- 講談社 (2013年3月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784062774963
作品紹介・あらすじ
小樽での子守奉公で初めて都会の暮らしに触れたとわは知床に戻り、森のなかでアイヌの青年と偶然再会する。しかし彼への恋心は胸に秘めたまま嫁ぎ、母となる。やがて戦争の足音が……。まだ遠くない時代に、厳しくも美しい自然とととも生きてきた人の営みを鮮烈に描き出した感動巨編。中央公論文芸賞受賞。(講談社文庫)
働き、嫁ぎ、子を産み、育て上げた。
もう夢など見ない――自分に言い聞かせることで、歯を食いしばるように耐えてきた。
大正から昭和をひたすら生き抜いた女性の一代記。
湧き上がる感動! 現代人に勇気を与える傑作!
小樽での子守奉公で初めて都会の暮らしに触れたとわは知床に戻り、森のなかでアイヌの青年と偶然再会する。しかし彼への恋心は胸に秘めたまま嫁ぎ、母となる。やがて戦争の足音が……。まだ遠くない時代に、厳しくも美しい自然とともに生きてきた人の営みを鮮烈に描き出した感動巨編。中央公論文芸賞受賞。
みんなの感想まとめ
厳しい自然と人間の営みが交錯する中で、一人の女性の波乱に満ちた人生が描かれています。主人公のとわは、大正から昭和にかけて北海道での奉公や結婚、子育て、戦争を経て、数々の試練を乗り越えます。彼女の物語は...
感想・レビュー・書評
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H30.8.20 読了。
・上巻から引き続き、大正から昭和時代にかけて北海道で生きたトワと家族の話。小樽や斜里に奉公に行ったり、アイヌ人と恋に落ちたり、親の決めた相手と結婚し、子育て、子供の死、戦争経験などなど困難だらけにも見える人生を懸命に生きた姿に勇気をもらった。そして、トワのように強く生きていきたいとも思った。
ニサッタ、ニサッタも読みたい。
・「人というものは、果たしてどこまで自分で自分の一生を決めたり選んだり出来るものだろう。」
・「どうせ、すべては過去になった。思いだしたところで、今さらどうなるものでもない。」
・「ともかく明日、もう一度朝を迎えよう。また次の日。1日1日、歯を食いしばってでも、新しい朝を迎え続けなければならない。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小樽の奉公先が傾き、暇を出されたとわは、斜里で更に2年、奉公をする。その後、アイヌの三吉と再会して恋に落ちるが、親が決めた相手とやむなく結婚する。夫の松二郎は、開拓農家の次男でハンサムとは程遠いお鉢頭の福助顔。離農して古着屋を始めた松二郎は、真面目だが覇気に欠け、間も悪い。直言実行が信条で、思ったことを直ぐに口に出すとわとは馬が合わないのだが、子供は次々に生まれていく。戦争の足音がひしひしと迫るなか、松二郎が赤紙で召集されてしまい、1人で一家を支えるとわだが、火事で家と三男を失い、またしても厳しい試練に見舞われる。戦後、数々の苦労が年輪のように積み重なって老成したとわは、やっと平穏な生活を迎えられるようになる。
これでもか、というくらい不幸な出来事に遭遇し続けたとわ。その都度苦しみ、足掻き、そして家族のため何とか堪え忍び、徐々に達観していくとわの逞しい姿、フィクションとはいえ感動的だった。まさに、大河ドラマを見終わったかのような読後感!
