放射能に抗う <福島の農業再生に懸ける男たち> (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774840

作品紹介・あらすじ

世界一うまい米作りを目指して、革新を続けてきた福島の農業集団「ジェイラップ」。しかし、福島原発事故以降、彼らが闘う相手は、目に見えない放射能と、世間からの偏見に変わった。絶望から立ち上がれるか?大宅賞作家、10年に及ぶ取材の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • 原発事故後の福島で、農業の再生を目指す、稲田アグリサービスという企業がある。

    それは事故の前から革新的な農業の再生を実践してきた農業集団であり、その綿密な作物の管理体制がすでに存在していたことが、放射能汚染の検査をいち早く取り入れ、科学的に安全性を検証することが可能になっている。

    世界一うまい米をつくることを目標として、農協や既存の農家と過酷なせめぎ合いをしてきた彼らが、今度は放射能、更には風評被害という目に見えない敵と戦うことになる。

    神はいないのかとさえ思えてしまうその試練に、彼らは毅然として立ち向かう。その精神には感動を覚える。

    いち消費者として率直に言えば、他に選択肢があるのであれば福島および近隣の農作物は避けたくなる。だがしかし、彼らのことは信じて支援をしたくなるのも事実である。

    ほんとうに難しい問題を突きつけられている…。

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著者プロフィール

奥野 修司(おくの しゅうじ)
大阪府出身。立命館大学経済学部卒業。
1978年より移民史研究者で評論家の藤崎康夫に師事して南米で日系移民調査を行う。
帰国後、フリージャーナリストとして女性誌などに執筆。
1998年「28年前の『酒鬼薔薇』は今」(文藝春秋1997年12月号)で、第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
2006年『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で、第27回講談社ノンフィクション賞・第37回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
同年発行の『心にナイフをしのばせて』は高校生首切り殺人事件を取り上げ、8万部を超えるベストセラーとなった。
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年と、長期間取材を行った作品が多い。
2011年3月11日の東北太平洋沖地震の取材過程で、被災児童のメンタルケアの必要性を感じ取り、支援金を募って、児童達の学期休みに
沖縄のホームステイへ招くティーダキッズプロジェクトを推進している。
2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。

「2023年 『102歳の医師が教えてくれた満足な生と死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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