石の繭 警視庁殺人分析班 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.67
  • (61)
  • (187)
  • (160)
  • (17)
  • (3)
本棚登録 : 1484
感想 : 142
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062775502

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ブクログレビューで興味を持ち、著者の作品を初読み。
    最近数多い女性刑事が主人公の、類型的な警察小説かと思いきや、この主人公は、ユニークな設定になっている。
    大概、他の作品の主人公は容姿端麗であるのに対し、こちらは、152.8センチと短躯で童顔、一見コメディタッチ。
    しかし、事件は奇怪に、モルタルで塗り固められた変死体の発見という幕開けをする。
    犯人は、中途で明らかにされるが、刑事であった父の過去が今回の事件に影を落としてくる。
    彼女自身が事件の当事者になってしまうという意表を突く展開、ミステリーとしての要素も。
    主人公とともに、彼女の属する殺人分析班のメンバーそれぞれが特徴あり、チームワークの魅力とともに刑事の群像劇としても楽しめそう。
    シリーズものらしいが、初回から主人公自らの深刻な事件では、今後どう展開するのか、主人公の成長物語という一面もあるようで、次回作にも手が出そう。

  • 殺人犯と主人公が過去の事件で繋がる展開。出来過ぎな感は否めないが塔子の成長に期待

  •  モルタルで固められた毒殺体が見つかる。翌日捜査本部が組織されるのだがそこに犯人からの電話が入る。女性警官との対話を要求する犯人に対応することになったのは、若い女性刑事の如月塔子だった。

     読んでいて思ったのはジェフェリー・ディーヴァ―の「リンカーン・ライム」シリーズっぽいかなあ、ということ。テンポの良さ、犯人との息詰まる対決、捻られたプロットと伏線で意外な展開を用意するミステリの醍醐味があることがそうなのですが、
    こつこつとした捜査で徐々に事件の背景を明らかにしていく警察小説の醍醐味もプラスされてる点がまたライムシリーズと違った面白さがあるように思います。

     警察小説はどちらかというと名探偵が出てくるミステリと違って、人間関係や展開に重きを置いたサスペンス色の強い作品が多かった印象なので、
    最後に張られた伏線を綺麗に回収していく本格ミステリ要素の強い警察小説は少し意外な印象でした。そういう意味では警察小説を敬遠していた本格ミステリ好きが、警察小説の入り口として読むのもいいかな、と思います。

     キャラもそこそこ立っていて、塔子の成長も読んでいて心強かったです。解説によると今後さらにスケールの大きな事件に塔子たちが挑むみたいなので、機会があればまた読んでみたいです。

  • クローズドサークルものの話はよく読むけど、こういう調べ回って捜査して真相に近づいていく系の話は久しぶりで面白かった。
    トレミー用意周到過ぎるし賢いなぁ…でも帰ったら家に殺人犯いるのは怖すぎる……!!
    鷹野の閃きがなかったらどうなってたことやら…
    カセットテープの話出た時点で、誘拐が八木沼によるものだとは容易に想像ついたけどトレミーの正体はわかんなかったな。
    トレミーの過去を思うと犯人達許すまじ!って思うけど、それにしても復讐なんて更に負の連鎖を生むだけだよなぁ…世知辛い…
    塔子のお母さん二度と巻き込まれないといいな。

    (あと152㎝ってそんな小さいかな…?刑事としては小さいけど一般女性としちゃ普通では…)

  • 可もなく不可もなく。

  • ミステリが好きな私にとっては単純な事件物語で、なんとなく物足りないような感じだけど、でも、その分読みやすくて下手に緊張?して読まなくて良いのはよかった!
    基本新品でしか本買わないけど、まとめてシリーズ読んでみようと思って中古で揃えてみた!人物像が好きになるから全シリーズ読んでみようと思って。

  • 女子といった方が良さそうな女刑事が主人公というと、猟奇犯罪捜査班あたりを思い出しますが、印象は全然別のもの。
    こちらは、捜査本部内での扱いの悪さとか、幾分政治絡みのいざこざが生臭い感じ。
    その代わり、動機、トリック、終盤のサスペンスはさすがは講談社ってところですね。
    ミステリーファンにも安心して薦められる感じです。
    チームメンバーそれぞれの描写も秀逸。プロっぽさが良く出ていました。

  • モルタルで固められた変死体から、事件が始まる。
    そこにかかってくる犯人からの電話。
    その交渉役に選ばれたのが、新人刑事の如月塔子だった。
    犯人との駆け引き、続いて起こる殺人、昔の事件との関係。
    また、廃墟とか廃屋とかが出てくる点では、最近の高齢化社会や少子化等の影響を感じる。
    都内が舞台だが、国内でもかなりの空き家が見られるだろう。
    そこに事件を絡ませてあるのが、印象的。

    2017.6.19

  • おもしろかった!
    シリーズが多いから気にはなりつつも手を出せなかった本作
    2023年のラスト本に選びました。
    塔子の成長、先が気になるので絶対読み進めるシリーズ入りしました◎
     
    リアリティはあまり無いけれど、新米刑事ものとしてはわたし的に満足。
     
    「 能ある鷹は爪を隠す 」 まさに。
    ん?と思うこともあるけれど(笑)

  • ポンペイの人型に強く影響を受けてしまうのはわかるし、巻き込まれた事件の事を思うと犯人に少し同情してしまう(誘拐事件の真相がひどい)
    でもここまで周到に準備して襲うなんて、執念深過ぎておそろしい
    まだまだ未熟な主人公、事件を経て成長していく過程を読めるのも面白い
    殺人分析班のメンバーも色々抱えているのかな?シリーズ読んでみよう

著者プロフィール

1965年千葉県生まれ。2006年『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。『石の繭』から始まる「警視庁殺人分析班」シリーズで人気を集める。その他著書に「警視庁文書捜査官」シリーズ、「特捜7」シリーズ、「重犯罪取材班・早乙女綾香」シリーズ、『深紅の断片 警防課救命チーム』『共犯レクイエム 公安外事五課』『骸の鍵』『擬態の殻 刑事・一條聡士』などがある。

「2023年 『琥珀の闇 警視庁文書捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

麻見和史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ピエール ルメー...
高野 和明
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×