解説が指摘しているように、随所に散りばめられている擬態語や擬音語が、方言と共に本作に鮮やかな色彩を加えている。
特に印象的だったのは、戦争末期にすっかり変わり果ててしまった三吉と再開するシーン。兵隊逃れのために片腕を失った三吉は、歯もガタガタ、目も黄色く濁って目脂をため、精気を失っていた。自然と共に気儘に暮らすアイヌの三吉と、家族を抱えて責任ある社会生活を営んできたとわとの間で、時間軸が大きくズレてしまったかのようだ。厳しい自然環境の中で気儘に原始的な狩猟採集生活を営むってこういうことなのかも知れない、と思った。 -
乃南アサの描き方がすごい。
読んでるうちに感情移入どころか、その本人になってくる。笑笑
わたしはトワです。って。なる。ホントに。
とわになって物語に翻弄される。
知床開拓に来た家族の苦労話、苦戦話なんだけど。わたしが動き出す。夫や家族、バッタ、冷害その他いろんなものに振り回されて、それでも家族を守らんとして必死に生き続けるそのとわやトワのお母さんになってる。読んでる間は完全になっちゃうのよ。わたしを一人ここに残して、完全に『あんにゃは我慢しすぎるけぇ』とか呟いちゃうから。
もう、本を読んでるこのわたしすらトワでした。笑笑
人生の落ち込み、浮き、そしてまた落ち込み、それで少しづつ年を重ねていくそのとわの人生を自分の体で再体験するようなそんな一冊です。
乃南アサがすごい。ホント。ここまで引き込むか。
物語自体はさほどじゃないんだけど、歴史を追うような内容なのに、何故かわたしの目の前に大量のバッタが登場したりするんだ。
これ、乃南アサマジック。
凄まじです。 -
必死に生きる。とにかく生きる。生きていくために丁稚奉公に行かされ、親の決めた顔も知らない相手と結婚する。そんな生活がたった100年前のこの日本にも確かにあったなんて信じられないくらい時代は変化してきた。自分の欲を出せるような状況が何一つなく、常に大自然の厳しい寒さと戦い続けなければならかった時代に生きたとわ。それでも私は、とわは幸せだったと思う。
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ものすごい読了感だった。
便利な世の中になった今、森だった険しい北海道に身ひとつで開拓していく家族の一員であった、女の子、とわのお話。まず母親の目線から、娘の子供時代そして結婚・子育ての流れが、女性の一生を時代と共になぞるような構成で面白い。女は家、男は外、というジェンダーの役割分担がハッキリしていた当時の様子が、ひしひしと伝わってくる。淡々と話が進んでいくのがリアル。大好きだった男性と結ばれるでもなく、式で初めて顔を見た好きでもない男と家庭を持つところの葛藤とか。行動力も這い上がりたい!という強い志があるとわは、女性であるばかりに自分で新しい商売を始めることができない。ぐうたら旦那のいうことを聞かざるを得ない。これが、おばあちゃんたちの時代のスタンダードだったと思うと、今どれだけ変わったことか。これはどれも、とわみたいな、目立たないけど強い女性たちの、「子どもには味合わせたくない!」という気持ちの積み重ねから、昔に比べたら段違いに生きやすい世の中になってるんだと思う。現代のジェンダー・社会問題はまだまだ色々あるけど、とわみたいに、強く生きなきゃね。勇気が出る本だった。 -
知床を舞台に開拓民少女が過酷な自然、貧しさ、戦争を生き抜く
息子が小学生の時に自由研究でアイヌ文化を勉強していて、夏休みにアイヌを学ぶ旅で道東に行く前に一度読みました。
そして、知床半島の美しい知床連山と知床五胡に心を打たれながら、開拓民の壮絶な人生を思っていました。
再読し、また心に重く深く。
時代の流れと運命は受け入れ、その中で力強く精一杯に生きる、ということ -
素晴らしかった。 上下巻の大作なので読めるかなーと心配だったが、さすが乃南アサさん、グイグイ読ませる。2歳のときに家族と夜逃げ同然に北海道に入植した、とわの半生を描いている。開拓の苦労、貧乏暮らし、アイヌの少年との交流、12歳で奉公に出され、18歳で顔も知らない人のところへ嫁がされ、生活のために必死で働く。何のために生きているのかと自問しながらも強く生きていく。
戦争の部分は泣きながら読んだ。 -
