夜宵 (講談社文庫)

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レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775434

作品紹介・あらすじ

大晦日までの僅かな期間にだけ立つ「細蟹(ささがに)の市」。そこで手に入らないものはないという。 ある者は薬を。ある者は行方不明の少女を。ある者はこの世ならぬ色を求めて、細蟹の市へと迷い込む。 異形の者たちが跋扈(ばっこ)する市で、市守りのサザが助けたのは記憶を喪った身元不明の少年・カンナだった。呪われた双子の少女は唄う。「ああ、不吉だ、不吉だ」「おまえがもたらす流れ、その循環は、混沌を呼ぶわ」……

感想・レビュー・書評

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  • 湖に浮かぶ小島で冬の夜にのみ開かれる細蟹の市。
    この市で買えないものはないという…。

    閉鎖的で異質な空間に集まる不思議な人々。
    少しグロテスクで恐ろしいのに、
    何故か耽美で刹那的で惹かれてしまう。
    夜、雪、血、林、篝火…
    暗い暗黒の世界のようにみえて、
    はっきりと脳裏に色が浮かび上がる。
    この世界観はかなり好きかもしれない。

    私もすっかり騙されていて、
    途中で「え!?そうだったの?」と驚き、
    読み終わってから再び冒頭に戻った。
    真実を知ってから読むと、また新鮮だった。

  • 最初のチョコレートスープから一気に世界観に引き込まれた。
    和洋混ざった不思議な世界に浸れるだけでなく、最後のトリックが明かされてから、もう一度初めから読み返すと同じ文章が全く違うように感じられ面白かった。
    しかしまだ、細蟹(=蜘蛛の糸)の市というだけあって、もやもやすること、気づいていない伏線がありそうな雰囲気。
    そこがまた、この世界観と合わさって妙な後味がある。
    続編があることをさっき知ったので、読んでみたい。

  • 出だしの「チョコレートスープ」の印象が強烈。
    不穏な歌だとは思っていたけれど、流石にそんなとんでもないスープだとは思いもよらなかった。
    表紙のファンタジー感は何だったのかと目を疑うほど、気持ち悪い、絶対に飲みたくはない一品。
    サザが登場するとはいえ、主人公らしきカンナに関わる話でもなしに、何でこれを最初に持ってきたのやら…
    と思いながら読み進めていたのだけれど、結末まで読み終えてから、違った意味で「チョコレートスープ」にガツンと頭を殴られたような気がした。
    サザを知る前と知った後では、同じ話でも全く違うものに見える。
    まして、サザにとってのカンナはいかほどの存在だったのか。
    「チョコレートスープ」を思えばもう一度読むのは遠慮したいはずなのに、再び細蟹の市の経と緯の糸の上に足を踏み入れずにはいられない、恐ろしくて、美しくて、悲しい物語だった。

  • 湖に浮かぶ小島に今年も市が立った。
    “細蟹の市”には、何でも売っているらしい。
    合法・非合法、本物・贋作、お宝・珍品、生死の区別なく人間さえも。
    売っていない物はないとまで言われる異形の市には、今日も誰かが迷い込む…。

    市にやってきた者の話と、市の治安を守る者の話とが交互に語られる連作幻惑ミステリー。
    ダークファンタジーといったところでしょうか。不思議な話が好きな方におすすめの一冊。
    えぐみが少ないので読みやすく、ミステリ要素も楽しめる。「ほほう」と唸る読後感です。

  • 恒川光太郎さんの「夜市」を少し若者向けにしたような感じがする。基本的にこういう余韻が残る話は好きです。チョコレートスープはいまいちだったけど、その後は良かった。
    サザが女性だったのに驚いたのは絶対私だけではないはず!

  • 無理。面白くない。

  • くらいジブリ映画のようなほん。

  • 湖に浮かぶ小島で毎年開催される細蟹の市は、何でも売っていて手に入らぬものはない、という舞台設定のダークファンタジー。
    ホラー的要素の中に感情に訴えるストーリーはそれなりに魅力があるものの、世界観をもう少し深く作り込んで欲しかったかな。
    ある意味で本書の肝である叙述トリックには、まんまとしてやられました。
    まだ続きがあるようなので、この先に期待して読んでみよう。

  • そういう話だとは思わずに読んでいたから、ラスト、不意をつかれた。。世界観だけではなく、そういう楽しみもあったのか。
    限られたキャラクターしか出てこないが、それぞれがこの世界に合っていて、より濃く世界を印象づけている。こういう異世界の作り方もあるんだ。

  • 「チョコレートスープ」
    毎晩聞こえた唄の意味は。
    素直に甘い食べ物の事を指していないという事は途中で分かったが予想外すぎる物だった…。
    病院で出会った彼女は何故この市の事やチョコレートスープの事を知っていたのだろう。

    「マドウジ」
    過去を忘れ目覚めた彼。
    容姿にあれだけ特徴があるというのに、一切彼の情報は見つかっていないのだろうか。
    水の匂いがするという言葉は何を意味しているのだろう…。

    「ヒナちゃん」
    探し続けた少女の行方は。
    彼女と遊んでいる様子から勝手に作り上げた彼の姿に騙されてしまっていた…。
    狂ってしまい何も分からず行動する人よりも、自分のやってきた事を理解したうえで行動する人の方が恐ろしいな…。

    「エフェメラの苗床」
    彼が市に居た理由。
    彼の場合、拾われた相手もあるが廃棄されるまでの記憶が無い事が救いになったのかもな。
    生きる意味も無く廃棄されるぐらいなら、少しでも希望を持ち市で売買される方がマシかもしれないからな…。

    「雪客衆」
    助っ人に伝える情報は。
    やっと彼らについて詳しい事が少しわかったような…。
    こんな摩訶不思議な場所で行う仕事を頼める人というのはどの様な人なのだろう。

    「曼殊沙華」
    隠されていた現実。
    自分の生い立ちだけでなく、どれだけ多くの事を知らず彼は生きてきたのだろう。
    知っていた所で変わることのない現実でも、後悔する事は少し減るかもしれないよな…。

    「サザ」
    赤腹衆になれなかった訳は。
    どれだけ努力しようが技術を会得しようが、これだけは変えようがないもんな。
    彼も信念がありやったことなんだろうが、関係のない人まで無差別に巻き込むのはな…。

    「カンナ」
    全てが終わり彼が選んだ道は。
    どんな事があろうが、彼女たちが居る限りあの市が終わる事はないのだろうか。
    彼の答えは分かったが、間違わず進むには困難な道だろうな…。

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プロフィール

第10回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞し、受賞作の『我が家のお稲荷さま。』でデビュー。著作に『プシュケの涙』『ノクチルカ笑う』などがある。

「2015年 『鳴夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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