- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062775403
感想・レビュー・書評
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若様組が巡査になるまでの話。
うんうん、リズムいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アイスクリン強し、からのシリーズ。明治というどこかアンバランスさを感じる時代を生きる人達を描くやはり好きな話。
軽快な文章に先先読ませるストーリー展開、人物が生き生きと動く様にまたこのメンツで次作があれば読みたいと思わせる。 -
若様組が主役のスピンオフ作品。
アイスクリンの方が好みかな。 -
アイスクリン強しの前日譚...おもしろかったー。長瀬さんすてき
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本を閉じた瞬間「うん、面白かった」て口を突いて出た。ので、これはイイモノ。
幕府が倒れた後、己とその家族の為に警察官を目指す事にした若様達の教練所での生活と、それに絡んで起きる事件についてのアレやコレや。
とにかく登場人物が多いので、最初はメインの子達の名前と出自を一致させるのに一苦労であった。
畠中さんらしい素直で柔らかい文章なので、これはこれで本当に良いものなんだけど、これ、コミカライズしたら楽しかろうになぁ。
本編と言うか、大元はこちらの話の主役である若様達の友人として出ている、菓子職人を目指す真次郎が主役の本があるのですね。
そっちも機会があれば読んでみたい。 -
畠中さんは、しゃばけシリーズが最初の出会いで、以降見つければ買う感じ。
易しく柔らかい文体で、とっても場景深く分かりやすいのに、しっかり残るのが好き。癖になる。
続編ですが、過去話なので、単体で読んでも、こちらを先に読んでも問題ないと思います。
江戸が終わり、明治の世になり20年。世が世なら「若殿様」と呼ばれたであろう坊っちゃんたちが、警官になるべく切磋琢磨し、挙げ句事件を解決する騒動記です。
リーダー格の長瀬率いる若様組、薩摩から来た若者たち、士族、平民出の者たち、若様たちの知人と、登場人物はすこぶる多いのですが、ワクワクしながらページ進めていけるので、意外と頭に残ります。
キャラクターも魅力的。
根っからのリーダーである主人公長瀬くんや、冷静沈着な参謀タイプの福田さん、今回は何かと暗躍してくれたミナこと皆川くん、そして個人的に大好きな、恐ろしく美形で武道の達人なのに、すぐキレる園山さん!
映画やアニメになっても、見栄えしそうだなーと思います。
いつも終わりかたに余韻があって、とっても好きです。 -
江戸時代を舞台にしたファンタジー小説『しゃばけ』シリーズの作者、畠中恵。
この作家さんが明治時代を舞台に描いた小説が、『アイスクリン強し』。
西洋菓子作りにいそしむ主人公の友人として、作品のなかで存在感を放っていたのが、明治の街を守る巡査たち。
今回は、その巡査たちが主人公になった作品です。
時は明治20年。
かつての幕臣の当主の息子で、”若様”と呼ばれる20歳前後の若者たち。
しかし時代は変わり、禄がもらえなくなった家で、まだ残る元家臣たちを養わなければいけない年代へとさしかかります。
人生の岐路に立った彼らが、リーダー格である長瀬の発案で、巡査となるべく、開設された教習所に通うことになります。
教習所に集まってきていたのは、官軍側、元町人などなど、出自様々な個性的な面々。
さらにはクセのある、教習所の所長、幹事(教頭)、そして教師陣。
このようなメンバーの中で当然のように起こる、諍いの数々。
教習所を無事に卒業するために奮闘する、長瀬をはじめとする若様たち。
そして全編を通じてからんでくる、ピストルに関する事件。
これら大波小波のストーリーが、作者独特の優しいタッチで、描かれていきます。
明治を舞台としたミステリーとして楽しめる作品なのですが、それ以外にも、
・江戸時代と維新時の影響が交錯する、身分間の微妙な関係
・立ち上げ初期の、警察官養成のしくみ
などが伺えて、興味深く読むことが出来ました。
シリーズものなので、登場人物の”キャラクターだのみ”の匂いも感じますが、そのなかでストーリーや時代背景を楽しませてくれるというのが、この作家さんの一味違うところですね。
今回もいっきに、読み進めてしまいました。 -
江戸の流れがまだ身分には残る明治維新から20年の世の中で理不尽なことや自分ではどうしようもないことと向き合いながら生きていく道を探していく若様とその仲間たちがすごく好きです。
今の世よりも自分ではどうにもできないことも多く、親や周りから期待も大きい、その中での恋模様は切なく、普段の生活は厳しい。
でも、それでも必死に楽しく生きていく姿がとっても、羨ましく愛しいなと思いました -
明治二十三年、ミナこと皆川真次郎は西洋菓子店を開いた。店には、旧幕臣の「若様組」の面々や、女学校に通うお嬢様・沙羅が甘い菓子と安らぎを求めてやってきた。その少し前――。徳川の世であれば、「若殿様」と呼ばれていたはずの旧幕臣の子息・長瀬とその友人は、暮らしのために巡査になることを決意。今は芝愛宕の巡査教習所で訓練を受けていた。ピストル強盗の噂が絶えない物騒な昨今、教習所でも銃に絡む事件が起きた。若様組の他、薩摩出身者、直参で徳川について静岡に行った士族たち、商家の子息たち、さまざまな生徒に、何やら胡散臭い所長や教員を巻き込んで、犯人捜しが始まる。大好評『アイスクリン強し』の前日譚。
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連作短編かな、と思ってましたが、長編でした。
それぞれの章の描写が面白く、また、作者らしくあたたかく、その描写で読み進めました。ストーリーの展開はゆっくりで、まぁ、その分、主要な登場人物をじっくり書き込んだっていうことなのでしょう。なんだか、この登場人物たちなら、もう少しストーリーがテンポよく進む連作短編の方があっているような気もしました。
読み終わった直後、棚から「アイスクリン強し」を引き出し、再読しています。