戦中・戦後の北海道開拓史を、とわ家族を中心に丹念な自然・人物描写と独特の表現で綴られた作品。世の不条理や国策に踊らされる人々。それとなく挿し入れられた主義主張。端折れる部分もあるが、これはまあこれでいいだろう。
「だからせめて深呼吸の一つでもして、あとは時をやり過ごす。そんなときには、笑っているより他、出来ることもないと思う。だから何となく笑うようになったのかも知れない。」 -
主人公、とわの人生後編。戦火が激しくなり、生きろよ、なんとしても生きろ、と言った人たちが死んでいく。そんななかで思い通りにならない人生を、どう生きるのか。次の世代へとバトンを託す小説。
アイヌの文化を知りたくて課題図書的に読んだのだが、個人的には恋愛模様や人間の生き死にが、「こうなるだろう」と高をくくっていたところをみごとに裏切られて、読み終わって、もやついた。たぶん、理解するには今の自分では若いのだと思う。もう少し年を取ってから、もう一度読み直すと思う。 -
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最後まで暗い内容だった。終章で幾分明るくなったが。
大正から昭和、第二次世界大戦まで、北海道東部への入植者の苦労が描かれている。
暗いけど、面白く一気に読んだ。以前、吉村昭の赤い人という北海道樺戸刑務所の囚人が北海道開拓に一役をなしたという小説があるが、時代は赤い人より後になるが寒さ厳しき北海道東部の開拓本当に大変だったと思う。人間のすごさを感じるととともにそのような環境の中で、少しのことで幸せを感じるということに感動した。 -
三吉との恋愛がせつなかった。
いろんな意味で大変な時代だったと痛感した。 -
奉公から戻ったとわは、初恋の相手と再会するも嫁に行くことになる。
自分の気持ちも殺し、親の言うままに生きていかなくてはならない辛さや寂しさが伝わってきて切なくなる。
やがて母となり、更に強く強くなるとわ。
地のはてまでやってきた幼子の頃から母になるまでの壮絶な人生は、涙なしでは読み進むことが難しかった。
2015.2.2 -
下巻も引き続き、
不運が続く。
ただ主人公が大人になってきたので、
子供のときのような周りに振り回されるだけではないから、ちょっと穏やかに感じる。
個人的にはアイヌの男性との恋物語が
気になったが、結末はなくても良かったような。想い出はそのままキレイであってほしい、私の願望か(苦笑)。
いい後味が残る大作でした。 -
大正の初期に知床の地に入植した一家の娘「とわ」を主人公にした一代記。「おしん」のオンエアは見ていないが、さながら知床版「おしん」と言った感じの苦難の歴史。
これが私の父と10歳程度しか違わない世代の物語とは到底思えない。
「生きること」を真摯に問う長編小説。 -
オホーツク海、原生林に覆われた極寒の地・知床。
アイヌ語で「地のはて」と呼ばれたこの地に追われるようにやってきた開拓民の家族。そして少女とわの物語。
「とにかく生きる。生き抜くんだ」
生が凝縮された一冊。 -
26.02.2014
上巻の一家の移動が想像しようとしてもしきれないほど気の遠くなるもので、読み終わった今も思い出す。荷車、汽車、船、そんなに昔じゃないのに途方もない移動をしていたのかと思うと胸が苦しくなるほど。
とわの生き方は強くて逞しくて、いつか幸せにと願ってしまう。きっとこんな女性がいたのだろう。
重いけど、読み応えのあるいい小説。 -
つい70~80年前は、男も女も金持ちも貧乏人も自由に思い通りになんか生きていけなかった。もちろん、今の平成の世の中でも、人生が100%思い通りいくわけじゃない。だけど、とわさんたちに比べたら、私たちは限りなく自由で、生きるため以外のことに気持ちや時間をさける豊かさがある。与えられた状況の中で精いっぱい踏ん張り、「生きるために生きる」ひたむきさにはすがすがしさを感じたけど、やっぱり自分で自分の人生を切り開いていける環境、時代、そして教育に感謝。
そして三吉さんが、なぜどうしてどういう経緯でああなってしまったのか、そこが、続編みたいな形で語られたらいいなーなんて思ってしまった、悲しい話にしかならないのかもしれないけど。
著者プロフィール
乃南アサの作品
