嫁の遺言 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.20
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本棚登録 : 108
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775229

作品紹介・あらすじ

こんな話にいま出会いたかった――。期待を集める新進女性作家が贈る珠玉の七篇。

表題作の「嫁の遺言」を読んで“おもしろかなし”と声が出た。「おかえり、ボギー」を読んで今度は“かなしおもしろ”と思った。人生はこのふたつでしかり。見事な短編集である。――伊集院静氏

この短編集は、作家、加藤元の大いなる宣言だ。ちいさく、みみっちく、弱くてずるく、それでいてたくましい、人の姿と営みをあますところなく書いていくのだという、力強い宣言である。――角田光代氏

満員電車でふと自分の手に触れた冷たい手。間違いなく、それは、38歳で死んだ嫁の手だった。生前からちょっと変わったところのある女だった嫁が、どうしても伝えたかったこととは――。
不器用だけれどあたたかい人情に溢れ、人間がいっそう愛おしく思えてくる全7篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 小説現代2009年10月号、2010年1、2、4、8、10月号、2011年2月号掲載の7つの短編を2011年6月に講談社から、刊行。2013年4月講談社文庫化。「嫁の遺言」が、ファンタジーぽく良い話で、辛辣さが無く、楽しめました。

  • 死んだ妻と残された夫、互いに一番目だった初恋の相手、母が一生大事にしている思い、娘を思う不器用な父の愛、不幸になるとわかっていながらそばにいたいと思う気持ち、離婚して手放した娘への母の思い、不器用で意地っぱりな娘の幸せを後押しする父の愛。7つの短編は、どこにでもある市井の人々の人情や思いやりを、軽い笑いで包みながら描き出す。
    笑って泣ける、泣けて笑える、そして読後にさわやかな余韻が残る物語。読んだ人それぞれに一番好きな作品があるような、珠玉の短編集。
    もっとカトゲン作品を読みたくなった。

  • 短編集。すらすら読めるが、ベタでオチが読めてしまう展開が多かった。身近にある、誰もが体験していそうなちょっとした後悔や不器用さが印象に残った作品

  • すとんと腑に落ちる。
    悲しくも不思議で、どこかあたたかい。

    的確なことばづかいで読みやすく、やさしい気持ちになれる短編集。

  • 一編を読み終えた後の余韻。これが何とも良い。読後感では無く余韻。その中には啓蒙、押し付けは無く、派手な多幸感も無い。それでも素晴らしく良い。何だろこの感覚は?もちろん心地良いのは確かだ。それは読了後からずっと「カサブランカ・ダンディ」の鼻歌が止まらない僕の口が証明している。

  • 不器用だけど、人間味溢れる人々のちょっといい話ばかりを集めた珠玉の短編集。
    登場人物の個性になんとも味がある。まるで古典落語の世界のようだ。街の匂いや人の匂いが文章から漂ってくる。人間描写の巧さは特筆である。
    お気に入りは「おかえり、ボギー」。こんな泥臭い純愛ストーリーは今時流行らないかもしれないが、この気持ちは日本人しか持てないだろうし、理解もできないだろう。ジュリーの「カサブランカ・ダンディー」って、この世代は絶対真似したよ。

  • 華々しいハッピーエンドはない作品集。
    そこはかとなく、不幸せ感が漂うが、不幸なのかというとそうでもない。
    人はそれぞれ、様々な価値観で生きているのだ。
    『あの人への年賀状』が、一番好き。

  • 良いお話でした!
    良いお話が7つ入っています!
    例えばレストランで美味しいサラダが7種類出てきたら、後半イヤになりますよね!

    正直、そんな感じでした

    読むの飽きてくるの!

    でも、不器用だけど人情味溢れ、人間が一層いとおしく感じる7篇が入っていると、帯には書いてありますから。。。

  • 人の気持ちって、そう簡単にはわからないものだし、また逆にそう簡単に気持ちを伝えられないものだよなぁ…と思ってしまう短編集。
    味わい深い話も有。

    2014.3.21

  • あとがきによると大人向けの『おとぎ話』を書きたかったと書いてあった。ある程度の大人なら、きっと経験した事があるだろう人生の哀しいシーンをテーマに書かれた短編集である。

    表題作の『嫁の遺言』は、嫁の死で、僅か三年間で結婚生活を終えた男と嫁の物語。残された男の胸に小石のように残った嫁の遺言…

    個人的には『あんた』と『窓の中の日曜日』が良かった。『窓の中の日曜日』は自分の過去の経験と重なるものがあり、涙腺が緩んだ。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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