもグロテスク。

    表題作の主人公・鶴子は、性交渉をするとき「吐き出す」という、まるで男性のような感覚を感じる。
    紛れもなく女性なのに、受け身でもないし、むしろ自分が男の人の身体を使って欲を吐き出すような感覚。そしてそれを理解してくれる恋人の武人がいる。
    鶴子の友人・志保は恋愛感情や性欲を持たず、梓は浮気されたりしつつもある意味では一番普通の恋愛をしている。
    そんな3人の会話が中心となった物語で、鶴子を心配してお節介なことを沢山言う梓と、それを聞きつつ適当に受け流す鶴子と、その間に大人しい志保がいる、という構図。
    女同士の会話はけっこう生々しくリアルだけど、抱えている感覚や事情はそれぞれで、鶴子と志保は基本的に自分の内部にあるものを口にはしない。
    本当の本音は表に出さないけれど仲は悪くない。女同士のそういうところもリアル。

    性に対する感覚は人それぞれだから、何が良いとか悪いとかいうことは一概には言えない。だけどそれが人に心を開けない原因になることもある。
    だから何かのきっかけで共鳴する人に出逢えたとき、もっと分かり合いたいと考えるのは自然なことなのかもしれない。
    そういう意味で2本目の「ガマズミ航海」の女性2人の関係というのも、現実に無いとは言えない。

    興味深いけれど、読んでいて少しぐったりするような感覚もあった。嫌な意味ではなくて、ある意味でとてもグロテスクな物語だったので。
    村田沙耶香おそるべし、と毎度思うのであった。

  • 性に関してのとらえ方は個人で異なる。という考え方が綴られた小説。かなり少数派で特異な,ただそれだけの印象しかもてず,この著者にしては勢いがなかった。

  •  表題作「星が吸う水」と「ガマズミ航海」を収める。
    女性なのに性欲を感じると男性のように「勃起」し「抜く」ためにセックスをする主人公・鶴子と、性格も恋愛に対する向き合い方も違う梓と志保の女子3人組の話「星が吸う水」。
     主人公・結真にとって性行為は、セックスか、ただの「おしゃぶり」かの2種類に分けられる。大嫌いな彼氏と別れられない美紀子とともに、結真が「性行為じゃない肉体関係」を編み出そうとする話「ガマズミ航海」。

     正直よくわからない内容だった。何も解決しないまま終わるし、大した出来事が起きるわけでもなし。ただ妻からしてみると、女性目線ではとても共感できる部分が多いとのことだ。例えば「星が吸う水」では、鶴子達3人の友情関係はそれぞれが違う性質を持っているからこそ成立するのだという。男は同類で集まることが多いが、女性は同じ土俵に立つ女性は競争相手と認識してしまうことが多いらしい。それぞれが違うからこそ共存できる。
     男の私としては、やはり結論を求めたがる。しかし「女性」を描いた本書では、おそらく結論よりも、世の女性たちが自分たちの性質として感じていることを「表現すること」が大切なのだろう。それはまさに、結論や解決策など存在しないガールズトークのようなもの。うーん、男には理解しがたい感覚だ。

  • 三冊目。
    今まで読んだ中で、いちばん既視感のある話。

    女性の身体って、分かりにくい。
    それは、見えないことが多いからかもしれない。
    それは、闇でもあると思う。

    闇を身体に抱えている女。
    うん。なんか、いい感じ。

  • 女の性について。経験値で読み方が変わるんだろうな。

  • 自分の性の在り方を模索する二部作。
    世界にはこと恋愛や性に関して強い強迫性が渦巻いているけれど、この小説に出会えたことで少し楽になれるような気がする。

  • 村田沙耶香さんの小説は、「社会からの模範的価値観への違和感を持ちつつもそれに反抗するというより合わせられない自分を責める」といった部分に、話は女性視点であっても性別を超えた普遍性があり非常に共感するが、本作はとてもその「性別を超えた普遍性」をあまり感じず入り込むことができなかった。

    また、女性の勃起や本当のセックス、男は射精しなきゃいけないプレッシャーなど、いつもながらのユニークな視点はあるものの、文章表現はいつもよりおとなしめだったかも。

    村田沙耶香さんの文章で、綺麗な文章にグロテスクな言葉を混ぜるような表現が個人的には椎名林檎のイメージと重なる部分があってとても好きなのだけど、そういうところは本作ではあまり感じなかったからかもしれない。

  • 性行為を語る時、どうしても女は受け身の立場として扱われる。それはどうしても身体器官を挿入"される"側にしかなり得ない構造の問題もあると思うけど、本当にそれだけか?そこには無意識のうちに、そして当たり前のように抱いていた先入観がありはしないか?

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた さやか)
1979年、千葉県印西市生まれ。二松學舍大学附属柏高等学校、玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。
2003年『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー作となる。2009年『ギンイロノウタ』で第22回三島由紀夫賞候補及び、第31回野間文芸新人賞受賞。2010年『星が吸う水』で第23回三島由紀夫賞候補。2012年『タダイマトビラ』で第25回三島由紀夫賞候補。2013年、しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。2014年『殺人出産』で第14回センス・オブ・ジェンダー賞少子化対策特別賞受賞。2016年『コンビニ人間』で第155回芥川龍之介賞受賞。
2018年8月末、『地球星人』を刊行。

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