- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062775045
作品紹介・あらすじ
昭和三年六月四日未明、張作霖を乗せた列車が爆破された。関東軍の暴挙に激怒した昭和天皇の密命を受けて、若き軍人が綴った「満洲報告書」で明かされる「真相」とは? 該博な知識と丹念な取材に裏打ちされた浅田史観で、闇に葬られた昭和史最大のミステリーを追う。絶好調『蒼穹の昴』シリーズ第4部。(講談社文庫)
感想・レビュー・書評
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23.09.06~23.09.18
真実ってどこにあるんだろう。どれが真実なんだろう。
正義って何だろう。
人によって、立場によって、異なるのはわかる。
でも、それを自分の身に都合のよいように解釈するのは、どうなんだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
行こう、雨亭。鉄路はどこまでも続いている。皇帝でも総欖把でも大元帥でもない永遠の少年を乗せて、私は走りたい。それこそ鋼鉄の公爵の名にふさわしい、栄光の旅だと信ずるから。
張作霖が爆殺されてから一年後、昭和天皇の密命を受けてなぜ彼は殺されたのかを探る軍人の報告書と、彼を乗せた豪華機関車のモノローグが交互に挟まる蒼穹の昴シリーズの10巻目。巻を増やすごとに面白くなっていきます。
吉永中佐が大好きです……当時からこうやって引き裂かれた人はたくさんいたはずなんだ……雨亭が中佐に最後にかけた言葉も好きです……
どうか最終章まで読んでいただきたい……あの「ああ……」としか言えない感覚を多くの方に味わっていただきたいです。 -
いやぁ、昔の日本よ、なんてことをしてくれちゃったんだよ…と改めて思った。
この当時の情勢や出来事についてはまだまだ無知ではあるけれど、超えてはならなかった一線を越えてしまったんだということはわかった。
このシリーズを学生の課題図書にしたらいいのに。小説とは言えど、歴史を振り返り、調べ、検証し、今後に活かすきっかけになるのではないかと思う。 -
本作といい『珍妃の井戸』といい、
このシリーズ幕間の作品は他国の侵略という目線が大いに採用された中国近代史になっています。
そのぶん日本人としては読むのが辛い……
これはフィクションだから史実と混同してはいけないのだけれども、
フィクションは時に史実より雄弁にわたしたちへ語りかけてくるなあと、それが文学の力だなとこの頃思います。 -
シリーズ4作目。
張作霖の爆殺事件の真相を語る物語。
その語り部は、天皇から調査を命じられた主人公の天皇への報告書(マンチュリアンレポート)と爆破された機関車(擬人化された機関車)が交互にストーリを語っていきます。
擬人化された機関車が語り部とはさすが浅田次郎と思いました。(でもかなり違和感あり)
さらには、最後に真相を語る吉永中佐。
そして、マンチュリアンレポートの第7信。
正直、技巧に走りすぎでは?って思います。
そうはいいながらも、今までの背景を知っていると、じんわりと悲しみが押し寄せます。さらには張作霖の覚悟と生き様に心揺さぶられます。
これは、本作だけを読んでもきっとつまらないでしょう。中原の虹から読まないとその感動は味わえないと思います。
いくつか、いくらなんでも!!っていうところがありましたが差し引きしても中原の虹の続編としては満足です。
しかし、さらにその先を知りたくなりました。
これまた、続きがでるのかな。その辺期待しちゃいます! -
「蒼穹の昴」から続きシリーズ4作目。
張作霖爆殺事件の背景を紐解いていく内容。
一冊なのですぐに読み終えてしまうが、中国近代史に興味を持つのにはいい本だと思う。
史実とフィクションが入り交じっているので、どこかでが史実なのか興味が出てきた。というか、そもそも史実が真実かは不明なので、これを正とするというのもいいのかもだけど。
そして、やはり張作霖はかっこいい! -
浅田次郎の「蒼穹の昴」シリーズの第4弾。蒼穹の昴に対して「珍妃の井戸」が補足する役割だったように、本著は「中原の虹」のその後を補完。昭和天皇から張作霖爆殺事件についての調査の密命を受けた陸軍少尉の報告書と、爆殺時に張作霖が乗っていた列車(西太后のために英国から特別に購入したもの)の機関車「鋼鉄の伯爵」の独白が交互に続く構成。少し変わった趣向で、これまでのシリーズをずっと読んでいる身からは、やや違和感はあります。
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本作を読む前に、「蒼穹の昴」、「珍妃の井戸」は読んだが、「中原の虹」は未読。読まなくちや。
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「蒼穹の昴」シリーズ第4弾。
「満州報告書」
張作霖を乗せた列車爆破の真相は‥。
つらくて悲しい時代なので、読んでいて苦しかったです。
どうして止められなかったのか、どうしてこういう流れに流されていってしまったのか。
いくつかのリポートの間にある、爆破された蒸気機関車の生い立ちと思いが、悲しみを深めます。
そして4作通して生き抜いていく西太后に仕える宦官・李春雲の人生を思うと心が締め付けられます。
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天皇の命令で、張作霖の暗殺の真相を探るべく満洲へ向かった主人公。調査の過程を天皇へのレポート形式で綴るとともに、暗殺に利用された機関車が語る。
なんでこの形式にしたのかが疑問。凝った設定ではあるが、創作感が強すぎてファンタジーに感じられてしまう。蒼穹の昴焼き天上の虹が非常に良いので、そのシリーズとしては残念。