人肌ショコラリキュール (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062776295

作品紹介・あらすじ

R-18文学賞から飛び出し、リアルな女の性と心を描いてきた著者による、「わかるわかる」満載、ドキドキ満載、美しくリアルなエロチカ短編集。ほろ苦さと前に進む後味の良さを体験できるはず。

「あなたモドキ」
前の彼の大我を忘れられないでいる私、優子。いまの彼の将吾は大我と違って自分勝手ではないし、セックスも優しくて、料理が上手。でも将吾と付き合ったのは、大我と顔が似ているから。

「ヴォルフガングとそのほかのこと」
婚約破棄せざるを得なかった四年前をひきずって、四年間セックスなし。いまや「ヴォルフガング」と名づけたヴァイブレータが恋人の私、浩未、33歳……。

「サーティーデイズ、ワンクール」
生理の前に性欲が高まってしまう看護師の私、眞緒。情緒不安定になるし、普段の調子は全くでない。でも性欲が高まっても、じつは夫とは別居中。その理由は……。

「ストロベリー・イン・ナイトメア」
アジア料理店で働いているあたし、マーヤ。あたしは男とからだを重ね体液をまぜあわせる行為を知って、完全に馬鹿になった。

「リコちゃんの暴走」
21回目の告白で、最後にセックスだけしてもらえる約束を取り付けたあたし、莉子。ストーカー扱いとももうさようなら。これであたしはきっと幸せな恋ができる?  

6)「ふるえる口蓋」
杏奈。口が一番性感帯になっている私。そう、私は口でのセックスが一番感じる。大学生のときの「友人」才輔は同棲中の彼女がいるけれど、私の欲望は彼にしか向かわない。

どこかに、きっとあなたがいます。

感想・レビュー・書評

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  • 蛭田亜紗子(敬称略)二作目。
    前読の『自縄自縛の私』は竹中直人監督の映画鑑賞後に読んだ。ソレから一年以上振り。
    前作『自縄自縛の私』は連作短編的でこんな自分でもヘヴィーだな…、と感じるコトがあったが、今回はすんなりと読了まで到った。
    基本は『自縄自縛の私』同様、精神的、肉体的な呪縛からの解放(少し軽くなる程度のモノもあるが…)の話。もちろん、ソコにはR-18文学賞大賞受賞作家的な事物が含まれている。
    性的な癖(へき)は少なからず、誰もが持つモノだと思う。そぅ言う自分も……。ソコを掘り下げた『自縄自縛の私』。そして、性を通して生の次の一歩(ネクスト・ステップ)を踏み出した場面を切り取った、『人肌ショコラリキュール』かな……?!
    自分のような年代のオッサンにはすすめません。
    ソレでも、端々にこんな表現するんだ…、というパートがあり、ソレが良かったりする。
    今作では『ストロベリー・イン・ナイトメア』『ふるえる口蓋』がお気に入り。

  • エンディングドレスを読んで、こちらも借りてみた。こういった類いの本は初めてだったのでビックリした。

  • 随分とまあ、官能的。
    よく見たら表紙もずいぶん色っぽい。
    6つの短編小説はどれも、同年代の女性が主人公ながら、微妙に感情移入できない。
    すごく、おしい感じはするのだけど。

    誰も彼もが性に奔放。
    思うがままにすべてをさらけ出せるのは羨ましい気もするけど、実際そんな風に生きると「ストロベリー・イン・ナイトメア」にも書かれているとおり、見下されてしまうのが現実。
    いっそ開き直ってこんな風に生きたら、とてつもない開放感なんでしょうか。

    短編集は、元カレとそっくりというだけの理由で彼と付き合う女性だったり、恋人に風俗嬢をプレゼントして、自宅からこっそり覗き見る女性だったり、なんとも突飛。
    それでいてみんなしっかり恋愛していて、その逞しさに惚れ惚れしました。

  • R-18文学賞出身作者ということで今回の作品は女性向けの官能小説であった……失敗。その辺を抜きにして考えれば男女の感情の機微が感じられる若い書き手の力作であると言えよう。

  • 心地よさと虚しさとあたたかさと人の欲望が同居した作品。

  • 文庫オリジナル

  • 蛭田さんの描くエロさのなかにある毒々しさがツボ。
    たとえば一番初めの短編・あなたモドキ。元彼(実際はやり捨てされただけの元彼でも何でもない男)の顔に似ているからというだけの理由で付き合っている今彼。優しくて料理も上手い。そんな素敵な彼は実は裏の顔があって、超束縛男。束縛を表立ってすることはせず、彼女に高カロリーな食事を与え太らせ醜い姿にすることで誰にも近寄らせはしないという計画を企てているような腹黒男だったーーとか。
    バイブに名前つけたりとか、いろいろシュールだったりするところが好き。

    表紙がエッチすぎてカバーなしでは持ち歩けないね、、

  • 密やかで、秋の夜長にこっそりどきどきしながら読む。
    女性のきもちがここまで赤裸々に書かれていると、胸が締め付けられる。
    蛭田さんの作品は追い続けるわ。

  •  読みました。表紙がきわどいッw
     甘ったるくて、かなしくって、むなしくって、せつなくって、儚い、性と恋の物語。
     前彼の面影を残す男性と付き合う女性、大人の玩具に名前をつけて自身を慰める三十代、自分は自由だと思いきや公衆便所と同じような扱いを受けている三十代、旦那と別居中で同じ職場でのセクハラ魔が気になる女性、……。
     最後にむなしさや哀しみを感じるものもあれば、希望をいだけるものもある。
     前者が多いように感じられました。
     表紙に騙されてはいけません。表紙でためらってはいけません(Amazonで買うかカバーかけてもらいやいいんです)
     是非是非一度お試しを。

  • 文庫だとコッソリ買えるかと思ったけど、表紙が、、、

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    「心も体も、トロトロになる。
    R-18文学賞受賞(『自縄自縛の私』)作家による、女の性と心をリアルに美しく描いた切ない短編集

    今の彼氏、将吾は前カレの大我(たいが)と違い、優しくて料理も上手。でも付き合ったのは、大我と顔が似ているから(「あなたモドキ」)。
    婚約破棄をひきずって四年間セックスなし。その欲望の慰め方は(「ヴォルフガングとそのほかのこと」)。
    <文庫オリジナル>
    ※本書は雑誌掲載の短編に書き下ろしを加えた文庫オリジナルです。文庫化にあたり、加筆修正いたしました。」
    蛭田亜紗子 WEB SITE
    2013.9.12 新刊『人肌ショコラリキュール』もうじき発売
    http://hiruta.oops.jp/diary.html

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著者プロフィール

1979年北海道札幌市生まれ、在住。2008年第7回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞し、2010年『自縄自縛の私』(新潮社)を刊行しデビュー。そのほかの著書に、『凜』(講談社)『エンディングドレス』(ポプラ社)『共謀小説家』(双葉社)などがある。

「2023年 『窮屈で自由な私の容れもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

蛭田亜紗子の作品

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