地のはてから(下) (講談社文庫)

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著者 : 乃南アサ
  • 講談社 (2013年3月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062774963

作品紹介

小樽での子守奉公で初めて都会の暮らしに触れたとわは知床に戻り、森のなかでアイヌの青年と偶然再会する。しかし彼への恋心は胸に秘めたまま嫁ぎ、母となる。やがて戦争の足音が…。まだ遠くない時代に、厳しくも美しい自然とともに生きてきた人の営みを鮮烈に描き出した感動巨編。中央公論文芸賞受賞作。

地のはてから(下) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 必死に生きる。とにかく生きる。生きていくために丁稚奉公に行かされ、親の決めた顔も知らない相手と結婚する。そんな生活がたった100年前のこの日本にも確かにあったなんて信じられないくらい時代は変化してきた。自分の欲を出せるような状況が何一つなく、常に大自然の厳しい寒さと戦い続けなければならかった時代に生きたとわ。それでも私は、とわは幸せだったと思う。

  • とわは12歳で小樽で洋品、雑貨、小物を卸す大きな商家の子守として奉公に出されるが、商売が傾き、16の時、実家に帰される。とわは三吉への思いを秘め、親の勧めるままに結婚するが、戦争に向かう不穏な時代が始まる。
    アイヌの青年三吉との淡い恋と、その後の再会には胸がつぶれそうになる。これが現実。でも、三吉と結ばれていたとしても、幸せであったとは限らない。

    戦争が、いかに人々の人生を翻弄してきたか、それに加えて北海道の自然の厳しさ。ときに自然は人々に恵みを与えてくれた。それを使って生きる術を教えてくれたのは、アイヌの人々だった。「地の果て」での暮らしは、人々が支え合わなければ生きて行けない、極限の環境であった。

    とわはどのような試練にあっても、「生きなければならない」という計り知れぬ強さを持ち続けていた。子どものために、家族のためにと、こんなにも強くなれたのは、母つね、兄直人のおもいがあったからだろう。

    「ニサッタ、ニサッタ」は、とわの孫にあたる青年の物語であるらしい。現代に至っても、男たちは女の強さに敵わないようだ。現在、北海道は豊かにみえる。私には、その影に人生に敗れていった多くの開拓移民の姿が見え隠れする。

  • 三吉との恋愛がせつなかった。
    いろんな意味で大変な時代だったと痛感した。

  • 奉公から戻ったとわは、初恋の相手と再会するも嫁に行くことになる。
    自分の気持ちも殺し、親の言うままに生きていかなくてはならない辛さや寂しさが伝わってきて切なくなる。
    やがて母となり、更に強く強くなるとわ。
    地のはてまでやってきた幼子の頃から母になるまでの壮絶な人生は、涙なしでは読み進むことが難しかった。

    2015.2.2

  • 下巻も引き続き、
    不運が続く。

    ただ主人公が大人になってきたので、
    子供のときのような周りに振り回されるだけではないから、ちょっと穏やかに感じる。

    個人的にはアイヌの男性との恋物語が
    気になったが、結末はなくても良かったような。想い出はそのままキレイであってほしい、私の願望か(苦笑)。

    いい後味が残る大作でした。

  • 大正の初期に知床の地に入植した一家の娘「とわ」を主人公にした一代記。「おしん」のオンエアは見ていないが、さながら知床版「おしん」と言った感じの苦難の歴史。
    これが私の父と10歳程度しか違わない世代の物語とは到底思えない。
    「生きること」を真摯に問う長編小説。

  • オホーツク海、原生林に覆われた極寒の地・知床。
    アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に追われるようにやってきた開拓民の家族。そして少女とわの物語。

    「とにかく生きる。生き抜くんだ」

    生が凝縮された一冊。

  • 26.02.2014
    上巻の一家の移動が想像しようとしてもしきれないほど気の遠くなるもので、読み終わった今も思い出す。荷車、汽車、船、そんなに昔じゃないのに途方もない移動をしていたのかと思うと胸が苦しくなるほど。
    とわの生き方は強くて逞しくて、いつか幸せにと願ってしまう。きっとこんな女性がいたのだろう。
    重いけど、読み応えのあるいい小説。

  • つい70~80年前は、男も女も金持ちも貧乏人も自由に思い通りになんか生きていけなかった。もちろん、今の平成の世の中でも、人生が100%思い通りいくわけじゃない。だけど、とわさんたちに比べたら、私たちは限りなく自由で、生きるため以外のことに気持ちや時間をさける豊かさがある。与えられた状況の中で精いっぱい踏ん張り、「生きるために生きる」ひたむきさにはすがすがしさを感じたけど、やっぱり自分で自分の人生を切り開いていける環境、時代、そして教育に感謝。
    そして三吉さんが、なぜどうしてどういう経緯でああなってしまったのか、そこが、続編みたいな形で語られたらいいなーなんて思ってしまった、悲しい話にしかならないのかもしれないけど。

  • とよが小樽へ子守の奉公に出て働き始めたあたりで上巻は終わり。
    その続きのお話ということで、下巻は多分小樽という町に腰を据えて生きていくとよの話になるのだろうと思っていました。
    所が奉公先が事業不振となり、とよは実家に帰ることとなります。
    そして幼い頃親しくしていたアイヌの青年、三吉と出会い淡い恋心を抱きます。
    所が、とよに別の男性との見合話が持ち上がる。
    その後も、抗う事のできない運命の渦にとよは翻弄されます。

    石にしがみついてでも生きる。
    という、とよの力強い生き方に心打たれました。
    今日を生きるために今を生きる。
    明日はいい事があるかも知れないと思いながら-。

    とよという女性はとても賢い女性だと思いました。
    誰に教えられたわけでないのに、人の道というものを知っている。
    つまずいたり、しおれたりしながらも、いつも正しい方向を向いて生きている。
    優しく、とても我慢強い。
    彼女がもし今の時代に生きていたら、何をしても成功していたと思う。
    でも彼女に与えられたものはあまりに少なすぎた。
    その中でただ生き続けたというだけでも成功といえる。
    さらに立派に子供を育てあげたのだから大成功の人生だと思います。

    これは与えられた運命の中で懸命に生きた一人の女性のお話です。

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