水魑の如き沈むもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.92
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本棚登録 : 435
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (768ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775250

作品紹介・あらすじ

第10回本格ミステリ大賞に輝く刀城言耶シリーズ第5長編。奈良の山中の村、水神水魑様の儀式の最中、事件は始まった!

感想・レビュー・書評

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  • 波美地方の四つの村が舞台のホラーミステリ。毎回よくまあこんな前時代的鄙村や祀りを考えるなぁと…。
    いつものような可能性を消していく犯人探し、正直思いもよらなかったのでビックリだった。

  • このミスベスト10、2011年版7位。
    この人の読むの3冊目。ホラー感満載の本格推理。京極さんぽいけどもう少し粗削りというか稚拙というか。途中の展開とかドキドキして、そんなに悪くないんだけど、いつも終盤が好きになれない。主人公の探偵さんが推理の過程を公開しながら解決していくんだけど、全て矛盾なく説明できたと思ったら、そのすぐ後、それを否定する事実(目撃証言とか)が判明して、それじゃ別の人が犯人だとかいうのが繰り返されるのが特徴。やっぱそこがいまいちなんですわ。どんでん返しの大安売りで、ほとんど誰を犯人にしてもストーリーが成立しちゃう感じがするのが、余詰めだらけの詰将棋みたいで美しくない。ちゃんとした核となるトリックもせっかくあるんだけど、それがないがしろにされるというか、どうでも良くなってまう。本格の悲しさか人物描写もちょっと薄っぺらいし、途中でつきあうのがしんどくなってきて、もう、勝手にやってよ状態になる。ほいで、結局どんな話だったっけとトリックやストーリーが思い出せなくなっちゃいます。あと、やっぱり長くて時間かかるのが一番いや。でも、皆さんの評価は結構高いんですよね。

  • 刀城言耶シリーズ最長編で最も面白いと評判が高く、本格ミステリ大賞を受賞した作品。・・・ということでとても期待していました。好きなシリーズだけに大変楽しみでした。
    が、あれれ。
    実際に蓋を開けてみると、どうも勝手が違う。たしかに面白いしよく出来ているとも思うけど、どこか薄い。どこかライト感覚なのです。読みやすいけど中毒性はない、といえばいいのか。
    自分なりに理由を考えてみた。

    ※以下、ネタバレはしませんが小説の内容に若干触れています※

    1、「厭魅」「首無」「山魔」にあるような圧倒的な怖さ=ホラー要素が薄い。常識ではあり得ない設定ともっとあり得ない人物造形にもかかわらず(笑)、そういう世界が世の中のどこかにあるのかもしれないと思わせる、読者をねじ伏せて納得させてしまう強さ、魅力にやや欠ける。
    2、厭魅(まじもの、カカシ様、ナガボウズ他)は文句なしに怖かったし、首無も山魔も夜中にトイレに行けなくなる!的な(笑)昔ながらの怪談としての薄気味悪さがあった。正体の知れない邪悪な何か。人間を襲う何か。それが水魑(ミヅチ)にはない。因習の村を覆う大いなる悪しき影のような存在であるはずなのに、怖さが足りない、弱いのではないかと思う。
    3、三津田ワールドの昭和であり、都市部から隔絶された超田舎の山村であり・・・という前提条件をもってしても、警察の介入を拒否する長老と、彼の脅しの手段、かつそれに屈してしまう周囲(刀城言耶含む)の言動があり得ない。どうしても警察を排除するなら別の方法を考えるべきだったと思う。
    4、このシリーズの弱味は、常連キャラに個人的な魅力がないこと。探偵役の刀城ですらキャラが十分に定まっていないし、あまり魅力的ではない。彼は狂言回しとして優秀だし読者の反発を買うタイプではないから「問題がない」という程度。不幸にもこの作品は、他の二人のレギュラーの会話から始まる。阿武隈川烏(刀城の先輩)と祖父江偲(編集者)の二人に人間的魅力があれば楽しいのだろうが、二人とも人物造形にリアリティがなく一面的。ヘタなラノベ以下のキャラづけしかされていないため、第一章のもたつきが半端なかった。
    以上、書き殴り失礼。
    文句ばかり書きましたが、本棚を見ればおわかりのとおり私はこの作者のファンなのです。この人の編み出す異様な雰囲気、ホラー要素に満ちたきっちりミステリ、そこが好きなのです(ホラーが好きなのではない)。それだけに今回は肩透かしを食らった気分でした。
    おかしい・・・(笑)。
    なんでこれが彼の最高傑作とか呼ばれるんだ。
    謎である。

  • 久々の、そして待望の、刀城言耶シリーズ。
    731ページもありましたが、2日で一気に読んでしまいました。

    シリーズものではありますが、読む順番は関係なく、しかも、単独でも楽しめるという、嬉しい構成は相変わらずです。
    とは言え、今回、「さぎり」という名の女性が登場するので、過去の作品を読んでいると、より、面白いかもしれません。

    今回は、衆人環視という密室状態の湖で起きる殺人に始まる、連続宮司殺人事件や、それに関係する諸々の謎を解決します。
    人間による事件も勿論とても面白いのですが、今回も、科学では解明出来ない事象の描写が凄まじくて、そちらも、とても楽しめました。

