プールの底に眠る (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 491
レビュー : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775021

作品紹介・あらすじ

夏の終わり、僕は裏山で「セミ」に出逢った。木の上で首にロープを巻き、自殺しようとしていた少女。彼女は、それでもとても美しかった。陽炎のように儚い1週間の中で、僕は彼女に恋をする。
あれから13年……。僕は彼女の思い出をたどっている。「殺人」の罪を背負い、留置場の中で――。誰もが持つ、切なくも愛おしい記憶が鮮やかに蘇る。

――「プールの底から何が見える?」という好奇心から石川県へ。金沢21世紀美術館に「スイミング・プール」という体験型の作品があります。一見したところ普通のプールに見えるのですが、強化ガラスの上に約十センチの深さの水が張られているだけで、なんと、ガラスの下には部屋があるのです。
その部屋から水面を見上げると、上のプールサイドでこちらを覗き込んでいる揺らめく人影が見えます。水面の揺らぎに反射した日の光が溢れるプールの底で、この小説のイメージが湧きました。泳げない高校生のお話がふと。と言うのも、私が全く泳げないからです。猫と同じくらい水が苦手。
だからプールにはコンプレックスがあります。学校の水泳大会で泳げない生徒三人だけのビート板レースがあり、それは苦い思い出の一つ。プール・コンプレックスから小説が一つでき上がったからって、都合よく思い出が美化されません。今でも苦いまま。
そんな鬱積した気持ちが生んだ小説を読者がどう読むかは自由です。好きなように読んでください。ただ、ご存知のように小説はフィクションなので、作中にある迷惑行為を現実ですると、こっぴどく怒られます。そして回り回って私も怒られてしまうので、ご遠慮くださいませ。 (ノベルス新刊刊行時著者コメント)

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭のイルカとセミのやりとりは、正直「なんじゃこりゃ?」と違和感だらけで、読み進めることに不安を感じてしまいました。が、最終的には半日で一気読みしてしまったほど、本作に没頭させられてしまいました

    その魅力が何なのかを一概に言い表せないのですが、キャラの特徴や性格などを少しずつ少しずつ積み重ね、知らぬうちに読み手にその存在を理解させるところがその一端なのではないかと思っています。

    それを痛感したのは、終盤の「今度こそ○○」というひとこと。たったこれだけで「あ、アイツだ!」と連想できるほど、登場人物の特徴を脳内に植え付けられていたんだと気づきました。

    この辺りは同じメフィスト賞作家の辻村深月氏に似ているように思います。作風的にも(以前読んだ「私を知らないで」も)初期辻村作品に近い青春ミステリだったことから、非常に良く似た“匂い”を感じました。

    「私を知らないで」は同じ青春ミステリでも甘酸っぱさよりは“苦み”が強い印象でしたが、本作はかなりハッピーな気分で読了出来ました。終章の途中までは少し落ち込みましたが、最後の最後での大逆転で「キターッ」的なハイテンションに。

    久々に夢中にさせられた作品でした。

  • 由利じゃないのか。

  • 第42回メフィスト賞受賞作。

    ミステリーなのか青春なのか恋愛なのか、分類しきれないところがメフィスト賞らしいな。メフィスト賞は当たりが多くて好き。

    白川三兎は二冊目。「私を知らないで」が良かったので、デビュー作である本作を読んでみたけれど、何となく既視感が…。温かい気持ちになれるラストシーンは良いなと思った。

    辻村深月のような構成で、辻村深月の登場人物より厨二秒っぽい感じの登場人物で、残酷さを排除して軽くした感じ。ライトノベルっぽい。


    *以下引用*

    *人間を深く愛せる者は、自分にも他人にも非情になることができるんだよ。それは仕事でも実生活においても、一番大事なことなのだ。 (p304)

  • うーむ。前半から中盤までの勢いが、現在のパートになってからガタ落ち&主人公の内面の暗さが鬱陶しいくらいに倍増し、読んでいて重苦しい気持ちにさせられた。
    ミライではなくセミに対する執着心も物凄く、出だしのサラッとした性格から一変して怖いぐらい粘着体質へと変貌。
    過去パートの軽快なリズムが本当に嘘のような感じ…

    明らかに由利のその後が足りない不完全燃焼な作品で、どんでん返しもなく「へぇ~」って終わり方でした。
    由利のその後や視点から描いた、スピンオフ作品でも書くつもりなのでしょうか?

    断然、私を知らないでの方がイイ。

  • 白河三兎の創る物語の読後感が好きだ。

    少しの痛みと甘さを伴った余韻がたまらない。
    いつか経験したあんなことやこんなことも思い出させられて、にやりとしたりドキッとしたり。まさに「切なさの魔術師」の名のとおりに読者はその魔法にかかってしまうのだ。

    「私を知らないで」を読んだときも思ったが、作者は東急田園都市線の沿線で生まれ育ったんだろうな。なんとなく親近感が沸いてしまう。

    台詞のキレも、物語のテンポも、深刻になり過ぎない心理描写も言うことなしだ。
    メフィスト賞作家に外れなし。

  • この春樹的な語り口調とか、回りくどい説明とか、お洒落な言い回しとか、嫌いじゃないよ!

    でも結末がちょっとなー。
    もうちょい捻った展開を期待してた。

    作中一番好きなキャラクターが由利だったからかも。

    愛とはなんてままらないものなのでしょう。

  • ああ白河作品と思いました。辻村作品から自意識過剰を取り除いて前向きさを足した感じで読後感は良いです。

  • セミが「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」のもくず(だっけ?)に似ている気がした。
    ストーリーとしては一見めちゃくちゃなんだけど、心をぐちゃぐちゃにかき回されて、最後はスッと終わるというのが気分いい。
    ミステリーっぽい要素も含んでいると思う。
    由利はその後どうなったんだろう。

  • 最近話題の白河三兎デビュー作。
    母子家庭、完璧な美少女、希薄な主人公。
    ここらへんはなにかしらの一貫性。コンプレックスを感じる。
    私を知らないで、もこれの焼き直し感があったり。
    どうしたいんだろう。
    まだうまく書けるだろう。

  • まぁまぁ

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著者プロフィール

2009年『プールの底に眠る』で第42回メフィスト賞を受賞しデビュー。『私を知らないで』が「本の雑誌」増刊『おすすめ文庫王国2013』にてオリジナル文庫大賞BEST1に選ばれ、ベストセラーに。他の著書に『ふたえ』(祥伝社文庫)『ケシゴムは嘘を消せない』『もしもし、還る。』『小人の巣』『田嶋春にはなりたくない』『十五歳の課外授業』『計画結婚』『無事に返してほしければ』などがある。

「2020年 『他に好きな人がいるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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