  • シリーズ物らしいが一巻が図書館で借りられていたので適当にこちらを手にとった。この作者の本は初めて読んだ。
    ところどころで語られる民俗学的なうんちくは面白いが何しろ主人公とヒロインのキャラ付けが安っぽすぎる。これで話も安っぽければまあそういうもんかですますが、主人公たち以外ではそれなりに人情の絡むドラマが展開されているだけに、なろう小説にでも出てきそうなバカっぽいヒロインのキャラが浮いている。おかげで肝心の謎に集中できない。砂のジャリジャリするアサリの味噌汁を飲まされた気分だ。

  • 方言が読み辛かった。
    土地の人が独特の言葉で喋るのは、土地の閉鎖性がよく表れ、日常からの乖離を表現するのに効果的な手法であることは間違いない。「~するけ」「~せんけ」と、語尾に「け」が付くのが波美地方の大きな特徴らしい。読み難いと騒ぐ程の方言でもないのかもしれないが、全731頁を通してこの方言に揉まれると、感想は違ってくるはずだ。

    水使龍璽に嫌悪感止まず。
    波美地方を統べる4つの神社の総大将が水使神社の現宮司である水使龍璽である。傲慢でひねくれていて、底意地の悪い老人である。人の上に立つ者こそ物腰低くしなければならないのに、絵に描いたような意地悪じいさんだった。こういう典型的な悪意をスルーできず、いつも典型的な悪役にまんまと感情を掻き乱されてしまう。呪詛の言葉を吐きかけながら進んだが、あまりにもあっけなく舞台から退場した(笑)

    後味は悪くないが、さて。
    結局、世間的には真相は闇の中。鉄砲水で大きな被害を受けた波美地方だが、水庭遊魔や水分芥路ら新たな世代が残留した事で、何とか消滅は免れた。悪が潰え、良心的な人物が残った事で、やや民主的な村になりそうだが、依然として閉鎖的な村環境は変わっていない。薄気味の悪い儀式の真相も分かった上で、尚もその雨乞いの儀式を継承していく理由とは何だろうか。後々、その村がどのような道を辿っていくのか、今後の作品でまた触れられる事を願う。


  • 20200727 読了
    ☆3.7評価で四捨五入☆4つ
    言耶シリーズ第5作目(本格ミステリ大賞受賞作)

    覚書(目次)
    阿武隈川烏、水魑様を語る  
    祖父江偲、一つ目蔵を恐れる
    記憶  帰郷  刀城言耶、波美の地を訪れる
    牢獄  秘密  鬼女  水使龍璽、怒髪天を突く
    髪男、水魑様の儀に死す  沈深湖、密室と化す
    一つ目蔵、正体を現す  代替  
    水魑様の花嫁、姿を消す  
    神男連続殺人、ついに起こる  囚人蔵、人質を呑む 
    幽閉  神男連続殺人事件、更に発生す 
    刀城言耶、事件の解釈を試みる 水魑様、全てを喰らう

    長編にありがち?な読みにくさは全く感じなかったが、
    蛇棺葬&百蛇堂に比べたら、ホラー要素が少な目。
    (この↑2巻が最強すぎるせいもあるw)

    眼鏡を新調しないと文庫本が読めない~><状態から
    試しに毎日、生ブルーベリーを食べていたら視力復活!
    先週末は久しぶりに読書三昧。

  • 6

  • 真犯人はあっちだと思ってたので検討会でどうして気づかないのかと苛々した。いつも驚かされる終盤のどんでん返し祭りも、薄々気づいていると苛つくだけだった。
    と、思いきや…の真相だったので大満足。私ごときで分かるような仕掛けじゃなくて安心した。最後に残るのが、珍しく怪異じゃなくて復興を目指す人達なのがジーンときた。世路さん…。
    こう言ってはなんだけど、言耶以外のレギュラーメンバーは邪魔しかしないレベルなので単独で活躍してほしい。

  • 『サギリ』と来て、主人公がピンとこないところを見るとまだシリーズ一作目の前日譚なのかな?

    と、
    それはさておき、このシリーズ、怪異的なものは沢山出て来るものの実はそれが犯人の意図したトリックの一部だったり、たまたまそう見えてしまった結果だったりと最後の解決編で説明なり回収なり解明出来ることが殆どで、本当の怪異のありかは大団円のあと、最後の一頁でまさにゾッとさせられるという流れが確立されていた…が、今回は異例の非常に爽やかな結末。 


    アレ? と思いつつ、回想してみると…あるじゃない!
    未解決の案件! 少年の見聞きは霊感体質の彼特有のものとして、冒頭の主人公によるお馴染みの覚書でも触れられている主人公と霊感少年以外に一章がマルっと主観表現で綴られている人物! そしてカノジョに起きた怪異! あれは何? 誰?

    最後に『異例』と記したけれど、この結びは個人的には大好物! 残った人たちには末永く幸せであって欲しいな。

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著者プロフィール

2001年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。10年『水魑の如き沈むもの』で第10回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、映画化もされ話題を呼んだ『のぞきめ』、『禍家』『凶宅』『魔邸』からなる〈家三部作〉、『黒面の狐』『わざと忌み家を建てて棲む』『忌物堂鬼談』など多数。

「2021年 『死相学探偵最後の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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